私たちが日々習慣として行っている洗顔。
中には「正しい方法が分からず試行錯誤している」「つい洗顔をササッとすませてしまいがち」という人もいらっしゃるのではないでしょうか。
洗顔方法を習う機会はほぼありませんので、自己流になってしまうのは当然です。
そこでこの記事では、洗顔にまつわる以下をご紹介します。
- 洗顔の目的
- 間違った洗顔を続けるとどうなるのか
- 正しい洗顔の方法
- 肌の悩みに応じた洗顔料の選び方
- 洗顔方法に関するQ&A
私がスキンケアアドバイザーとして20年働いた経験では、「洗顔を変えたら、肌が変わった」という声を本当によく耳にしますので、ぜひここのポイントは押さえていただきたいと思っています。
カンタンにまとめましたので、この記事を読めば適切な洗顔について知ることができ、健やかな肌を目指しやすくなります。
肌に悩みがある人は、毎日のケアの見なおしの参考にしてください。
目次
1.正しい洗顔の方法
洗顔の目的は、「汚れ」を落とすことです。
- どんな汚れなのか?
- なぜ汚れを落とす必要があるのか
- 正しい洗顔方法
について解説します。
「間違いがちな洗顔方法」も紹介するので、もしあてはまるものがあれば、洗顔方法を見直してみましょう。
1-1.「化粧水が浸透しやすくなる?」洗顔の目的
洗顔の目的は「肌の汚れ」や「前日の化粧品の残り」を落とすことです。
肌には体から出る皮脂、汗、アカ、そして外部から付着する埃、花粉、メイクなどの汚れがついています。
これらの汚れをそのままにしておくと、肌荒れや毛穴づまりなどに繋がってしまうため、日々の洗顔は健康的な肌を保つために重要なものとなっています。
なお、洗顔は朝晩の2回行なうようにしましょう。
朝は寝ている間に分泌された皮脂や汗、肌に付着した空気中の埃などを落とします。
夜はメイクを始めとする1日の様々な汚れを洗い流すためです。
洗顔で汚れを取り除けば、化粧水や乳液、クリームなどが肌全体に行きとどきやすくなります。
メイクのノリも良くなるので、少し手間に感じても、1日2回、適切な方法で行ないましょう。
1-2.間違った洗顔を続けるとどうなるのか
毎日ちゃんと洗顔していたとしても、方法が間違っていれば肌にダメージを与えることがあります。
肌がダメージを受ければバリア機能が低下し、肌荒れや乾燥などに繋がりかねません。
特に次のような間違いをしてしまいがちなので、注意しましょう。
洗顔前に、手を洗っていない
洗顔をする前は、手を洗って清潔な状態にしましょう。
手に汚れが付着していると、洗顔料を手に取ったときや泡立てる際の邪魔になります。
また、雑菌がついている手で洗顔をすれば、肌状態によっては肌荒れを招く恐れがあります。
洗顔は「洗顔料を使わなければならない」と思い込んでいる
寝ている間に分泌された皮脂や汗、付着した埃などは、お湯だけで落ちる場合もあります。
洗浄力の強い洗顔料を当たり前のように毎回使っていると、肌に必要なうるおいを落としすぎることも。
肌状態によって、洗顔料を使う・使わないは選択しましょう。
熱いお湯や冷水で洗顔している
熱いお湯は肌にとって必要な皮脂を洗い流してしまうため、乾燥を招きます。
また、冷たい水は汚れが落ちづらくなるので、毛穴詰まりなどに繋がりかねません。
洗顔時には、人肌ぐらいの温度の「ぬるま湯」を使用しましょう。
ゴシゴシとこすって洗顔している
強い刺激は肌にダメージを与え、バリア機能を弱めてしまいます。
洗顔をする際には泡で優しく洗うことを心がけましょう。
肌荒れや炎症がある方は、洗顔ブラシやタオルを使用は控えたほうが安心です。
十分に泡立っていない泡で洗顔している
泡立ちが不十分だと、泡が汚れを吸着しにくくなるため、汚れも落ちづらくなると言われています。
製造メーカーの指示に従い、必要に応じて泡立てネットや泡立て器を使用し、メレンゲ状の泡を作りましょう。
洗顔時のすすぎが十分ではない
洗顔料を流しきれていないと、肌荒れなどを招くことがあります。
生え際やフェイスラインなどは、特に泡やぬめりが残りやすい部位です。
鏡などで確認しながら、きちんと洗い流しましょう。
2.正しい洗顔方法の手順を紹介
日々の洗顔は正しい方法で行なうことが大切です。
具体的には次のような流れで行なうのが好ましいでしょう。
- 最初に手をきれいに洗います。
もしクレンジング後の洗顔なのであれば、手に残っているクレンジング剤をぬめりが無くなるまで洗い落としましょう。 - 次に、ぬるま湯で顔を軽く洗います。
予め目立った汚れや油分を取り除くことで、泡で洗浄しやすくなります。 - 手のひらに洗顔料を適量取って泡立てます。
このとき、泡立てるタイプの場合は、ぬるま湯を数回に分けて加えながら、メレンゲ状の泡をたっぷり作りましょう。
泡立てない場合は、両手にとり、顔全体になじませます。
泡立てるのに苦戦するようであれば、市販の泡立てネットなどを積極的に活用してみてください。 - 顔全体を泡で包み込み、撫でるように優しく洗います。
小鼻やTゾーンなど、汚れやベタつきが気になる箇所は、指の腹を使って丁寧に洗いましょう。
ゴシゴシ擦るのではなく、あくまで泡を用いることを意識するのがポイントです。 - ぬるま湯で泡と汚れを落とします。
洗い終えたら、肌にタオルをそっと押し当てるようにして水分を拭いましょう。
2-1.洗顔をする時に気を付ける4つのポイント
洗顔をする際に、これだけはしっかりと気を付けたいポイントは、この4つです。
ポイント①洗顔にかける時間・洗顔の頻度
長時間に及ぶ洗顔や、高頻度の洗顔は、肌にとって必要な皮脂を洗い流してしまうことが。
洗顔は朝と夜の2回だけにとどめ、1回につき1分ほどを目安に行ないましょう。
ポイント②肌へ刺激を与えないようにする
ゴシゴシ擦るような洗顔、熱いお湯を用いた洗顔は、肌状態によっては刺激になることが。
先述の通り、刺激により肌がダメージを受けると、バリア機能が低下します。
結果として肌が荒れたり、乾燥したりしてしまうため、低刺激のやさしい洗顔を心がけましょう。
ポイント③肌質を意識する
乾燥肌や敏感肌は、他の肌に比べると刺激を受けがちです。
そのため、洗顔料の使用を夜だけにしてみることも、一つの手段です。
また、混合肌やオイリー肌の場合、ベタつきが気になる箇所を入念に洗いすぎることがあります。
洗いすぎて肌が乾燥すれば、かえって皮脂の分泌量が多くなるため、ベタつきやすい箇所も泡で適度に洗うことを意識しましょう。
ポイント④肌の悩みにあった洗顔料を使う
乾燥が気になる、ベタつきが気になる、ニキビが気になるなど、肌の悩みは人によって様々です。
使う洗顔料によっては、その悩みを助長することもあるため、自分に合ったものを選びましょう。
3.【肌悩み別】洗顔料の選び方
抱えている肌の悩みによって洗顔料の選び方を工夫してみるのも「あり」です。
この章では、「乾燥」「ベタつき」「ニキビや毛穴詰まり」「肌のピリピリ」に悩んでいる場合、どんな洗顔料を選べばいいのか紹介していきます。
3-1.乾燥が気になる
肌の乾燥が気になっているときは、次のようなポイントを意識して洗顔料を選びましょう。
■おだやかな洗浄力のもの
洗浄力が強い洗顔料を使用すると、強いつっぱり感や乾燥の進行に繋がる可能性があります。
そのため、肌にとって優しい洗顔料を選びましょう。
■低刺激のもの
含まれている成分が、肌にとって優しいものかも意識しましょう。
例えば、アルコールフリー、パッチテスト済、スティンギングテスト済みなど、「低刺激」である理由が明記されているものを使ってみましょう。
■保湿成分が配合されているもの
洗顔は汚れだけでなく、肌のうるおいを保つために必要な皮脂まで洗い流してしまいます。
そのため、肌に乾燥を感じている人は、グリセリンやヒアルロン酸といった、保湿成分が配合されている洗顔料を使ってみましょう。
3-2.肌のべたつきが気になる
肌のベタつきが気になっているときは、次のようなポイントを意識して洗顔料を選ぶと良いでしょう。
■洗浄力が強すぎないもの
ベタつきが気になる人を対象にした洗顔料は、洗浄力が強い傾向にあります。
洗顔時のポイントでも少しお伝えしましたが、ベタつきが気になるからといって、徹底的に洗ってしまうと肌の乾燥に繋がります。
肌が乾燥すれば、うるおいを守ろうと皮脂の分泌量が増え、なおさらベタつくという悪循環に陥りかねません。
ベタつきに着目した洗顔料が全てNGというわけではありませんが、洗顔後に肌がつっぱるようであれば、よりマイルドな洗い上がりのものを選んでみましょう。
目安は、洗顔後にサラサラしないもの。
少し水分を含んでしっとりしているぐらいを目安にしてみましょう。
■ダブル洗顔が不要なもの
ダブル洗顔不要の洗顔料やクレンジング剤を使用すると、肌の洗いすぎを防ぎやすくなります。
クレンジングと洗顔、計2回にわたる工程を、1回にできるためです。
つい念入りにクレンジングと洗顔をしてしまう人は、ダブル洗顔不要の洗顔料も検討してみましょう。
3-3.ニキビや毛穴づまりが気になる
ニキビや毛穴づまりが気になる場合は、次のようなポイントを意識して洗顔料を選ぶと良いでしょう。
■オイルフリーやノンコメドジェニックテスト済のもの
ニキビのもととなるアクネ菌は、皮脂や化粧品などの油分を栄養としています。
そのため、洗顔料を選ぶ際にはオイルフリーのものがおすすめです。
また、商品の中には「ノンコメドジェニックテスト済」と記載されているものがあります。
この記載があるものは、試験により「ニキビができにくい」と判定されたものです。
オイルが含まれている商品でも、ノンコメドジェニックテスト済の記載があればニキビができにくいため、商品のサイトやパッケージに記載があるか確認すると良いでしょう。
■ニキビ肌用のもの
必要に応じて、ニキビ肌用の医薬部外品の洗顔料も検討すると良いでしょう。
抗菌成分や殺菌成分など、ニキビ肌にとって心強い成分が含まれています。
なお、化粧水や乳液、クリームなども、ニキビ肌用のものを使用すれば、一層ニキビに関する悩みを解消しやすくなります。
■洗浄力が強すぎないもの
ニキビが気になる人は、洗いすぎる傾向があります。
洗顔時のポイントでも少しお伝えしましたが、ベタつきが気になるからといって、徹底的に洗ってしまうと肌の乾燥に繋がります。
乾燥した肌は、硬く縮こまりますので、毛穴詰まりも起こりやすいです。
洗顔後に肌がつっぱる・サラサラする、というようであれば、よりマイルドな洗い上がりのものを選んでみましょう。
3-4.肌がピリピリする
肌がピリピリする場合、肌が乾燥していたり、敏感になったりしている可能性があります。
次のようなポイントを意識して洗顔料を選んでみましょう。
■おだやかな洗浄力のもの
肌がピリピリする場合にも、優しい洗浄力の洗顔料を選ぶようにしましょう。
洗浄力が強いものを使用すると、ピリピリするだけでなく、炎症などに繋がる可能性があります。
■低刺激のもの
アルコールフリー、パッチテスト済、無添加など、低刺激の洗顔料を選びましょう。
また、含まれている成分以外にも、洗顔料のタイプにも注目しましょう。
スクラブタイプの洗顔料などは、含まれている粒子が肌に刺激を与えることがあります。
そのため、クリームタイプ、固形石けんタイプ、最初から泡で出るタイプなどを選ぶのがおすすめです。
4.正しい洗顔方法に関するQ&A
ここでは洗顔における3つの質問、「お風呂での洗顔の注意点」「中学生の洗顔」「男女の洗顔方法の違い」について回答していきます。
Q1.お風呂で洗顔をする時の注意点はありますか?
A.はい、あります。
入浴時の洗顔では次のような点に注意しましょう。
■シャワーを直接顔にあてない
入浴時の洗顔では、ついシャワーで泡を落としたくなりがちです。
しかし、顔に直接シャワーをあてていると水圧の強さにも慣れてしまい、強い水圧を顔に浴び続けると、乾燥、肌荒れ、たるみの原因になりかねません。
顔の肌にはシャワーの水圧は強すぎ、バリア機能が低下してしまう恐れがあるのです。
入浴時は手のひらでお湯をすくって流すようにしましょう。
■入浴時の洗顔は最後にする
「超乾燥肌だ」という人には、髪や体を洗い、湯船に浸かった後、最後にすることをおすすめします。
最初に洗顔をしてしまうと、入浴後の保湿までに時間が空いてしまい、その間に肌が乾燥してしまうことも。
また、湯舟に浸かっている間の汗で、メイクや肌の汚れが落ちやすくなるため、結果的に、洗浄力のマイルドな洗顔料でことたりることになります。
そうすると、肌に必要なうるおいが残りやすいため、乾燥症状が落ち着くこともあります。
Q2.中学生でも洗顔は必要?
A.はい、必要です。
特に思春期のニキビに悩んでいる場合は、適切な洗顔が必要となります。
下記を意識したケアを心がけましょう。
■洗顔は1日2回にとどめる
大人もそうですが、思春期の肌でも洗いすぎは良くありません。
ゴシゴシと擦るようなことはせずに、泡で優しく洗う洗顔を、朝晩の2回行いましょう。
■スクラブ洗顔料の使用はほどほどにする
ニキビにつながる皮脂や毛穴づまりを取り除こうと、スクラブ入りの洗顔料を使用したいケースもあるかと思います。
しかし、スクラブ入り洗顔料に含まれている粒子は、肌へダメージを与える可能性があります。
特にニキビには刺激が強すぎるため、週1~2回など、ほどほどの使用頻度で使いましょう。
■ニキビは潰さないようにする
潰してしまうと炎症を起こしてしまう可能性があります。
場合によってはニキビの跡が残ってしまうこともあるため、潰さないようにしましょう。
「ニキビが多くて悩んでいる」「生活リズムや食生活に気を配っているのに何度も繰り返す」といった場合は、皮膚科に相談してみるのも1つの方法です。
Q3.女性と男性で洗顔方法の違いはある?
A.洗顔方法自体に、大きな違いはありません。
男性もゴシゴシ摩擦を与えるような洗顔は避け、泡を使って洗うようにしましょう。
花王のメンズビオレ「男の肌・ニオイ研究所01 女性に比べて皮脂量、約2倍!男の顔は、やっぱりアブラっぽい」によると、男性の顔の皮脂は、女性のおおよそ2倍とのことです。
また、男性は入浴後と起床後では顔の皮脂量が約8倍も違うそうです。
男性は女性に比べ、男性ホルモンや油っぽい食生活などが原因で、肌がベタつきやすい傾向にあります。
そのため、洗顔時には男性用の洗顔料を使用するようにしましょう。
また、肌荒れなどが気になる場合は、男性用の化粧水や乳液、クリームなどもあわせて活用するといいでしょう。
まとめ
肌には体から出る皮脂、汗、アカ、外部から付着する埃、花粉、メイクなどの汚れがついています。
これらの汚れを落とすために必要なのが、日々の洗顔です。
洗顔は間違った方法で続けてしまうと、バリア機能の低下を招き、肌荒れや乾燥を招く恐れがあります。
洗顔で間違いがちなポイントには「熱いお湯・冷たい水の使用」「摩擦などによる刺激」「少ない泡での洗顔」「洗顔料の洗い残し」などが挙げられます。
これらを踏まえた上で、1日朝晩の2回、手を清潔にしてから、たっぷりの泡で正しい洗顔を行うようにしましょう。
入浴時に洗顔する場合は、「洗顔は最後にする」「シャワーで直接泡を落とさない」といった点も意識してみてください。
また、洗顔料は次のような選び方を参考に、肌にあったものを使用するのがおすすめです。
■乾燥が気になる場合
肌に優しい洗浄力、低刺激、保湿成分が含まれているものを選びましょう。
■ベタつきが気になる場合
洗浄力が強すぎないものや、ダブル洗顔が不要な洗顔料を選びましょう。
■ニキビや毛穴づまりが気になる場合
オイルフリーやノンコメドジェニックテスト済、ニキビ肌用、洗浄力が強すぎないものを選びましょう。
■肌がピリピリする場合
肌に優しい洗浄力、低刺激、敏感肌用のものを選びましょう。
なお、大人の女性だけではなく、中学生や男性などにも洗顔は必要です。
肌へのダメージが少ない正しい洗顔で、なめらかな肌を目指しましょう。