「敏感肌だから、日焼け止めは使いたくない。
でも、紫外線対策をしないとシミやシワが増えてしまう。
いったい、どうすればいいの?」
敏感肌にとって、悩ましい問題です。
日焼け止めを敏感肌に使うとヒリヒリと刺激を感じることがあります。
これは、日焼け止めが肌に刺激を与えている証拠です。
かといって、何も塗っていない無防備な肌に紫外線を当てることは、自殺行為です。
特に、バリア機能が衰えている敏感肌にとって、日焼け止めは必需品です。
そのため、敏感肌のUVケアには、肌がヒリヒリしない日焼け止めを正しく使うことが重要に。
つまり、敏感肌のUVケアは、
- 敏感肌にやさしい日焼け止め選び
- 敏感肌をやかない正しい日焼け止めの使い方
が大切です。
この記事では、『敏感肌にやさしい日焼け止め選びの条件』と『敏感肌を紫外線から守る日焼け止めの正しい使い方』を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
そして、夏を思いきり楽しんでください。
1.日焼け止めが敏感肌に刺激を与える5つの原因
ひとくちに敏感肌といっても、肌に刺激を感じる原因はさまざまです。
そのため、敏感肌の原因、それぞれに対処した日焼け止めを選ぶ必要があります。
『日焼け止めが敏感肌に刺激を与える原因』は、5つあります。
日焼け止めが敏感肌に刺激を与える5つの原因
- UVカット成分
- 酸化ダメージ
- 紫外線カット効果
- 物理的な刺激
- 日焼け止めの効果がなくなった場合
敏感肌には、肌に刺激を与える原因すべてに対処した日焼け止めを使うことが重要です。
そうすることで、敏感肌を悪化させることなく、使用時のストレスも感じずに使えます。
2.敏感肌のUVカットにおすすめ日焼け止め選び5つの条件
敏感肌はしっかり紫外線を防いで、肌に刺激を与えないことが必須です。
そのためには、敏感肌の原因に対処した日焼け止め選びが重要です。
敏感肌の原因に対処した日焼け止め選びには、5つの条件があります
敏感肌の日焼け止め選び5つの条件
- UVカット成分が刺激になる敏感肌は、紫外線吸収剤不使用の日焼け止め
- 酸化ダメージを防ぐために、紫外線散乱剤をコーティング
- 紫外線カット効果が刺激になる敏感肌は、SPF20~30、PA++程度のUVカット効果
- 物理的な刺激の場合は、ミルク・クリームタイプの日焼け止め
- 日焼け止めを使っているのに焼ける場合は、ウォータプルーフ効果のある日焼け止め
以上の条件をクリアすることで、敏感肌にやさしいUVケアが行えます。
詳しく見ていきましょう。
2-1.敏感肌には、紫外線吸収剤不使用の日焼け止めを選ぶ
敏感肌には、紫外線吸収剤不使用の日焼け止めがおすすめです。
なぜなら、日焼け止めに配合されている紫外線カット成分が刺激になる場合があるからです。
紫外線カット成分は、2種類あります。
・紫外線吸収剤
・紫外線散乱剤
同じ紫外線カット成分でも、紫外線をカットする働きの違いから敏感肌に与える刺激の度合いが違います。
紫外線カット成分による肌の刺激という観点で見ると、敏感肌には紫外線吸収剤不使用の日焼け止めがおすすめです。
紫外線吸収剤が敏感肌に与える2つの刺激
紫外線吸収剤が肌に与える刺激は2つあります。
・化学変化による刺激
・光劣化による刺激
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収して熱に変換することで、紫外線カット効果を発揮します。
その変換時に、化学変化が起きます。
この化学変化が、敏感肌に刺激を与える可能性があると言われています。
がん薬薬勉強会が発行している紫外線について書かれたPDFにも紫外線吸収剤による肌への刺激について書かれています。
紫外線吸収剤
紫外線を吸収して肌への影響を減らす。使用感が滑らかで白浮きが目立ちにくいが、肌への刺激は強い。
また、肌に直接刺激を与えるわけではないのですが、紫外線カット効果を失うことで肌に刺激を与える可能性があります。
紫外線吸収剤は、吸収した紫外線を熱に変える際、非常に不安定な状態となり、紫外線吸収剤が光劣化を起こします。
光劣化とは、物質が光エネルギー(光子)を吸収し、その諸特性を低下させる現象のことです。
簡単に言うと、光(紫外線)を浴びることで、著しく機能を低下させる現象です。
例えば、本の背表紙が日に当たると変色したり、透明のセロハンテープが茶色になる現象です。
日焼け止めの場合は、紫外線を浴びることで、紫外線から肌を守る紫外線カット効果が低下する現象を指します。
東京工科大学応用生物学部の報文「UV吸収剤の光安定化に関する基礎基礎的検討」にも下記のように書いてあります。
UV吸収剤を皮膚へ塗布し太陽光に暴露された時に生じる光劣化は、光カット効果を低下させ、その結果、紫外線紅斑の生成や光老化皮膚の形成を加速する
紫外線紅斑:紫外線を浴びることで肌が赤くなる現象。
光老化皮膚:紫外線を浴びることで起きる皮膚の老化。
つまり、肌に日焼け止めを塗った後、紫外線を浴びることで光劣化が起きた場合、紫外線カット効果が低下します。
その結果、日焼け止めを塗っていても紫外線のダメージが肌に届いて、炎症を起こして肌が赤くなったり、シワやシミなど老化現象が促進されます。
時折、「SPFの高い日焼け止めを使っていたけど、肌がやけてしまった」という人がいますが、これは光劣化による紫外線カット効果の低下が原因です。
つまり、紫外線吸収剤が敏感肌に与える刺激は2つあります。
1.紫外線を吸収する際に起きる化学変化による肌への刺激
2.光劣化による紫外線カット効果の減少
以上の理由から、敏感肌には紫外線吸収剤不使用の日焼け止めがおすすめです。
2-2.敏感肌には、紫外線散乱剤がコーティングされた日焼け止めを選ぶ
紫外線吸収剤不使用の日焼け止めに配合されているUVカット成分は紫外線散乱剤です。
紫外線散乱剤は、紫外線を反射させることで、肌へのダメージを防ぎます。
紫外線吸収剤のように、紫外線を吸収して変質しないため、肌にやさしいとされています。
でも、紫外線散乱剤は、紫外線吸収剤より肌にやさしいとはいえ、酸化します。
化粧品成分は、酸化することで肌に刺激を与える可能性があります。
そこで、コーティングされている紫外線散乱剤が配合されている日焼け止めがおすすめです。
紫外線散乱剤をコーティングすることで、酸化を防げるので敏感肌に適しているといえます。
コーティングされた紫外線散乱剤配合の有無は、日焼け止めの説明文やパッケージに書かれているので参考にして選んでください。
2-3.敏感肌には、SPF20~30、PA++程度の日焼け止めを選ぶ
紫外線カット効果の高さが肌への刺激になる場合があります。
具体的には、紫外線カット成分を高配合したことによる刺激です。
SPF50+、PA++++など強い紫外線カット効果のある日焼け止めを使うと、敏感肌に刺激を与える可能性が高くなります。
そのため、使用シーンに適した紫外線カット効果日焼け止めを使いましょう。
日常生活で浴びる紫外線であれば、SPF20~SPF30、PA++程度で十分です。
日本化粧品工業連合会編『紫外線防止用化粧品と紫外線防止効果』より
「敏感肌だからこそ、紫外線を徹底的にカットすべきだ」と考えて、SPF値、PA値の高い日焼け止めを使う人がいますが、逆効果です。
必要以上の紫外線カット効果は、肌に刺激を与えるので注意が必要です。
2-4.敏感肌には、ミルク・乳液・クリームタイプの日焼け止めを選ぶ
肌に、日焼け止めを塗る際、少なからず摩擦が起きます。
この摩擦が肌に刺激を与える場合があります。
敏感肌は、摩擦の少ない日焼け止めを選ぶ必要があります。
主に、液状に近いものほど、摩擦が大きくなります。
逆に、ミルク・クリームタイプに近いものほど、摩擦を軽減できます。
もっとも摩擦がないものは、手を触れずに使うことができるミストやスプレータイプになります。
〈強い←摩擦の強さ→弱い〉
液状>ローション>ミルク・乳液・クリーム>ミスト・スプレー
ミスト・スプレータイプの日焼け止めは、肌に直接触れないので、摩擦はゼロです。
そのため、摩擦に敏感な肌には有効なのですが、大きなデメリットがあります。
それは、日焼け止めが体内に侵入してしまうことです。
詳しくは後述します。
つまり、敏感肌なら、ミルク・乳液・クリームタイプがおすすめです。
ちなみに、私は、摩擦に敏感な肌なので、ミルクタイプの日焼け止めを使っています。
2-5.敏感肌には、ウォータープルーフ効果のある日焼け止めを選ぶ
敏感肌に合成界面活性剤を使いたくないと考える人がいます。
確かに、合成界面活性剤は、美容効果があるわけではありません。
でも、紫外線から肌に守る効果があるなら使うべきです。
日焼け止めの場合、合成界面活性剤を配合することで、紫外線カット効果が高くなります。
なぜなら、合成界面活性剤を配合することで、汗や皮脂に強くなるからです。
汗や皮脂で流れないために、紫外線カット効果が長持ちします。
これをウォータプルーフ効果と言います。
逆に、合成界面活性剤を配合しないと、日焼け止めが汗や皮脂で簡単に流れ落ちてしまいます。
実際に、合成界面活性有無の日焼け止めを使って、自分の肌でテストしてみました。
当初は、30分の予定でしたが、合成界面活性剤不使用の日焼け止めをテストした時に、あまりに日焼けで肌が痛くなり20分で切り上げました。
このように日焼け止めが流れ落ちると、肌は無防備になり、紫外線の刺激を受けてしまいます。
だから、敏感肌には、合成界面活性剤が配合されたウォータプルーフ効果のある日焼け止めを選びましょう。
ただし、ひとつ注意点が。
汗や皮脂に強くなるのはいいのですが、あまりに強すぎると肌に残りやすくなります。
目安は、お使いの洗顔料や石鹸で落ちる程度のウォータプルーフ効果のあるものを選んでください。
3.紫外線から敏感肌を守る日焼け止めの効果的な使い方
どんなにUVカット効果が高い日焼け止めでも、使い方を間違えるとUVカット効果が正しく機能しません。
日焼け止めを塗っているのに肌がやける原因の多くは、日焼け止めの使い方を間違っているからです。
日焼け止めの使い方を間違うと、紫外線のダメージによって敏感肌がひどくなり、シミやシワなどの老化が早まってしまいます。
いつまでも若々しい肌を維持するためにも、正しい日焼け止めの使い方を学んでください。
3-1.日焼け止めは4時間ごとに塗りなおして敏感肌を守る
日焼け止めを正しく使うためには、SPFを正確に理解する必要があります。
SPFの意味を知らないと、敏感肌に不要な刺激を与えることになります。
SPFの間違った解釈とは、『SPF1で20分間、紫外線カット効果がある』という考えです。
例えば、SPF50なら、1,000分。
つまり、16時間以上、紫外線カット効果があるということになります。
このような考えだと、午前中に海水浴に来て、日焼け止めを塗ったら、夜まで紫外線カット効果が持続すると思います。
実際、そう考えて一日中、日焼け止めを塗りなおさない人がいます。
海水浴に来て、午前中に日焼け止めを塗って、それ以降、塗りなおしもせずに紫外線を浴び続けると、確実に日焼けします。
その理由は、どんな日焼け止めでも4時間程度で、紫外線カット効果は激減します。
SPF50の日焼け止めでも同様です。
つまり、『SPF1で20分間、紫外線カット効果がある』は、間違いです。
正しくは、SPF値は紫外線カット効果の倍率をあらわしています。
例えば、SPF1とSPF10を比較すると、後者の方が10倍紫外線カット効果に優れているということです。
SPF1とSPF20なら、20倍です。
そのため、SPF値は、高くなればなるほど、紫外線カット効果の差が無くなってきます。
実際に、SPF30以上の紫外線カット効果はほとんど変わりません。
これは、紫外線の刺激が30分の1でも、50分の1でも、刺激が小さすぎて肌に与える影響がほとんど変わらないからです。
そのため、SPF50の日焼け止めを一日一回塗るよりも、SPF10の日焼け止めを4時間ごとに塗る方が、紫外線の刺激を防ぐことができます。
私もSPFを正しく理解してから、日焼け止めを4時間に1度塗りなおしています。
3-2.白浮きで紫外線カット効果を判断する
紫外線吸収剤不使用の日焼け止めには、紫外線散乱剤が配合されています。
紫外線散乱剤が配合された日焼け止めは、粉状のため白浮きします。
白浮きはデメリットのように感じますが、紫外線カット効果を判断するのに役立ちます。
多くの人は、白浮きを嫌って、日焼け止めを伸ばします。
肌の上で伸ばすことで、粉状の紫外線散乱剤が分散して、白浮きを軽減します。
でも、これは紫外線散乱剤を薄める行為になります。
紫外線散乱剤が薄まると、紫外線カット効果が落ちて、敏感肌に紫外線のダメージが蓄積します。
例えば、SPF30の日焼け止めを肌に伸ばせば伸ばすほどSPFはどんどん落ちていきます。
その結果、SPF10以下になることもあります。
この場合、SPF30の日焼け止めを使ったとしても、実際にはSPF10以下の日焼け止めを使っているのと同じです。
だから、紫外線から敏感肌を守るために日焼け止めをのばしすぎる行為は止めましょう。
4.ボディ用なら、使い心地を重視してもOK
これまで、敏感肌には、紫外線吸収剤不使用の日焼け止めをおすすめしてきました。
特に、顔に使うなら、紫外線吸収剤不使用の日焼け止め一択です。
本当なら、ボディに使う日焼け止めも紫外線吸収剤不使用をおすすめしたいのが本音です。
でも、ボディ用に使うなら、使い心地を重視して、紫外線吸収剤配合の日焼け止めでもOKです。
もちろん、肌がヒリヒリしないことが前提です。
ボディに紫外線吸収剤の日焼け止めを使う理由は、、、
- 塗る範囲が広い
- 顔の肌に比べるとボディの方が丈夫
- ボディに日焼け止めを使うシーンは、紫外線が強い
- 衣服についても目立たない
詳しく見ていきましょう。
4-1.塗る範囲が広いので使い心地のいい紫外線吸収剤の日焼け止めでもOK
顔と比較して、ボディに日焼け止めを塗る場合、その範囲が広くなります。
そのため、塗り心地が重要になります。
範囲が広いために、伸びがよいものが塗りやすくなります。
紫外線吸収剤は、油分なので伸びがよく塗りやすいのが特徴です。
一方、紫外線散乱剤は、粉末なので伸びが悪く、塗りにくいのが難点です。
そのため、ボディのように広い範囲を塗ることに向いていません。
紫外線吸収剤の日焼け止めは、手軽にさっと広い範囲にぬることができます。
そのため、ボディに使うなら紫外線吸収剤の日焼け止めでもOKです。
4-2.顔は敏感肌でも体は普通肌なら紫外線吸収剤の日焼け止めでもOK
顔は、常に紫外線や外気にさらされているため、敏感になりがち。
その点、ボディは衣服によって、外界の刺激から守られています。
そのため、顔は敏感肌でも体は普通肌という人もいます。
普通肌であれば、紫外線吸収剤の刺激でも問題ありません。
そのため、ボディが普通肌なら、紫外線吸収剤の日焼け止めでもOKです。
4-3.ボディに日焼け止めを使うシーンは、紫外線が強いので紫外線吸収剤の日焼け止めでもOK
ボディに日焼け止めを使うシーンは、以下の通り紫外線が強いことが多いです。
- 海水浴でのビーチ
- サーフィンなどのマリンスポーツ
- リゾート地
- 炎天下でも活動
など
このように強力な紫外線が降り注ぐ場所では、SPF30~、PA++以上のUVカット効果の高い日焼け止めが必要です。
特に、SPF50+、PA++++といった現状、日本でもっともUV効果を引きだすためには、紫外線吸収剤の日焼け止めがおすすめです。
紫外線吸収剤は、敏感肌の刺激になる一方、高いUVカット効果を持っています。
紫外線散乱剤でも、SPF50といった高いUV効果を出せないことはありませんが、粉状の為、かなり使い心地が悪くなってしまいます。
そのため、SPF50+、PA++++といった高いUV効果が必要な使用シーンでは、紫外線吸収剤の日焼け止めでもOKです。
4-4.衣服についても目立たないので紫外線吸収剤の日焼け止めでもOKです。
ボディに使うと、どうしても衣服に日焼け止めがついてしまいます。
紫外線吸収剤の日焼け止めには、無色のものがあります。
無色の日焼け止めであれば、衣服についても目立ちません。
一方、紫外線散乱剤は、粉状の為、衣服につくと白く目立ってしまいます。
色の濃い服を着ていると、一段と目立ちます。
そのため、衣服につきやすいボディに使うなら、紫外線吸収剤の日焼け止めでもOKです。
5.安易に使ってはいけない敏感肌用日焼け止め
敏感肌用日焼け止めを安易に信じてしまうと、敏感肌に刺激を与える場合があります。
これは、ベビー用日焼け止め、子供用日焼け止めなども同様です。
- 敏感肌用日焼け止め
- ベビー用日焼け止め
- 子供用日焼け止め
これらは、特に規定があるわけではありません。
日焼け止めの商品名に「敏感用」「ベビー用」「子供用」とつければ、それだけでOKです。
だから、「敏感用」「ベビー用」「子供用」という言葉は、肌にやさしいイメージがあるだけで、敏感肌に刺激を与えない理由にはなりません。
大切なのは、その根拠です。
一体、どのような理由で、敏感肌にやさしいのか?
これがもっとも大切な要素です。
敏感肌にやさしい根拠が正しければ、「敏感肌用」と書いてなくても敏感肌用日焼け止めです。
逆に、根拠が間違っていれば、「敏感用」と書いてあっても敏感肌に使ってはいけません。
敏感肌用日焼け止めの肌にやさしい根拠でポピュラーなのが、香料・着色料・合成界面活性剤(ウォータプルーフ効果)不使用です。
どの成分も、敏感肌に刺激を与えません。
現在の精製技術によって、不純物が混入することもないので、非常に安全性の高い成分です。
特に、合成界面活性剤によるウォータプルーフ効果は日焼け止めに必須といえる成分です。
合成界面活性剤は、ベビー用や子供用日焼け止めに配合されていないことも多いのですが、赤ちゃんや子供ほど汗をかきます。
合成界面活性剤が配合されていないとウォータープルーフ効果がないので、汗で日焼け止めがすぐに流れ落ちます。
赤ちゃんや子供の肌は、肌を守る皮脂膜も少なく、皮膚が薄いために、非常に無防備な状態です。
だから、大人以上に紫外線の被害を受けてしまいます。
にもかかわらず、合成界面活性剤不使用の日焼け止めをベビー用・子供用と明記することに違和感を感じます。
私見ですが、ベビー用・子供用日焼け止めには、合成界面活性剤を配合したほうが良いと思います。もちろん、敏感肌用にも。
実際に、私は3人の子供がいるのですが、小さいときからベビー用・子供用日焼け止めではなく、合成界面活性剤の配合された日焼け止めを使っています。
全員、まったく肌への刺激も感じていません。
6.誤解しやすい敏感肌に無関係な日焼け止め
前項で、敏感肌用日焼け止めという商品名だけでなく、その根拠の大切さを説明しました。
ここでは、もう一歩踏み込んで、一見、肌にやさしそうだけども、実は、敏感肌に何の効果もない日焼け止めをご紹介します。
人の価値観は、様々なので、最終的には個人の自由です。
でも、できることなら敏感肌には、流行りやイメージではなく、肌への刺激を抑えることにこだわった日焼け止めをオススメします。
6-1.天然成分・オーガニック成分・保湿成分が配合された日焼け止め
日焼け止めに安全なイメージを持たせるために、天然成分やオーガニック成分配合をウリにしている場合があります。
『天然成分配合日焼け止め』『オーガニック成分配合日焼け止め』と聞くと、何だか安全な日焼け止めのようなイメージがあります。
でも、これはイメージだけです。
実際は、日焼け止めに天然成分やオーガニック成分を配合しても、肌への刺激が軽減しません。
例えば、日焼け止めの場合は、紫外線カット成分が肌への刺激になります。
そこに、天然成分やオーガニック成分を配合して、紫外線カット成分の刺激を緩和する効果があるのかというと、まったくありません。
また、紫外線カット効果を強くする効果があるのかというと、まったくありません。
紫外線を防ぐ目的である日焼け止めに、天然成分やオーガニック成分を配合してもメリットはありません。
逆に、価格が高くなったり、不要な成分を入れるために紫外線カット効果が阻害される可能性があります。
保湿成分も同様です。
こちらは、紫外線カット効果に保湿効果という付加価値をつけることをウリにしています。
でも、紫外線カット効果と保湿効果は相性が悪いです。
紫外線カット効果は、紫外線を防ぐものの肌にとっては異物です。
だから、紫外線を浴びない状況なら、洗い流したほうが肌にはやさしいです。
一方、保湿効果は、肌の上に水分と油分を補給することで、肌がうるおいます。
できるだけ肌の上にのせておく必要があります。
すぐに落としたほうが良いものと、ずっと肌にのせておくほうが良いもの。
相反する効果です。
紫外線カット効果による刺激を重視するなら、すぐに洗い落とします。
洗い落とす際に保湿成分も落ちるので、保湿効果はなくなります。
保湿効果を重視するなら、洗わずに日焼け止めを塗ったままにします。
塗ったままなので、紫外線カット効果による刺激を肌に与え続けることになります。
このように、紫外線カット効果と保湿の相性が悪いため肌に良い影響を与えません。
お得に感じる保湿効果ですが、日焼け止めには無意味なものです。
以上のことから、天然成分・オーガニック成分・保湿成分が配合された日焼け止めはおススメできません。
一般の人は、たくさんの成分が配合されている化粧品が肌に良いと思いがちです。
化粧品開発者によって意見は分かれると思いますが、私は20年以上化粧品の開発に携わってきた経験から、余計なものは配合しないほうが肌に良いと考えています。
その理由は、不要な成分や製造のコストの増加によるコスパの悪化。
もうひとつは、アレルギー反応への懸念です。
アレルギー反応は、どの成分で発症するか分かりません。
水でもアレルギーを引き起こす場合があることを考えると、どの美容成分でも平等に起きます。
天然成分・オーガニック成分でもアレルギー反応は起きます。
そのため日焼け止めに天然成分やオーガニック成分を配合することで、アレルギー反応が起きる可能性が上がります。
肌にとって、良い効果をもたらすために必要であれば、そのリスクをとる必要があると思います。
でも、何の効果もなければ、例え、少ないリスクであっても負うべきではないと思います。
肌にやさしいイメージを得るために、このようなリスクを負うことは敏感肌にとって良いこととは思えません。
まぁ、私自身が敏感肌なので、こだわり過ぎなのかもしれませんが……
6-2.ローション・スプレー・パウダータイプの日焼け止め
ローション・スプレー・パウダータイプの日焼け止めは、肌に塗ることがないので摩擦が軽減できます。
そういった意味では、肌にやさしいと言えます。
ただ、FDAが発表しているように、体内に吸引するリスクがあります。
今のところ、日焼け止めが体内に吸収される悪影響について報告はありませんが、すべてが解明されたわけではありません。
以上の理由から、ローション・スプレー・パウダータイプの日焼け止めは避けましょう。
6-3.防腐剤不使用の日焼け止め
紫外線吸収剤不使用の日焼け止めには、防腐剤不使用をウリにしている場合があります。
多くは、『防腐剤が配合されていない日焼け止めなので安全です』と宣伝されています。
でも、防腐剤不使用と化粧品の安全性に関連性はありません。
紫外線吸収剤不使用の日焼け止めに防腐剤を配合しなければ、安全性が高まるという根拠はありません。
確かに、防腐剤は肌への刺激がゼロではありません。
でも、これはすべての化粧品成分に言えることです。
もちろん、天然成分やオーガニック成分にも肌への刺激はあります。
そのため防腐剤だけ配合しないことが化粧品の安全性を高めることにはなりません。
もし、防腐剤を配合しないことで化粧品の安全性を高めるとするなら、できるだけ化粧品成分を配合しないことが肌への刺激を軽減することにつながります。
それに、化粧品成分が肌に悪影響を及ぼすなら、化粧品そのものを使わないほうが良いということになります。
こんな考え方、本末転倒ですよね。
そもそも化粧品開発者であれば、防腐剤が化粧品の安全性を高めることは、誰もが知っています。
化粧品だけでなく、医薬品や食品・飲料にも使われています。
自然界にも存在しています。
以上の理由から、防腐剤を危険視する意味が分かりません。
だから、防腐剤不使用の紫外線吸収剤不使用の日焼け止めは避けましょう。
こちら(「パラベンとは」上野製薬会社)に、防腐剤として有名なパラベンについて分かりやすく書いてあります。
防腐剤が危険だと思っている方は、一度読んでみてください。
7.敏感肌の日焼け止めに関してよくある質問
ここからは、敏感肌の日焼け止めに関して、よくある質問に答えていきます。
Q1.日焼け止めによる肌への刺激は、どんな肌荒れを引き起こすのですか?
日焼け止めが原因で肌に刺激を与える場合があります。
その刺激で以下のような肌荒れが引き起こされます。
- 赤み
- 腫れ
- かゆみ
- ブツブツ
- 湿疹
など、「化粧かぶれ」と同様の症状です。
一般的に肌表面で発症します。
Q2.紫外線の危険性って、なんですか?
紫外線の危険性は、環境省の紫外線による環境影響によると……
・日焼け
サンバーン:紫外線を皮膚に浴びることで、皮膚が赤く炎症を起こす急性症状
サンタン:人体の色素のメラニンが皮膚表面に色素沈着する(肌の色が黒くなる)こと
・免疫機能低下(太陽光を浴びることで疲労を感じる)
・シワ・シミ
・良性腫瘍:外科的に完全に切除すれば再発することがない腫瘍
・前がん症:がん細胞になる一歩手前の状態
・皮膚がん:皮膚がんには、主に上皮系のがんと肉腫があります
上皮系のがんとは、主に表皮および表皮の中にある細胞から生じるがんです
肉腫とは、表皮以外の細胞から生じるがんです
など、肌表面はもちろんのこと、肌内部にも症状が現れます。
このように紫外線による危険性は、肌表面にとどまるものから、皮膚がんのように、私たちの生命にかかわるものまで、幅広くあります。
Q3.日焼け止めを使うとヒリヒリするのですが、紫外線とどちらが肌に悪いのですか?
断然、紫外線です。
日焼け止めによる刺激は、肌表面に留まります。
もちろん、辛い思いをすることにはなりますが、比較的、治すことは容易です。
一方、紫外線による肌への刺激は、深刻です。
肌表面の肌は硬くなり、深いしわが刻み込まれます。
真っ黒で大きなシミも増えて、一度できたら最後二度と消えることはありません。
このように老化が一気に促進されて、実年齢よりも何十歳も老けて見られることになります。
また、肌表面だけでなく体内にまで影響を及ぼすために、命の危険性に直結する場合もあります。
そのため、医療による治療が必要となり、治療が困難な場合もあります。
日焼け止めと紫外線による刺激を比べると、ダメージの違いは一目瞭然です。
日焼け止めは化粧かぶれ、紫外線はがんの原因という大きな差があります。
そのため、たとえ敏感肌であっても、日焼け止めで紫外線による肌への刺激を防ぐことが必要です。
たとえ、日焼け止めでかぶれたとしても、「紫外線による刺激を日焼け止めの刺激程度に抑えている」と考え方を変える必要があります。
以上のことから、敏感肌であっても、日焼け止めを使用するほうが総合的に肌を守ることになります。
まとめ
敏感肌に日焼け止めを使う場合、最も大切なことは2つです。
- 敏感肌にやさしい日焼け止め選び
- 敏感肌をやかない正しい日焼け止めの使い方
そのために、敏感肌には以下の条件をクリアした日焼け止めがおすすめです。
- 紫外線吸収剤不使用の日焼け止め
- 紫外線散乱剤がコーティングされてる
- 日常使いには、SPF20~30、PA++程度の日焼け止め
- ミルク・クリームタイプの日焼け止め
- ウォータプルーフ効果のある日焼け止め
日焼け止めの正しい塗り方は、少し白浮きする程度の量を肌に塗りましょう。
そして、4時間ごとに塗りなおしましょう。
敏感肌にやさしく、紫外線をしっかり防ぐ日焼け止めを正しく使って、シミ・シワを防ぎ、いつまでも若々しい肌を保ってください。