
膝裏のかゆみに耐えきれず、ついつい掻きすぎてしまい、さらにかゆくなるという悪循環。
掻くことで皮膚が傷つき、出血したり、腫れたりすることがあります。
状況が悪化すればするほど、治りは遅くなってしまうことが。
このかゆみは何が原因なのか、どうしてかゆくなるのかご存知ですか?
この記事では、膝裏のかゆみの原因と対処法を紹介します。
膝裏のかゆみは掻いて紛らわせるのではなく、ひどくなる前に対処することで、悪化を回避できます。
ですから、膝裏のかゆみに悩んでいる人は、今からご紹介する対処法を試してみてください。
目次
1.膝裏のかゆみの原因
思わず掻きむしりたくなる不愉快なかゆみは、体を守る防御反応の1つです。
私たちの体は、かゆみを感じることで異常が起こっている部位を知らせます。
そして、それを取り除くために掻いてしまうのです。
皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層からできています。
かゆみを伝えている神経の末端部分は、表皮と真皮の境界線にあります。
かゆくなる現象が胃や腸では起こらず、皮膚で起こるのはこのためです。
さて、かゆいところを掻くと、その瞬間は気持ちいいです。
しかし、掻いてしまうと結果として皮膚を傷つけてしまうため、肌の状態は悪化します。
掻くことでバリア機能が壊れてしまい、少しの刺激にも敏感になり、肌のかゆみもさらに増していくのです。
このやっかいな膝裏のかゆみは、湿疹や皮膚炎で見られる症状です。
主に、外からの刺激と体質などの内面的な要因が原因で起こります。
1-1.外からの刺激
外部的な刺激は、大きく分けて3種類あります。
- 物理的なもの(日光・温熱・寒冷・乾燥、金属、衣類のこすれなど)
- 化学的なもの(化粧品・洗剤、整髪剤、歯磨き粉など)
- 生物によるもの(花粉、細菌、植物、昆虫など)
かゆみの原因は一つではなく、これらのさまざまな刺激が重なって起こることがあります。
寒暖の差や空気の乾燥ではかゆくならないけれど、洗剤の種類によってかゆみが出る。
洗剤は問題ないけれど、空気の乾燥でかゆくなる。
原因は人によって違いますので、特定がしづらいので厄介です。
1-2. 内側からの因子
ひざのかゆみは、外からの刺激だけでなく、体の中に問題を抱えているケースもあります。
例えば、乾燥などの肌状態や皮膚分泌の異常、またアレルギー体質など。
これらはどれも体の異常と言えるため、かゆみを悪化させないためには原因に応じた対処が大切です。
2.かゆみや湿疹が繰り返される場合は、アトピー性皮膚炎の可能性がある
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹がでる代表的な皮膚の病気です。
もともとアレルギー体質の人や皮膚のバリア機能が弱い人に多いとされています。
アトピー性皮膚炎にはいくつか特徴があります。
- かゆみや湿疹が繰り返される
- 顔、首、肘や膝の裏側に現れやすく、全身に広がることもある
- 約8割の人が5歳までに症状が現れている
- アトピー素因を持っている
- アトピー以外にもぜんそくや花粉症、食物アレルギーなどの疾患を併せ持っている
かゆみや湿疹が繰り返され、これらの症状が小さな頃からある人は、アトピー性皮膚炎の可能性があります。
かゆみは膝裏のほか、顔、首、肘の裏などにも現れやすく、全身に広がることも。
ひざの裏や肘の裏など左右対称に炎症が出やすい傾向があります。
アトピー性皮膚炎の症状と原因について詳しく説明します。
2-1.かぶれや黒ずみも。アトピー皮膚炎の症状
ここでは、アトピー皮膚炎の症状を紹介します。
- かゆみ
- 皮膚の炎症
- かぶれ
- 黒ずみ
これらの症状がある人は、アトピー皮膚炎の可能性があります。
中でもかゆみに苦しめられる人が比較的多いと言われており、掻けば掻くほど症状が悪化します。
湿疹は、額や目のまわり、口のまわり、肘、膝の裏側など関節部分などにみられます。
赤みのある湿疹、水分の多いジクジクとした湿疹、しこりのような湿疹など種類はさまざまです。
ささくれができて、皮がむけてしまうこともあります。
子どもはかゆみを我慢できないため、血が出るまで掻いてしまうケースが見られます。
掻くことが繰り返されると、皮膚が分厚くなりごわついたり、黒ずみができたりします。
2-2.ストレスでもかゆくなることも。アトピー皮膚炎の原因
アトピー皮膚炎は、バリア機能が弱い肌の人や体質、外部からの刺激などが複雑に重なり起こると考えられています。
バリア機能は、水分の蒸発を防ぎ、さまざまな刺激から守る役割を担っています。
外部からの刺激によりバリア機能が低下する場合もあれば、生まれつきバリア機能が弱い人もいます。
バリア機能が弱いということは、常に皮膚が外部からの刺激にさらされている状態だということ。
刺激を受けやすい状態のため、ダニやほこりといったハウスダストや、掻くなどの物理的な刺激、石けんや金属などの化学物質、汗や紫外線によりかゆくなるのです。
また、日本皮膚科学会によると、ストレスなどでアトピー皮膚炎になってしまうことも。
確かに、思春期以降も続く大人のアトピー性皮膚炎で、家庭や学校、会社などでの人間関係、多忙、進路葛藤、自立不安などの心理社会的ストレスが悪化に関係していたことがしばしばあります。
イライラしたときや逆にホッとした時についつい引っ掻いてしまい、それが半ば習慣化し、クセのように掻いていることが治らない大きな要因となっています。
医師との話し合いの中で、そのような状態にあることに気づくだけでも、症状が好転するきっかけになります。
引用:日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎」
さまざまな原因がありますが、場合によってはいくつもの要因が重なり症状が出てきます。
2-3.夏に悪化するタイプと冬に悪化するタイプの違い
アトピー性皮膚炎の症状は、季節によって安定している時期と悪化しやすい時期があります。
夏になると悪化する人は、汗や、紫外線によってかゆみが強く出やすいタイプです。
特に夏は、汗によって体を冷やす機能が活発になります。
汗を掻きやすい脇、首、膝の内側に湿疹ができやすくなります。
一方、冬になると悪化する人は、肌の乾燥によってかゆみがでやすい人です。
冬になると空気が乾燥し、肌も乾燥し、バリア機能が低下します。
暖房によってさらに空気が乾燥すると、さらにかゆくなります。
3. 膝裏のかゆみを対処する方法
膝裏にかゆみが出たとき、かゆいからといって掻いてしまうと、皮膚が傷つき悪化します。
そのため、なるべく掻かずに対処することが大切です。
洋服による刺激や汗などかゆみの原因が特定できる場合は、汗を拭いたり着替えたりして、かゆみの原因となっている刺激を取り除きましょう。
それでもかゆみが収まらないときは、皮膚科を受診することをおすすめします。
どうしても病院に行けない場合には市販薬を使うという方法はありますが、とくにアトピー性皮膚炎の場合の自己治療はおすすめしません。
3-1.医療機関で受診する
かゆみや腫れがひどく、繰り返しかゆくなる場合は、皮膚科を受診してください。
また、以下のような症状がある場合も受診が推奨されています。
- 皮膚がかゆいだけではなく、赤みがあったりヒリヒリする
- 患部が出血している
- 以前、アトピー性皮膚炎の診断を受けたことがある
- 発熱や倦怠感などもある
場合によっては、かゆみの原因が内側にあり、内臓疾患や悪性腫瘍が疑われる可能性があります。
早急に治療するためにも、なるべく早く医療機関で相談しましょう。
スムーズに治療するためにも、受診する前に下記のポイントを整理しておくのがおすすめ。
- かゆみが出る部位
- かゆくなり始めた時期
- 日中の症状
- 夜の症状
- かゆみが出やすい場面(ストレスを感じたとき、入浴中、仕事中など)
これらの情報を、スマホや紙にメモを残しておきましょう。
3-2.市販薬を使ってセルフケアをする
病院に行けない場合や軽いかゆみの場合、セルフケアによりかゆみを治めたいという人には市販薬があります。
ドラッグストアには、かゆみに特化した市販薬がいくつか売られていますので、薬剤師に相談しましょう。
市販薬にはいくつか種類があり、配合されている成分によって期待できる効果が異なります。
肌の状態にあわせて、薬剤師のアドバイスを元に選んでください。
症状が軽いとき:抗ヒスタミン剤のかゆみ止め
かゆみをやわらげるための薬です。
抗ヒスタミン剤は、アレルギー症状の原因となる「ヒスタミン」の生成や働きを抑えてくれます。
皮膚のかゆみの改善が期待でき、ステロイド成分入りと比べると効果は穏やかです。
かゆみが強いとき:ステロイド成分配合のかゆみ止め
ステロイド成分は、過剰に反応している免疫系の反応を抑え込み、炎症を鎮め赤みやかゆみを抑えます。
感染症や化膿の皮膚には使えないので、注意が必要です。
化膿しているとき:抗生物質入りのかゆみ止め
抗生物質は細菌を抑える成分です。
感染症が原因のかゆみに使いましょう。
健康的な皮膚やかゆみがそこまでひどくない場合には使用しない方が良いかもしれません。
患部がジュクジュクしており化膿しているようであれば、抗生物質入りのかゆみ止めを使ってみてください。
ステロイド配合の市販薬は、塗り方に注意が必要です。
基本的には市販薬の説明書を読んで、その通りに行います。
同時に、下記のポイントを覚えておくと安心でしょう。
- 薬を塗る前に膝裏を清潔にする
- 適量を塗る(チューブの場合は人差し指から第一関節まで薬をのせた量、ローションや乳液は1円玉もしくは手のひら2枚分の面積)
- 擦らず、すり込まず、やさしく伸ばす
- 1日1回~2回塗る
- 症状が治まったら使用をやめる
市販薬がすぐ手に入らない場合や、一時的な応急処置がしたい場合は、患部を冷やすのがおすすめです。
皮膚の温度を下げることによって、神経の興奮が治まります。
保冷剤をハンカチやタオルで包み、患部に当てましょう。
氷をビニール袋に入れて冷やすのもおすすめです。
保冷剤や氷がない場合は、シャワーで冷たい水をかけてもかゆみを和らげることができます。
4.日常生活を見直して繰り返さないことが大切
膝裏のかゆみは、市販薬を使った処置だけでなく、日常生活を見直すことも重要です。
市販薬で対処すると、確かにかゆみが消えるかもしれませんが、根本的な解決にはなりません。
かゆみを繰り返さないためにも、原因をしっかり取り除き、対処していきましょう。
ここでは、下記のポイントを紹介します。
- 肌への刺激をなるべく避ける
- しっかり保湿をする
- ストレスが溜まらないように発散する
- 身の回りを清潔に保つ
どれも重要なポイントですので、覚えておきましょう。
4-1.肌への刺激をなるべく避ける
掻くだけでなくこするなどの行為も、皮膚にとっては刺激が大きすぎます。
かゆみの原因になるので、やめましょう。
特に、お風呂に入るときは注意が必要です。
石けんをしっかりと泡立てて、摩擦による負担を減らしながら体を洗いましょう。
また、石けんやシャンプーが肌に残っていると、かゆみの原因になります。
洗い流しは念入りに行いましょう。
清潔にするのは良いことですが、熱いお湯につかると、乾燥しやすくなります。
お湯の温度はぬるめにし、長風呂や過度な入浴は避けましょう。
手がふやけるまで入るのは、長すぎます。
そのほか、チクチクする肌着も刺激になることも。
綿100%などの肌触りのやさしい下着や洋服を選んでください。
下着や洋服を洗う洗剤も、なるべく刺激の少ない物を使いましょう。
漂白剤や着色料が入っていない、自然由来の原料を使っている洗剤などおすすめです。
最後に、ストッキングなどの化学繊維は、皮膚を乾燥させます。
ストッキングを履く前に、ボディクリームを塗っておくと乾燥を防げます。
関連記事:ストレスフリーで快適に過ごす「敏感肌用下着」を選ぶ5つのポイント
4-2.しっかり保湿をする
肌が乾燥していると、刺激を感じやすくなります。
特に膝裏は、ボディクリームを塗るときに忘れてしまいがち。
日頃から意識的に保湿しましょう。
膝裏に適切な保湿剤は、市販のワセリンやボディクリーム、乳液などがあります。
顔に使えるオールインワンジェルも、ボディの保湿に使えます。
当メディアを運営する株式会社アースケアのオールインワンジェルも、ご愛用の方は手荒れやボディの乾燥にも使われる方が多いです。
「顔に使えるので安心感がある」「顔も体も一つで済むし、あれこれ買わなくていいのがらくちん」だと喜ばれています。
お持ちのものがあれば、使ってみられてはいかがでしょうか。
また、かゆみが強い場合には、かぶれなどの炎症を抑えるとされているグリチルリチン酸二カリウムが配合されている医薬部外品のクリームなどもあります。
保湿しながらかゆみも同時にケアしたい場合は、かゆみに特化した有効成分が入ったクリームを使ってみてください。
4-3.ストレスが溜まらないよう発散する
イライラするとかゆくなるように、心の状態によってかゆみが出ることがあります。
起きる時間、寝る時間をきめて生活リズムを整え、十分に睡眠をとりましょう。
疲れたら休み、悩み事があれば誰かに相談するなど、疲れやストレスをため込まないようご自身の体を労わることも大切。
また、ヨガや瞑想、運動、映画鑑賞、読書、温泉、マッサージなど心地よく楽しめることが見つかると、ストレスをため込まずに済むかもしれません。
4-4.身の回りを清潔に保つ
かゆみの原因となる刺激を減らすためにも身の回りを清潔に保ちましょう。
皮膚に汗や汚れが残っていると、菌が繁殖しやすくなり、かゆみの原因になります。
スポーツの後や帰宅後などすぐに洗い流すようにしましょう。
その際、衣類なども新しいものと交換してください。
また、ダニやほこりといったハウスダストもかゆみの原因になり得ます。
部屋が散らかっていたり、物があふれていたりすると、ほこりもたまりやすくなるので、こまめに部屋を掃除するのが理想的。
ゴミも、ため込まずにすぐに捨てましょう。
さらに、毛の長いカーペットはダニの巣窟。
毛の短いものに変更してください。
もう一つ気を付けたいのが、寝具です。
所説ありますが、寝具は1週間に1度洗うことが推奨されています。
また、洗う際には60℃以上の熱いお湯で洗うことが推奨されていますので、可能であれば取り入れてみてください。
ベッドや布団を洗えない場合は、布団専用のヘッドをつけた掃除機をかけるだけでも快適になります。
眠るときに体にむずがゆさを感じる場合には、一度取り入れてみましょう。
最後に、定期的に換気をして、風通しを良くすることがおすすめ。
温度や湿度によってもかゆみが強くなることもあります。
エアコンを上手に活用して室内の環境を整えましょう。
まとめ
膝裏のかゆみにはさまざまな原因があり、基本的には外的刺激によるものと内的な因子によるものが関わっています。
市販の薬で抑えることはできる可能性がありますが、繰り返している場合やかゆみが強い場合は皮膚科の受診をおすすめします。
セルフケアにこだわり過ぎて悪化させないよう、くれぐれもお気をつけくださいね。
その他にも、下記のポイントを覚えおいていただきたいです。
- 膝裏は日頃から保湿をすることが大切
- 日常生活を見直すことで、かゆみを根本的に改善できる可能性がある
- ストレスもかゆみにつながることがあるので、ストレス発散も重要
悪化させないためには、掻かないことが重要です。
治療とあわせて日常生活も見直すことで良い循環が生まれ、少しでも快適な生活になることを願っております。