保湿に特化したアクアテクトゲルですが、『何か得るものがあれば捨てるものもある』のが世の常です。
高い保湿効果を得るためには、使用感(テクスチャ)を捨てました。

通常、化粧品をつくる際は、保湿などの美肌効果のほかに、使用感(テクスチャ)や見た目(色)、香りなどを重視します。
昨今は、特にその傾向が強まっています。

例えば、

  • 塗った後にしっとりと肌がうるおっているような感覚を得られるボディソープ
  • 塗った後に冷たく感じる冷感作用(コールドクリームなど)
  • 逆に温かく感じる温感作用(ホットクレンジング)

などです。

これらは、特定の化粧品成分と製法によって、肌がしっとりしたり、冷たかったり、温かく感じます。
でも、実際は、肌がしっとりするボディソープを使っても、肌がうるおっているわけではなく、界面活性剤が肌に残っているだけだったりします。
だから、うるおうというより、ヌルヌルします。

冷感作用・温感作用によって、冷たく、温かく感じても、実際に肌表面の温度が上がるわけではありません。
ただ、そう感じるだけです。
もちろん、何の美容効果もありません。
化粧品開発者の立場からすれば、化粧品が不安定になる要素が増えるだけで、肌がキレイになるメリットはありません。

ただ、このように美肌効果がなくても、使用感によって肌に良いと『錯覚する実感』には絶大な効果があります。

界面活性剤によってヌルヌルする状態を、「肌がうるおっている」と言われれば、保湿できていると勘違いします。
コールドクリームを使って冷たさを感じると、毛穴が引き締まる気がします。
ホットクレンジングを使って温かさを感じると、熱によって皮脂や角栓が汚れがとれる気がします。

実際の効果と感覚には大きなギャップがあるのです。

このギャップが生み出される背景には、次のような事実があります。

化粧品は薬機法によって、広告手法がかなり制限されています。
例えば、「シミやシワが消える」「ニキビが治る」などの表現はNGです。

そのため、たとえ意味はなくとも、特別な使用感によって美容効果と勘違いしてもらうことは売り上げに大きく貢献します。
商業活動としては、正しい行為だと思います。

「使用感の良さと美容効果は関連性がない」ということを知らなかったら、私も喜んで使っているでしょう。
「世の中知らないほうが幸せなこともある」なんて言葉もあります。

でも、もう手遅れです。
私は、化粧品を研究開発する知識を得る過程で真実を知ってしまいました。

化粧品開発者として真実を知ってしまい、乾燥肌や敏感肌に悩む身でもある私にとって、このような誤魔化しは許されない行為です。

そのため、アクアテクトゲルには、使用感を良くするためのアルコールなどの成分をはじめ、香料・着色料も配合していません。