あなたは今、こんなことで、お困りではありませんか?
- せっかく使った基礎化粧品でかぶれる
- どんなスキンケアもヒリヒリする
- いつまでたってもキレイな肌に近づかない
「敏感肌にあうスキンケアが見つからない」というこの問題。
実は、意外な原因があります。
多くの人が、「敏感肌用の化粧品」を使用していることです。
化粧品によって、「低刺激」や「敏感肌用」の基準や根拠はバラバラです。
本当に敏感肌のために考えられた化粧品がある一方、肌に刺激になるものでも「敏感肌用」「低刺激」といって売られています。
そのため、「敏感肌用の化粧品」を使っても、なかなかキレイになれません。
それどころか、ヒリヒリやかぶれを繰り返してしまうのです。
私は、生まれつきの敏感肌です。
そして、15年以上携わっているスキンケアアドバイザーという仕事を通して、次のことを学びました。
敏感肌でも、
- 正しい基準でスキンケアを選べば、ヒリヒリやかぶれを避けられる
- さらに、正しい方法でスキンケアを続ければ、敏感肌のそのものを解消できる
そのための方法をお話します。
- 20年以上にわたり敏感肌のスキンケアをサポートしてきた専門知識
- 私を含め、敏感肌であるスキンケアアドバイザーたちによる実験と体験
- 敏感肌のお客様と一緒に行ってきた効果検証
これらをもとに構築した『敏感肌の正しいスキンケア』です。
これまでに10万人以上の方々が試し、敏感肌の悩みを解消してこられました。
きっと、あなたの症状を和らげたり、敏感肌の悩みを解消するヒントになります。
ぜひ、実践してください。
そして、ヒリヒリしない、キレイな肌を手に入れましょう!
1.敏感肌でもヒリヒリしないスキンケア・6つの選び方ポイント
「どんな化粧品がヒリヒリしないか?」は人によって異なります。
しかし、これからご紹介する6つは、全ての敏感肌の人が押さえておくべきポイントです。
ヒリヒリしないスキンケアの選び方
- 「セラミド配合」よりも大切!「化粧品の総合力」を基準に選ぶ
- 「防腐剤」がきちんと配合されている化粧品を選ぶ
- 「無添加」は、自分の肌にあわせて選ぶ
- 「天然成分・自然派化粧品」のイメージにだまされない
- 「美白成分」よりも「保湿」で美白ケアする
- 「エタノール」が配合されていない化粧品を選ぶ
この6つをクリアした化粧品なら、刺激を感じずに使える可能性がグッと高まります。
順番にお話します。
これらを基準に、あなたの肌を安心して任せられる化粧品を見つけてください。
1-1.「セラミド配合」よりも大切!「化粧品の総合力」を基準に選ぶ
敏感肌なら「セラミド配合」を基準に選ぶのはやめましょう。
セラミドとは?
- 肌の角質層にある保湿成分のひとつ
- 肌の水分を保持する
セラミド配合の化粧品とは、肌にあるセラミドを模した「合成セラミド」を配合した化粧品です。
肌にあるセラミドと同様に、肌をうるおし、弱ったバリア機能を高める効果を期待して、多くの敏感肌用化粧品に配合されています。
そのため、「セラミドが配合されているかどうか?」を基準に、敏感肌化粧品を選ぶ人も多いです。
でも、この基準は間違いです。
セラミドが配合されているからといって、肌が特別にうるおったり、バリア機能が高まったりはしません。
反対に、肌を十分にうるおさず、バリア機能を低下させてしまう化粧品もあります。
このような化粧品を使えば、ヒリヒリやかぶれが起こりやすくなってしまいます。
敏感肌の人は「セラミド配合」の有無ではなく、「化粧品そのものの保湿力」を基準に選びましょう。
1-1-1.「化粧品そのものの保湿力」こそ、敏感肌のヒリヒリを防ぐ
化粧品成分としてのセラミドは、確かに保湿効果の高い成分です。
「セラミド配合化粧品」を塗ると、しっとり感じられることがあります。
しかし、化粧品の保湿効果は、たった1つの成分では決まりません。
どんな化粧品も、数十種類の成分同士が相乗効果を発揮して、保湿を行います。
つまり、「セラミド配合化粧品」を塗って肌がしっとりした場合、それは、「セラミドの効果」ではなく、「使った化粧品の(総合の)効果」です。
これを基準に選べば、しっかりと保湿ができます。
保湿ができれば、肌のバリア機能が高まり、ヒリヒリやかぶれは起こりにくくなります。
「セラミド配合」という言葉に惑わされず、化粧品本来の保湿力を見極めましょう。
セラミド配合化粧品に実際にどれくらいの効果が期待できるのか、詳しく知りたい場合は「セラミド化粧品を使う前に知っておきたいセラミドの効果」をご覧ください。
化粧品の保湿力を見極める方法
化粧品の保湿力は、使ってみなければわかりません。
実際に化粧品を使って、保湿効果を見極めます。
指定されている使用方法で使う
自己判断でのアレンジは行わず、指定の方法で使いましょう。化粧品自体の保湿力が分かりやすいです。
目元・口元の肌の調子を基準にする
目元・口元は皮膚が薄く、乾燥しやすい箇所です。
肌がうるおい不足になったとき、他の部位よりも早い段階で小ジワやかさつきなどが目立ちます。
目元・口元の変化を基準にするのもひとつの方法です。
特に乾燥に弱い部位を基準にする
肌が乾燥してくると必ずかゆくなる、赤くなる、など、ご自身のこれまでの経験から、乾燥の影響を受けやすい部位がある場合は、その部位の調子を基準にできます。
まずは1ヶ月。その後に1年間。段階的に肌の調子を見る
化粧品の保湿効果はすぐには現れません。
最初に数日間使ってみて、「どうしても乾燥する」ということがなければ、まずは1ヶ月間使いましょう。
その間に、乾燥による肌トラブルが起こらなければ、さらに最低1年間はお手入れを続けます。
敏感肌は、季節や体調によっても肌の調子が変わります。1年間、大きな乱れがなく肌のうるおいを維持できていれば、保湿効果の高い化粧品です。
1-2.「防腐剤」がきちんと配合されている
敏感肌の人は、防腐剤がきちんと配合されている化粧品を選びましょう。
防腐剤が配合されていないと、化粧品は簡単に雑菌が繁殖し、傷んだり、腐ったりします。
このような化粧品を肌につければ、刺激やかゆみ以外にも、大きな肌トラブルを招く恐れがあります。
化粧品の原料には、あらかじめ防腐剤が配合されているものが多いですが、化粧品を作る際に欠かせない水やオイルには配合されていません。
どのような化粧品であっても、製品としての品質と安全性を維持するためには、防腐剤が欠かせません。
必ず、防腐剤が配合されている化粧品を選びましょう。
安全性が立証されている防腐剤
- パラベン
- フェノキシエタノール
- 分量は少ない方が望ましい
- 相乗効果で量が減る場合があるので、単純に複数配合されているから悪い、ということはない
また、「手作り化粧品」も避けましょう。
化粧品をつくる環境や使用する器具等を介して、化粧品に雑菌が混入してしまう恐れが高いです。
防腐剤について、さらに詳しい情報は、「オーガニック化粧品や自然派化粧品と、普通の化粧品を比べてみました」をご覧ください。
1-3.「無添加」は、自分の肌にあわせて選ぶ
敏感肌の人は、「無添加化粧品」にも注意が必要です。
敏感肌と言っても、人によって、刺激となるものは異なるからです。
「無添加化粧品は安全だ」と思っていらっしゃる場合には、「「無添加化粧品」と「普通の化粧品」を比べてみました」をご覧ください。
世間が「配合していないほうがいい」と言っている成分が無添加かどうかよりも大切なのは、「自分の肌にとって刺激となるもの」が配合されていないことです。
1-3-1.パッチテストで、「合わない成分」を突き止める
化粧品を使ったときに、赤みやかゆみ・湿疹などの症状を繰り返し経験しているなら、一度、皮膚科で「パッチテスト」を受けましょう。
化粧品のどの成分にアレルギーを持っているのかが把握できます。
自分のアレルギーを知っていれば、次から、その成分が配合されていない化粧品を選べます。
皮膚科を受診するのは少し面倒に思えるかもしれませんが、化粧品を試すたびに「肌が荒れないだろうか」と感じる不安や、アレルギーを起こして肌を傷めてしまう危険を、未然に防げます。
肌を守り、時間やお金を無駄にしないためにも、パッチテストを受けましょう。
1-4. 天然成分・自然派化粧品のイメージにだまされない
ヒリヒリを防ぐなら、「天然成分100%」「自然派化粧品」にも注意しましょう。
人の手が一切加えられていないもの、あるがままのものは、新鮮で栄養が豊富な印象があります。
ですから、「自然界にあるものが安全だ」と思うのかもしれません。
ところが、化粧品の原料に関しては、「天然・自然のものの方がいい」とは限りません。
天然成分であるほど、肌に刺激を与えるおそれがあります。
オリーブオイルを例に考えてみましょう。
1-4-1.天然成分は、品質が不安定
同じ品種のオリーブを同じ土地で育てても、味や風味・大きさや形、皮の厚さ、異なるものができます。
自然界のものに、まったく同じものはひとつもありません。
この自然のオリーブを使って、化粧品を作ったとします。
原料となるオリーブの品質がバラバラなので、化粧品の質も一定には保てません。
つまり、同じ化粧品でも、「先月買ったこれは肌に合うけど、今月買ったものは合わなかった」ということが起こりえます。
1-4-2.天然成分には、不純物が混ざっている
自然界で育ったオリーブを使って、オリーブオイルを作るとしましょう。
天然・自然のものには、さまざまな栄養素が含まれています。
その栄養素が、オリーブオイルの風味や味を作り出します。
しかし、このオリーブオイルを肌につけると、大変です。
肌に刺激を与えたり、肌トラブルを招くおそれがあります。
というのは、まさに「オイルに含まれる栄養素」が、肌にとっては刺激物になるからです。
化粧品成分の世界では、これを「不純物」といいます。
つまり、
天然・自然の原料は、
- 質が安定しない
- 天然だから腐る・傷む
- 不純物を含んでいる
そのため、
- 化粧品にそのまま配合すると、肌トラブルを招く恐れがある
ということです。
化粧品の世界では、「安全そう」「肌によさそう」というイメージで販売するために「天然成分配合」や「自然派化粧品」という謳い文句を使います。
本当に敏感肌にとって安全だとは限りません。
また、「天然成分」「自然派」を謳う化粧品の多くも、実は、天然物をもとにした合成成分でつくられています。
ですから、天然成分100%の化粧品は存在しません。
二重の意味で、安全性の基準にはならないということです。
ですから、肌に刺激を与えないよう、「天然」「自然」を基準に化粧品を選ぶのはやめましょう。
自然派化粧品や天然成分配合の化粧品について、さらに詳しく知りたい方は、「オーガニック化粧品や自然派化粧品と、普通の化粧品を比べてみました」をご覧ください。
1-5.美白成分よりも「保湿」で美白ケアする
敏感肌の方に、美白化粧品はおすすめしません。
美白化粧品は、有効成分(美白成分)を配合しているため、「医薬部外品」の区分となります。
<化粧品と医薬部外品の違い>
効果 | 副作用 | |
化粧品 | おだやか | なし |
医薬部外品 | あり | あり |
医薬品ほど直接的な効果はないものの、「作用が緩和」な化粧品と比べて、目的に応じた「効果」があります。
しかし、「効果」がある代わりに「副作用」も認められているのが医薬部外品です。
2013年に社会問題となった「白斑問題」は、まさにこの副作用でした。
【参考】厚生労働省「医薬部外品・化粧品による白斑等の副作用に関する対策について」
【参考】カネボウ「2013年7月美白商品自主回収について」
医薬部外品というと、「化粧品よりも安全で、敏感肌に良さそう」と思われる方もいらっしゃいます。
でも、実際は、化粧品よりも肌への刺激が強いのです。
さらに、敏感肌は肌のバリア機能が弱まっています。
肌の表面に小さな傷ができ、肌についたあらゆるものが、肌や体の内部に侵入しやすい状態です。
美白化粧品のような刺激のある化粧品を塗れば、余計に過敏な反応が出るおそれがあります。
そのため、敏感肌の方に美白化粧品はおすすめしません。
その代わり、肌の機能アップで美白ケアを行いましょう。
1-5-1.「保湿」は一番効果的で安全な美白ケア
敏感肌にとって、一番おすすめの美白ケアは「保湿」です。
保湿をしっかり行えば、次のような良いサイクルが生まれます。
- 肌がうるおう
- 肌のターンオーバーがスムーズに行われる
- ターンオーバーによって、肌表面にとどまっていたメラニン色素が排出される
メラニン色素は、シミやくすみの原因です。
排出されれば、日焼けや炎症によってくすんだ肌色が本来の色に戻り、透明感を取り戻します。
肌が本来持っている機能を活かすだけですので、刺激や負担はありません。
敏感肌の人にとって、一番、効果的で安全な美白ケアです。
1-6.「エタノール」が配合されていない化粧品を選ぶ
どんな敏感肌でも、避けるべき成分は「アルコール」です。
アルコールには、揮発性があり、敏感肌に使うと、
- 肌が乾燥しやすくなる
- ヒリヒリした刺激を感じる
といったデメリットがあります。
1-6-1.成分表で「エタノール」をチェック
「アルコール」とつく成分すべてが、揮発性をもっているのではありません。
敏感肌が避けるべき成分は、『エチルアルコール』(成分表示:エタノール)のみです。
化粧品を試す前には、成分一覧を確認し、『エタノール』と記載されているかどうかをチェックしましょう。
これは、防腐剤です。
エタノールという言葉がついていますが、まったく別の成分です。
アルコールの特徴である「揮発性」もありません。
安心してください。
2.新しいスキンケアを使い始めるときの3ステップ
新しい化粧品を使うときは、次の3つのステップを踏みましょう。
敏感肌の方たちに、必ず行っていただいているステップです。
これで、ヒリヒリしたり、かぶれたりするリスクを避けられます。
2-1.最初にパッチテストをする
化粧品が肌にあわない場合、その化粧品の成分どれかにアレルギーを持っている恐れがあります。
事前にパッチテストを行い、アレルギーがあるかどうかを確認しましょう。
自宅で簡単にできます。
2-1-1.パッチテストの方法
1日目 化粧品を上腕内側にぬります 入浴後の清潔な肌におぬりください 腕の内側に指で薄く10円玉大に塗り、自然に乾かします。 その後は、テスト部位に触れないでください。 |
|
2日目 約24時間後、ぬった部位をチェック 異常がなければ、入浴後、再度、腕の内側にぬります 時間は必ず守ってください。 入浴前などに、テスト部位を観察します。(24時間後観察)その後入浴しても構いません。 テスト中および2回目の観察時において発疹・発赤・かゆみ・水泡等の異常を感じたら、すぐにテストを中止し、洗い流してください。(異常があった場合は、皮膚科専門医の診察を受けてください) |
|
3日目 さらに24時間後観察し、テスト部位に何の異常もなければOKです 約24時間後入浴前などにもう一度観察してください。(48時間後観察) |
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続いて、顔に10円玉大をぬります ・耳の下や耳の裏 ヒリヒリなど異常を感じたら、洗い流してください。 |
2-2.生理前後の7日間は避ける
女性の肌は、ホルモンバランスの変化によっても、状態が変わります。
特に、生理前後の7日間は、肌が敏感になりやすいです。
新しい化粧品を試すのにおすすめのタイミングは、生理が終わった1週間後。
肌状態が一番落ち着く時期です。
このタイミングで、パッチテストを始めましょう。
2-3.少量ずつ・部分的に
「合う化粧品のほうが少ない」
「ひどい化粧かぶれを起こしたばかり」
というように、肌が特に敏感な場合は、新しい化粧品を「少量ずつ」や「部分的に」使い始めることで、ヒリヒリを避けましょう。
2-3-1.少量ずつ
一度にたくさん塗るのではなく、少量ずつ顔につけて、様子を見ましょう。
また、複数の化粧品を変えるのではなく、1種類ずつ試すことをおすすめします。
一度にたくさん変更すると、万一、刺激を感じたときに、どの化粧品があわなかったのかを、判断しにくくなるためです。
2-3-2.部分的に
顔の中でも、特にカブレやすい部分があれば、その部分を避けて、使い始めましょう。
カブレやすい部分
- 目元
- 口元
他の部位で問題なく使えることを確認してから、カブレやすい箇所に少量ずつつけていきます。
肌の調子を見ながら慎重に使いましょう。
3.敏感肌の悩みを解消するスキンケア・4つの習慣
「敏感肌は生まれつき。だから、治らなくても仕方がない」
そう思われる方も多いです。
確かに、敏感な肌質そのものを劇的に変えることは難しいです。
でも、敏感肌の要因には、生まれ持った肌質「以外」の要素がたくさん絡んでいます。
次の表をご覧ください。
<敏感肌を構成する要素>
肌質 | 生まれつきの要素(変えられない) |
スキンケア方法 体調 環境 |
変えられる |
「変えられる」部分にアプローチすることで、敏感肌の症状はおさえられます。
実例をご紹介しますね。
私は、子供のころはアトピー性皮膚炎でした。
かきむしった肌がただれ、「血を流しているのが普通」という子供時代を過ごしました。
中学に上がるとアトピー性皮膚炎の症状は治まったものの、今度は極度の手荒れで悩むことになりました。
アトピー性皮膚炎の時と同様に、かゆみと痛みとひどい乾燥で手はボロボロ。中学~社会人になるまでの10年以上、眠るとき以外は白い綿の手袋をつけて生活しました。
顔に関しては、体ほどではありませんが、ストレスが過度になると目元がただれたり、乾燥するとかゆくなったり、といった症状がありました。
このように、体質としては、生まれつき敏感肌だと言えます。
しかし、現在は、顔にも手にも、敏感肌の症状はありません。
もう手袋は必要ありませんし、顔の肌も、人に褒めてもらえるくらいになりました。
手荒れの話をしたり、アトピー体質だと言っても、信じてもらえません。
私の肌がこんなに健康になった理由は、ただひとつ。
「正しいスキンケアを行うようになったから」です。
今でも、油断してこのスキンケアをさぼると、かゆみや赤みが出ます。
そして、きちんとスキンケアを行うと、肌状態が落ち着きます。
そのたびに、日々行っているスキンケアが敏感肌の解消にいかに役立っているかを実感しています。
3章では、私が約15年間実践している「敏感肌を解消するためのスキンケア」をご紹介します。
たくさんの項目がありますので、全部、一度にできなくてもかまいません。
あなたの生活の中で、「これはできそうだな」というものを見つけて試してみてください。
ひとつでも、ふたつでも、これらのスキンケアを「習慣」にできれば、敏感肌から美肌へ近づけます。
3-1.まず「洗うもの」を見直す
敏感肌を根本的に解消するなら、まず「洗うもの」=クレンジング剤・洗顔料の見直しをしましょう。
化粧水や乳液・クリームなどの化粧品を使って肌がヒリヒリすると、「ヒリヒリしない化粧水」や「ヒリヒリしないクリーム」を探しがちです。
もちろん、刺激の少ない基礎化粧品を使うことはとても大切です。
しかし、日本の化粧品に配合されている成分は、安全性が高いです。
そのため、アレルギーがない限り、化粧水や乳液・クリームなどに配合されている成分が、直接的に肌に刺激を与えることはほとんどありません。
それなのに肌がヒリヒリするのは、肌そのものが刺激に弱くなっているためです。
そして、そんな肌状態を作っている一番の原因は、クレンジングや洗顔による「洗いすぎ」です。
ですから、「洗うもの」を見直すと、敏感肌の解消に大きく近づきます。
3-1-1.「皮脂」と「角質層」がバリア機能のカギ
敏感肌は、バリア機能が低下している状態です。
バリア機能とは
- 肌を覆っている『皮脂膜』
- 肌の表面を構成している『角質層』
バリア機能の役割
- 肌や体内の水分の蒸発を防ぐ
- 紫外線やウイルス等の外部の異物が体に侵入しないようにする
つまり、『皮脂膜』や『角質層』がうまく働かなくなると、肌は乾燥し、外部の刺激に過剰に反応する敏感肌になります。
3-1-2.マイルドな洗浄力で「皮脂」を守る
クレンジングや洗顔料、体を洗う石けんなど、「洗うもの」には必ず洗浄剤が配合されています。
洗浄剤の力が強ければ強いほど、肌表面の皮脂は落ちやすくなります。
ですから、できるだけ洗浄力がマイルドなものを選びましょう。
洗浄力の見極め方
- 気になる洗顔料で顔を洗う
- 洗顔後、保湿ケアをせずに、10~15分程度肌の様子を見る
肌のうるおい成分(皮脂)を取りすぎない洗顔料は、洗浄力がマイルドです。
洗顔後、10~15分経過しても、ツッパリを感じにくいものは、肌のうるおいが残っている証拠です。
<形状から見る洗浄力の強さ>
洗浄力が強い | 洗浄力がマイルド |
オイルクレンジング 石けん素地100%の固形石けん ボディーソープ |
ジェルクレンジング |
3-1-3.摩擦を減らして「角質層」を守る
肌にふれると摩擦が起こります。
摩擦も、敏感肌のバリア機能を低下させます。
- できるだけ肌に触れる回数を減らす
- 肌に触れるときにはやさしく触れる
この2つを常に意識して、顔や体を洗いましょう。
摩擦を減らす方法
- ダブル洗顔が不要のクレンジング剤を使用する
- 落ちにくいメイク料を使わない
- 泡タイプの洗顔料は、しっかり泡をたてる
- 指がすべる状態で洗う
3-2.こまめな「保湿」でバリア機能の高い肌を育てる
「洗うもの」を見直して肌への刺激を抑えたら、次は、弱った肌を回復させましょう。
具体的には、しっかりと保湿をします。
「保湿」とは、肌の角質層を24時間常にうるおった状態に保つことです。
そのため、次のような場合は、保湿ができていません。
保湿ができていない状態
- 朝のスキンケアの後、時間が経つと乾燥を感じる
- 目の周りや口の周りなど、一部分だけカサカサする
もし、「あ、私に当てはまるな」と思われたら、保湿不足が、あなたの敏感肌を長引かせている可能性があります。
以下のポイントを押さえて、今日から効果のある保湿を行ってください。
3-2-1. 化粧水を使う場合は「手で、素早く、油分も補給」
あなたが化粧水を使っているなら、お手入れ方法に注意が必要です。
なぜなら、化粧水には、保湿を妨げるデメリットがあるためです。
しっかり保湿を行うために、次の3つができているか確認しましょう。
しっかり保湿を行う3つのポイント
- 10秒以内に塗り終わる
- 使ったらすぐに油分を与える
- コットンではなく手で塗る
保湿ケアといえば、化粧水を思い浮かべる人は多いです。
でも、化粧水で保湿はできません。
さまざまな化粧品の中でも、保湿をするために一番注意が必要なのが化粧水です。
化粧水に含まれる成分は、その9割以上が「水」です。
そのため、肌につけた瞬間から、体温によって蒸発していきます。
お風呂上りに、体から蒸気が出るのと同じです。
この特性を踏まえて、お手入れを行いましょう。
塗ったそばから蒸発していくため、手早く塗る必要があります。
塗り終わったら、すぐに油分(クリームやオイルなど)でフタをしましょう。
これで蒸発を防ぎます。
また、塗り方も一工夫しましょう。
化粧水は、コットンにたっぷりふくませて、肌に塗布する方法もあります。
しかし、敏感肌にとって、摩擦は大敵です。
コットンといえども、肌にとっては異物です。
手の平~指の腹を使って、やさしく押さえる方法がおすすめです。
3-2-2.日中にもこまめに保湿を行う
敏感肌を解消するためには、一日に何度も、こまめに保湿を行いましょう。
化粧品で与えた水分は、時間の経過とともに蒸発していきます。
肌のバリア機能がうまく働いていれば、うるおいは、より長く維持できます。
敏感肌はこのバリア機能が弱まっているため、短時間で水分が蒸発しやすい状態です。
時間が経過すればするほど、肌は乾燥していきます。
そのため、日中にも水分と油分の両方を与えて保湿を行いましょう。
<敏感肌におすすめの日中の保湿方法>
1.保湿力の高いオールインワンジェル
水分と油分を一度に与えられるため、お仕事や学校の休憩時間や外出先でも手軽に保湿ができ、便利です。
2.化粧水+クリーム・乳液など
朝晩、家で行うスキンケアとまったく同じ工程を行う方法です。複数のアイテムを持ち歩く必要がありますが、水分・油分を両方与えられます。
3.ワセリンやクリーム等の油分のみを補給
オールインワンジェルや化粧水を使えない、ゆっくり保湿をする時間がない、という場合の応急処置。水分を補うことはできないため、肌がうるおう効果はありません。しかし、油分を補給することで、蒸発していく水分量を少し抑えられます。
油分で蒸発を防ぐスキンケアについては、「ワセリンの保湿効果と肌質別の使用方法・注意点│化粧品との使い分け」で詳しくお話しています。
4.スプレー式化粧水
日中の保湿ケアとして、よく利用される方法ですが、おすすめしません。通常の化粧水と同様、配合成分がほぼ水であるため、肌に吹きかけた瞬間から蒸発します。化粧水が十発する際には、肌にあった水分も一緒に奪われていくため、余計に肌が乾燥します(過乾燥)。
「日中はメイクをしてるから、保湿できないわ」という方は、「メイク崩れしないのに化粧の上からしっかり保湿できる方法とおすすめ商品」を参考になさってください。
3-3.365日の「紫外線対策」で肌老化を防ぐ
敏感肌の根本的な対策には、紫外線対策が欠かせません。
365日、季節を問わず、日焼け止めを塗りましょう。
さらに、日傘やサングラス・帽子・長袖など、物理的な方法もあわせて行い、紫外線をしっかり防ぐことが大切です。
3-3-1. 敏感肌は、紫外線のダメージを受けやすい
肌のバリア機能は、紫外線にも有効です。
ある程度の紫外線であれば防いで、肌や体にダメージを与えないようにします。
しかし、敏感肌はバリア機能が低下しています。
そのため、健康な肌状態のときには問題のない紫外線でも、大きなダメージを受けてしまいます。
その結果、紫外線が原因となる肌トラブル(シミ、シワ、たるみ、ニキビ、肌荒れなど)が、起こりやすくなります。
健康でキレイな肌を取り戻すために、紫外線から徹底して肌を守りましょう。
3-4.「できることから」の積み重ねで美肌をつくる「生活習慣」
敏感肌の解消に効果的なことは、化粧品を使ったスキンケア以外にもたくさんあります。
日常生活のちょっとした習慣に気を付ける。
この繰り返しが、肌状態を大きく変化させます。
3-4-1.質の良い睡眠をとる
健やかな肌づくりに、睡眠は欠かせません。
眠っている間に分泌される成長ホルモンによって、健康な肌細胞が生み出されるからです。
成長ホルモンは、眠り始めてから最初の3時間に、もっとも分泌されると言われています。
そのため、この「3時間」にできるだけ深く眠ることが美肌のカギです。
私は、一時期、なかなか寝付けなくて困っていたのですが、次のことに気を付けるようになって、最近はすっかり眠りやすくなりました。ぜひお試しください。
質の良い睡眠をとるヒント
- 部屋の湿度・温度を調節する
夏場は高めの温度設定で朝までエアコンをつけ、薄手の長袖・長ズボンで冷えを防ぎます。
あわせて、喉と肌の乾燥を防ぐために加湿器を稼働させます - 眠たくないときにベッドの上に寝転ろがない
「ベッドは眠る場所だ」と脳に覚えさせるイメージです - ベッドの上に何も置かない
スマホや本・エアコンのリモコンなど、近くに物があるだけでも、睡眠中に意識が向いてしまうことが。 - 眠る1時間ほど前から、部屋の照明を落とす
3-4-2.栄養バランスのよい食事を摂る
肌は、食事からとる栄養素をもとにつくられます。
中でも特にしっかりと摂取したいのは、「良質なたんぱく質」と「鉄分・ビタミン」です。
「良質なたんぱく質」は、コラーゲン線維をはじめとする肌組織を作るための材料となり、「鉄分・ビタミン」は、その材料を組み立てるためのサポートを行います。
3-4-3.湿度は60~65%をキープ
空気が乾燥していると、肌の水分は蒸発しやすくなります。
そして、肌が乾燥すればするほど、バリア機能は低下します。
敏感肌を解消するために、空気を乾燥させないよう気を付けましょう。
肌や体にとって快適とされる湿度は60~65%です。
50%を下回ると、乾燥を感じていなくても、肌から水分は奪われ始めると言われています。
加湿器や、お湯を沸かす工夫などで、部屋の湿度を保つ工夫を行いましょう。
3-4-4.季節の変わり目は、特に体をいたわる
ヒトの体は、周囲の環境に大きな影響を受けます。
体が受けた影響は、そのまま肌にも表れます。
特に、環境が大きく変化する季節の変わり目には、敏感肌の症状が現れやすくなります。
<季節の変わり目にできる対策>
主には、気温の変化により、自律神経のバランスが乱れることが原因だと考えられています。
気温差に左右されないよう、衣服を調整する
体を冷やさない
湯船にしっかりつかる
適度な運動を行う
睡眠をしっかりとる
このような方法で、体への負担を和らげましょう。
4.こんな場合のスキンケアはどうする?
4-1.体のスキンケア
基本的に、顔に行うスキンケアと変わりません。
まずは、体を洗う洗浄剤から見直しましょう。
皮脂を落としすぎない洗浄剤を使う
液体のボディソープは、簡単に泡立ち、使い勝手が良いことから、ご家庭で使用される方も多いです。
しかし、次の注意点があります。
1.洗浄力が強い
2.必要以上に使ってしまう
3.石油系界面活性剤が配合されている
使用量の調節が難しく、たくさんの量を出してしまいやすいことです。
その結果、必要以上の洗浄成分を使って、洗っていることが多いです。
また、液体ボディーソープの洗浄成分には、石油系の界面活性剤が使用されます。
石油系の界面活性剤は、肌にくっつきやすい性質があります。
液体ボディソープで体を洗うと、洗い流しても、背中や腕がヌルヌルすることはありませんか?
あれは、石油系の界面活性剤が残っている状態です。
これを洗い流すために、何度もお湯をかけたり、肌を擦る行為は、肌に負担を与えます。
肌のうるおい成分(皮脂)を取り除き、バリア機能を弱めてしまいます。
体を洗う際には、保湿成分が配合され、洗浄力が調整された固形石けんがおすすめです。
固形石けんのメリット
泡切れがよく、肌に残らない
固形石けんの注意点
石鹸素地100%の石けんは洗浄力が強い
そのため、保湿成分などで洗浄力をマイルドに調整した石けんを使う
部位によって洗い方を変える
体を洗う目的は、次の2つです。
- 汗やホコリ(水溶性)を落とす
- 皮脂汚れ(油性)を落とす
汗やホコリは水溶性のため、お湯でも十分落とせます。
石けんなどの洗浄剤の力で落とすのは、皮脂汚れです。
体には、皮脂の分泌が多い部位・少ない部位があります。
皮脂の分泌が少ない部位なのに、毎日、洗浄剤でゴシゴシ洗うと、皮脂を取りすぎ、バリア機能を壊してしまいます。
ですから、部位ごとにメリハリをつけて洗いましょう。
「洗いすぎ」を防げます。
皮脂が多い部位
● 背中・胸
● わき
● おへそ
● 腕・脚の関節の裏側
- 洗浄剤を使ってしっかり洗う
- 皮脂が少ない部位
- 上記以外の箇所
- 洗浄剤のついた手で軽くなでる
アトピー性皮膚炎や、肌の乾燥がひどい場合には
「洗浄剤を使わない」
「洗浄剤を使う回数を、週に2~3回にする」
など調節を行いましょう。
また、お風呂上りには、体にも保湿ケアを行うことをおすすめします。
4-2.子どものスキンケア
敏感肌に必要なスキンケアは、年代を問いません。
基本的には、3章でご紹介した方法を行ってください。
乳幼児期の子どもの肌はとても薄いため、乾燥しやすいです。
そのため、顔に限らず、全身の肌に対して、保湿ケアを行いましょう。
その際、摩擦を与えないように注意してケアをしてあげましょう。
新生児から保湿をすることによって、アトピー性皮膚炎の発症率が3割減少する(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)という研究結果が出ています。
今だけでなく、今後、成長していく過程での肌トラブルを抑えられる可能性がありますので、今からしっかりと保湿ケアを行ってください。
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まとめ
敏感肌でも使えるスキンケアは、次の6つのポイントをクリアしているかどうかを基準に選びましょう。
- 「セラミド配合」よりも大切!「化粧品の総合力」を基準に選ぶ
- 「防腐剤」はきちんと配合されている化粧品を選ぶ
- 「無添加」は、自分の肌にあわせて選ぶ
- 「天然成分・自然派化粧品」のイメージにだまされない
- 「美白成分」よりも「保湿」で美白ケアする
- 「エタノール」が配合されていない化粧品を選ぶ
また、正しい方法でスキンケアを行えば、敏感肌を解消することも期待できます。
次の4つのスキンケアに取り組んでみてください。
- まず「洗うもの」を見直す
- こまめな「保湿」でバリア機能の高い肌を育てる
- 365日の「紫外線対策」で肌老化を防ぐ
- 「できることから」の積み重ねで美肌をつくる
ひとつでも、ふたつでも、これらのスキンケアを「習慣」にできれば、敏感肌から美肌へ近づけます。
敏感肌のイヤな症状を解消して、かゆみや刺激に悩まされない、健康な肌を手に入れましょう。