「無添加化粧品」と「普通の化粧品」を比べてみました

無添加化粧品と普通の化粧品の比較

『無添加化粧品』と『普通の化粧品』の中身は、同じです。
どちらも、水溶性成分や油溶性成分、界面活性剤、美容成分などで構成されています。

あえて違いをあげるなら、無添加化粧品は「特定の成分が無添加」だという点です。
普通の化粧品と、「効果」や「安全性」は変わりません

「特定の成分を配合しているから、すごい美容効果や高い安全性がある」というなら理解できます。
でも、「特定の成分を配合していないから、肌にやさしい」ということはありません。

ちょっとややこしいかもしれませんね。

ただし、無添加化粧品を使っている人、無添加化粧品を使おうと思っている人には、知ってほしい内容なので、ぜひ、読んでください。

目次

1.「無添加化粧品」と「普通の化粧品」の違い

「無添加化粧品」と「普通の化粧品」の違い

「無添加化粧品」と「普通の化粧品」の違いは、特定成分が配合されていないことを宣伝しているか否かです。

  • 無添加化粧品:特定の成分を配合していないことを大々的に宣伝している
  • 普通の化粧品:特定の成分を配合していないことを大々的に宣伝していない

ここでいう特定成分というのは、一般的にはこの5つが多いです。

  • 合成香料
  • 合成着色料
  • 防腐剤
  • 合成界面活性剤
  • アルコール(エタノール)

    無添加化粧品は、これらの一部、もしくは、すべての成分を配合していません。

    そして、これらの成分を配合していないことを「無添加」と宣伝しています。

    すべての化粧品は”無添加化粧品”だといえる

    便宜上、5つの特定成分の一部、もしくは、すべての成分を配合していないことを「無添加化粧品」とされていることが多いです。
    でも、実際は、「無添加化粧品」という言葉に規定はありません。

    例えば、5つの特定成分すべてが配合されても、無添加化粧品と呼ぶことができます
    その場合、罰則もありませんし、薬機法違反でもありません。

    極論を言えば、すべての化粧品成分を配合した化粧品は世の中に存在しません。
    だから、すべての化粧品には、配合されていない成分があります。
    つまり、すべての化粧品は、明日からでも無添加化粧品と宣伝できるというわけです。

    1-1.無添加化粧品を宣伝する理由・しない理由

    無添加化粧品でありながら、「無添加化粧品と宣伝しない化粧品」は実はたくさんあります。

    なぜ、宣伝する・しないに、分かれるのでしょうか?
    その差が、無添加化粧品のメリットに繋がっているのかもしれません。

    私は、化粧品を開発・販売をしており、すべての化粧品に、着色料やアルコールを配合していません。
    香料もシャンプーとトリートメントだけに配合しており、そのほかには配合していません。

    だから、無添加化粧品だと宣伝できます。
    でも、無添加化粧品とは言っていません。

    その理由は、肌荒れに悩んでいる人に「無添加化粧品は安全」という誤解を与えたくないからです。
    なぜなら、無添加化粧品と安全性は無関係だからです。

    1-2.「無添加化粧品は安全」という誤解

    「無添加化粧品は安全」は誤解

    一般的に無添加化粧品に配合されない5つの特定成分を肌に悪いと思っている人はたくさんいます。
    特に、敏感肌で肌荒れに悩む人は、少しでも安全な化粧品を使いたいために、無添加化粧品を選ぶ傾向にあります。

    私自身、化粧品を開発してる仕事柄、知り合いにこのような質問をされます。
    「今まで使ってた無添加化粧品で肌荒れしたから、オススメの無添加化粧品ないですか?」

    今は慣れましたが、最初は驚きました。
    「なぜ、無添加化粧品を使って肌荒れしたのに、次も無添加化粧品を使おうと思うのか?」
    まったく理解できませんでした。

    私なら、肌荒れが起きた化粧品と似たものは使いません。
    いくら違うメーカーの化粧品でも、『無添加化粧品』という要素は同じです。
    だから、『無添加化粧品』の何かが肌荒れの原因になっていると疑います。

    そこで、私は不思議に思ったことをそのまま尋ねました。
    「なぜ、無添加化粧品で肌荒れしたのに、また無添加化粧品を使うのですか?」

    帰ってきた答えに再度、驚きました。
    「えっ、だって私、敏感肌だから。無添加化粧品は安全でしょ。」
    ゆるぎない自信と共にどや顔で返されました。

    さらに、詳しく聞くと、無添加化粧品に配合されていない5つ特定成分が肌に悪いと思っていました。
    その根拠は、ブログや雑誌の情報でした。

    「5つの特定成分が、なぜ、肌に悪いのか?その理由を教えてください」と聞くと、「合成成分だから」と返答。
    「なぜ、合成成分が肌に悪いの?」と聞くと、「そんなこと考えたことなかった」と言われました。

    まぁ、これは当然です。
    私も化粧品会社に就職する前は、「化粧水って何?なぜ、顔に塗る水をお金を出して買うの?」というレベルでしたから。。。

    それにしても、無添加化粧品で肌荒れになったのに、『無添加化粧品は、安全』と妄信していることに驚きました。
    裏を返せば、5つの特定成分が肌に悪いと信じているともいえます。

    そして、これこそが無添加化粧品を名乗るメリットだと思いました。
    敏感肌にとって、化粧品の安全性は大切ですからね。

    1-3.無添加化粧品に配合されない5つの特定成分は肌に悪くありません

    5つの特定成分は肌に悪くありません

    • 合成香料
    • 合成着色料
    • 防腐剤
    • 合成界面活性剤
    • アルコール(エタノール)

    これら無添加化粧品に配合されない5つの特定成分が肌に悪いと考えている人はたくさんいます。
    でも、これらの成分は肌に悪くありません。

    なぜなら、すべての化粧品成分は、安全だからです。
    日本の化粧品は厚生労働省の定める『化粧品基準』に従って作られており、この範囲内であれば肌に悪影響を与えることはありません。

    もし、上記の成分が本当に肌に刺激を与えるなら、大きな社会問題になっています。
    なぜなら、私たちが生活する上で避けることができないほど、あらゆる分野で使われているからです。
    それに、厚生労働省が定める化粧品成分が本当に肌に悪ければ、化粧品業界はつぶれています。

    陰謀説が好きな人は、国や大手化粧品メーカーが情報を隠していると思っているかもしれませんが、SNSがここまで発展している社会ではありえないことです。

    それに、過去に、化粧品成分が原因で肌荒れが起きたとき、マスコミに大々的に報道されてますよね。
    このような問題の頻度は、10年に1度程度です。
    化粧品と同じか、それ以上の大きな産業である食品、自動車と比べても問題になる数は少ないです。

    また、問題になった成分も、新たに開発された医薬部外品の成分やアレルギー物質に由来する原料でした。
    化粧品に通常配合されており、使用実績が豊富な成分では、そのような問題は起きていません。

    このことから、特定の化粧品成分が肌に刺激を与えるということはありません。

    白斑問題にもなった医薬部外品成分について

    化粧品成分と医薬部外品成分には、大きな違いがあります。
    それは、効果と副作用です。

    効果は、化粧品成分<医薬部外品成分
    副作用は、化粧品成分<医薬部外品成分

    つまり、医薬部外品は化粧品に比べて、美白やシミなどに効果がある反面、副作用も容認されています。
    白斑問題の原因も、医薬部外品成分です。

    そのため、肌が敏感な人は、美白化粧品など、医薬部外品の化粧品の使用は控えたほうが賢明といえます。

    1-4.無添加化粧品と普通の化粧品は同じ

    無添加化粧品に配合されない5つの特定成分が肌に悪いわけではありません。
    このことから、無添加化粧品の価値が無くなってしまいました。

    5つの特定成分が入ってないから安全だと言えないからです。
    つまり、無添加化粧品と普通の化粧品は同じということになります。

    そもそも無添加化粧品には規定はないために、どんな化粧品でも無添加化粧品と宣伝することができます。
    どんな化粧品でも無添加化粧品になるということは、無添加化粧品という名前には意味がありません。
    意味がないということは、無添加化粧品は普通の化粧品ということです。

    2.無添加化粧品よりも大切なこと

    ここまで読んでいただけたら、無添加化粧品も普通の化粧品も同じだということが分かっていただけたと思います。
    化粧品成分に安全も危険もありません。
    だから、特定の成分が配合されていない無添加化粧品というだけで安全だと判断するのは危険です。

    ただ、「肌にやさしい化粧品を探す際に、化粧品成分を無視してください」といっているわけではありません。
    なぜなら、すべての化粧品成分にはアレルギーの可能性があるからです。

    また、アレルギーを引き起こす成分だから、刺激になるという単純な話でもありません。
    濃度や部位によって、アレルギー症状は違います。

    私のアレルギー反応

    私はアルコールにアレルギー反応を起こします。
    薄ければ、あまり刺激を感じません。
    濃ければ、刺激を感じます。

    部位によっても症状は違います。
    目元や首筋には刺激を感じて、赤くなってヒリヒリします。
    腕に塗ると、ヒリヒリしますが、赤くなりませんし、症状はすぐに治まります。

    私は仕事柄、いろいろな化粧品を試します。
    どんな化粧品も使ってみないと正しい判断ができないので、たとえアレルギー症状が起きる成分が入っていてもあえて使います。

    先日、某メーカーのふき取り化粧水を試しました。
    その化粧品には、アルコールが高濃度で配合されており、腕に試すと結構な刺激を感じました。
    しばらくヒリヒリしていました。

    もし、このふき取り化粧水を目元や首筋に使ったら、確実に炎症を起こします。
    私にとっては、肌に刺激を与える化粧品です。
    ちなみに、うちのスタッフが手に塗ったときは、ブツブツができました。
    幸い、すぐに治まりましたが。。。

    でも、このふき取り化粧水は、ものすごく売れています。
    少なくとも数十万人が使っています。

    もちろん、その中には、私やスタッフと同じように刺激を感じる人がいるかもしれませんが、ほとんどの人は刺激を感じません。
    もし、刺激を感じる人が多ければ、すぐに廃盤になるはずです。

    でも、ずっと売れており、さらに、肌タイプ別のバリエーションがどんどん増えています。
    まだまだ、売れ続けるでしょう。

    つまり、アルコールが配合されたふき取り化粧水は、私にとっては、肌荒れを起こす化粧品です。
    でも、大多数の人にとっては、何の刺激もない化粧品ということです。

    肌への刺激は、特定の成分が、肌の弱い人全員に、刺激になるわけではありません。
    人のよって、化粧品に配合される濃度によって、使う部位によって千差万別です。

    特定の成分と配合・使用条件が特定の人の肌に刺激を与えるのです。
    だからこそ、『無添加化粧品は安全』と安直に考えてはいけません。

    ・自分の肌にとって、一体何が刺激なのか?
    ・どのような美容効果が必要なのか?
    ・どのように使えば刺激を抑えることができるのか?
    などを把握して、自分の肌に合った化粧品でケアすることが大切です。

    まとめ

    無添加化粧品は、普通の化粧品と同じです。
    無添加化粧品は、下記の成分が配合されていないのが特徴です。

    • 合成香料
    • 合成着色料
    • 防腐剤
    • 合成界面活性剤
    • アルコール(エタノール)

      これらの成分が肌に刺激を与えるわけではありません。 また、これらの成分を配合していないからといって、化粧品の安全性は高まりません。

      つまり、無添加化粧品は、普通の化粧品と同じです。

      そもそも、肌へのやさしさを化粧品成分で判断するのは誤りです。

      もし、化粧品成分だけで肌へのやさしさを判断できるなら、世の中の化粧品に配合される成分が全部同じになるはずです。
      これだけ多種多様な化粧品の存在こそが、化粧品成分という画一的な要素で、判断できない証拠です。

      あなたの肌に合った化粧品を見つけるためには、化粧品成分より大切なことがあります。
      もし、あなたが肌にやさしい化粧品を見分けたいなら、こちらを参考にしてください。

      この記事を書いた人

      2000年アースケアを創業。保湿に特化したアクシリオの開発・販売を手掛ける。起業家ならではの人生観や自身の超がつく敏感肌・乾燥肌の経験談が愛用者に人気。

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