紫外線は日焼け症状が出ていなくても、積み重なると肌の老化はもちろん、皮膚がんなどの悪影響を与えるものです。
「子供のうちから、お出かけの時には日焼け止めを塗ってあげよう」
そう思っていても、実際に使う場面になったとき、
- いつから日焼け止めを塗ってあげたらいいの?
- 塗るとしたら、どんな日焼け止めがいい?
そんな迷いはありませんか?
私はありました。
いざ日焼け止めが必要な時、
「子供用の日焼け止めは、何歳から何歳まで?」
「大人は子供用を使っちゃだめなのかな?」
と、私はどんどんわからないことが増えていってしまいました。
そんな迷いながら日焼け止め選びをしてきた経験を元に、子供のための日焼け止め選びの方法をこの記事にまとめました。
記事では、この3つのマニュアルを参考にしています。
- 環境省「紫外線環境保健マニュアル」
- 日本小児皮膚科学会「こどもの紫外線対策について」
- 独立行政法人 国立環境研究所「絵とデータで読む 太陽紫外線 ―太陽と賢く仲良くつきあう法―」
そして、そのほかは、自分の経験で補完をしています。
現在は16歳・13歳・5歳の3児の子育て中ですので、用途や肌状態に適した日焼け止めの選び方はすっかり慣れたものです。
毎日のように塗っているうちに、子供も自分で塗るようになってくれたぐらいです。
私は20年以上、美容関係の仕事に携わり、現在も商品の企画・開発も担当していますので、化粧品の中身も見ます。
迷い、悩んでいらっしゃるなら、きっとこの記事は参考になると思います。
なおこの記事では、 ”子供”は1歳以上~小学生ぐらいまでのお子さんをイメージしています。
新生児~乳児(1歳)までの赤ちゃんの日焼け止め選びは、「意外と知らない赤ちゃん用日焼け止めの選び方。おすすめ3商品も紹介」をご覧ください。
お天気の良い日に走り回って遊ぶ楽しそうな子供の姿を見るのは、嬉しいことです。
そんな日のための日焼け止め選びの参考になれば幸いです。
1.子供に使える日焼け止め選びのポイント
子供のうちから、何歳のお子さんであっても、日焼け止めで紫外線の害をカットしてあげましょう。
小さいお子さんにおすすめするのは、「紫外線散乱剤(ノンケミカル)」タイプです。
「太陽を浴びることは健康の証」と言われる時代もあったそうですが、現在は、「必要以上(15分程度)の紫外線を浴びない」ことが推奨されています。
オゾン層の破壊により、有害な紫外線が透過しているからです。
帽子や上着など物理的に紫外線をカットする方法もありますが、外遊びをしていると、暑がってしまってどうしても脱いでしまうことも。
せっかくの外遊びを思いっきり、楽しく過ごさせてあげるために、お子さんに合った日焼け止めを選んであげましょう。
この章では、子供用の日焼け止めを選ぶポイントを簡単にご説明します。
これを踏まえて、お子さんに合ったものを選んであげてください。
1-1.紫外線カット成分によって刺激には差があるため、中身をチェックしましょう
紫外線カット成分(効果) | 紫外線カット効果 | 刺激の有無 | おすすめ |
紫外線散乱剤 | 普通 | 刺激弱め | 〇 |
紫外線散乱剤+ウォータープルーフ | 普通 | 刺激弱め | ◎ |
紫外線吸収剤 | 高い | 刺激強め | △ |
紫外線吸収剤+ウォータープルーフ | 高い | 刺激強め | △ |
散乱剤+吸収剤 | 高い | 刺激強め | × |
紫外線カット成分には2種類あります。
- 紫外線カット効果が適度で、刺激の少ない「紫外線散乱剤」
- 紫外線カット効果が高くて、刺激も多少ある「紫外線吸収剤」
表を見るとわかるように、「紫外線カット効果が高い」ということは、肌への刺激もあるということです。
「紫外線吸収剤」は、その名の通り、紫外線を吸収して熱変化させるため、肌にヒリヒリ感や赤みが出ることもあります。
肌の弱いお子さんに関して、紫外線吸収剤は、
-
- 肌がまだ未熟である幼児期~小学校低学年(未就園児~10歳)は肌状態によっては避ける
- 小学校低学年以上(10歳以上)を目安に使い始める
ことをおすすめします。
一方、「紫外線散乱剤」は、鏡のように反射させることで紫外線をカットします。
刺激とカット力がバランスの良い成分です。
「ノンケミカル」「吸収剤不要」などの表記があります。
- 年齢問わず使い始められる
と言えます。
1-2.汗かく年代やアウトドアで使うには、ウォータープルーフ機能が必要です
自社で実験をしたところ、ウォータープルーフ機能がないものは、汗をかきはじめた約4分後に流れ始めました。
ですから、動き回って汗をかく日や海・山で使う場合には、「ウォータープルーフ機能」があると安心です。
大人でもすぐに落ちてくるのですから、汗っかきなお子さんならなおさら落ちやすいことと思います。
ですから、一日中外で汗をかく日や、海や山などアウトドアで使うには、「ウォータープルーフ機能」がある日焼け止めを選びましょう。
2.大人も使える!子供用の日焼け止めおすすめ4選
子供用の日焼け止めは、基本的に大人も使えます。
中身に大きな違いはなく、おおよそ「紫外線カット成分」が低刺激かどうかだけの違いです。
ですから、お子さんに使うついでに、ご両親もいっしょに日焼け止めを使っていただけますよ。
この章でおすすめする日焼け止めは、「低刺激性」と「安全性」に加えて、「使いやすさ」に関わる以下の5つをポイントに選び、なおかつ、自身の子供に使った経験があるものをご紹介します。
日焼け止め選びの参考にしてください。
日焼け止め選び5つのポイント
- 紫外線カット成分の種類
- アルコール配合の有無
- 落ちにくさと、落としやすさのバランス
- 防腐剤の有無
- ウォータープルーフ機能の有無
2-1.お子さんが敏感肌の場合におすすめの日焼け止め
肌質が弱いお子さんでも、安心して利用できる商品をご紹介します。
肌に優しい配合成分であることはもちろん、低価格で「お試しセット」の購入が可能なため、肌との相性を確かめることができるのもポイント。
SPF値も丁度よく、日焼け止めの効果と肌への優しさが両立されている商品です。
アースケア やさしいUVカットミルク
総合評価 |
おすすめ度90%(★★★★☆)
|
紫外線カット成分 |
|
アルコール | 配合なし |
バランス | 落としやすい |
防腐剤 | 配合なし |
ウォータープルーフ | あり |
特徴 |
|
2-2.日常使いにおすすめの子供用日焼け止め
日本小児皮膚科学会「こどもの紫外線対策について」によると、子供に推奨される「日常使い」の日焼け止めは、SPF15~20、PA++程度です。
少しSPFは高めですが同程度の日焼け止めで、私が実際に子供に使っていたものでおすすめを2つご紹介します。
幼児~10歳までぐらいにおすすめの日焼け止め
ユースキンS 日焼け止めミルク40g
総合評価 |
おすすめ度90%(★★★★☆)
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紫外線カット成分 |
|
アルコール | 配合なし |
バランス | 落としやすい |
防腐剤 | 配合あり |
ウォータープルーフ | なし |
特徴 |
公式サイト「ユースキンS UVミルク」より ※商品の情報は、2019年12月20日現在のものです。最新情報はメーカー公式サイトを参照ください。 |
健康な肌の方や、小学校低学年(10歳)以上なら、この日焼け止めも選択肢に
紫外線予報 UVさらさらジェル ミニサイズ 50g
総合評価 |
おすすめ度90%(★★★★☆)
|
紫外線カット成分 |
|
アルコール | 配合なし |
バランス | 落としやすい |
防腐剤 | 配合あり |
ウォータープルーフ | なし |
特徴 |
公式サイト「紫外線予報UVVさらさらジェル」より ※商品の情報は、2019年12月20日現在のものです。最新情報はメーカー公式サイトを参照ください。 |
2-3.海や山など日差しの強い時、塗り直しができない時におすすめはこの日焼け止め
海や山など紫外線が強く降り注ぐ場所や、一日中外に出ていて紫外線を浴びる環境の日には、紫外線カット効果が強くて、ウォータープルーフ機能のある日焼け止めがおすすめです。
塗り直しがしやすく、私が実際に子供に使って使いやすかったものをご紹介します。
キスミー マミーUVアクアミルク
総合評価 |
おすすめ度80%(★★★★☆)
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紫外線カット成分 |
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アルコール | 配合なし |
バランス | 落としやすい |
防腐剤 | 配合なし |
ウォータープルーフ | あり |
特徴 |
長時間の外遊び・水遊びに。 公式サイト「マミーUVアクアミルク」より ※商品の情報は、2019年12月20日現在のものです。最新情報はメーカー公式サイトを参照ください。 |
3.子供の肌を守る日焼け止めの効果的な使い方
日焼け止めは塗れば紫外線をカットしてくれる魔法のようなクリームではありません。
正しく使ってこそ、その効果を発揮してくれます。
日焼け止めの効果をきちんと得るために、次のポイントを押さえておきましょう。
- 推奨される量を使いましょう
- 使う日焼け止めの形状に合った塗り方をしましょう
- 2~3時間おきに塗りなおしましょう
- 1年中、日焼け止めを使いましょう
実は私、子供のころから”地黒”を気にしていたのに、日焼け止めを正しく使えておらず、、、
「日焼け止めを使っているのに、日焼けする!」と、日焼け止めに逆恨みをしていたお恥ずかしい過去があります。
そんな思いをしないように、お子さんにはしっかりと正しい塗り方を伝授しましょう。
3-1.推奨される量を使いましょう
日焼け止めは塗ったとしても、使用する量が少ないと紫外線の害を受けます。
「SPF」や「PA」などの紫外線カット数値の効果を得るには、「正しい量」が必要だからです。
使用説明書に記載があれば、一度測ってみるなどして指定された量を使いましょう。
もし量の記載がない場合には、顔に使う目安は「1g」です。
どんな日焼け止めもおおよそは、「1平方センチメートルあたり、0.2グラム」を塗ることを前提に、紫外線カット効果が設定されています。
SPFやPA値は、化粧品を1平方センチメートル当たり2mgずつ皮膚に塗って測定されます。
引用:東京都健康安全研究センター「上手に選ぼう 日焼け止め化粧品」
大人の場合、顔全体に換算すると約1グラムです。
子供だとおおおそこの半分~3分の2程度の量が必要です。
クリームタイプの日焼け止めだと、1gはこれぐらいの量になります。思っているよりも多いはずです。
3-2.使う日焼け止めの形状に合った塗り方をしましょう
形状 | 特徴 | 注意点 |
クリーム | テクスチャーが重め 肌への密着度高め |
塗りムラ 使用量少なくなりがち |
ジェル・ミルク | 軽い付け心地 少量で伸びがいい |
塗りもれ 使用量少なくなりがち |
ジェル・クリーム・ミルクなど、日焼け止めの形状にはいくつかの種類があります。
その中でもさらに、伸びがよいもの・悪いもの、見た目に塗ったことがわかるもの・わからないものがあります。
このそれぞれに合った塗り方をすると、日焼け止めの効果が発揮されます。
せっかく塗っていても、
- 使用量が少ない
- ムラがある
などがあると、紫外線カットができないという結果になってしまいます。
それぞれの注意点を踏まえて、塗り方を間違えないように気を付けましょう。
3-3.2~3時間程度で塗りなおしましょう
日焼け止めの効果は一日中は続きませんので、2~3時間程度で塗りなおしましょう。
とくに子供は体温調整のために汗っかきなので、日焼け止めも落ちやすい状況です。
日焼け止めは皮膚の上にあってはじめて効果を発揮します。いったん塗った日焼け止め化粧 品もそのあと手や衣類に触れることによって、あるいは汗をかいたりそれをタオルやハンカチ で拭いたりすることによっても落ちてしまいます。落ちたと思ったときにすぐに重ね塗りする か、そうでなければ、2、3時間おきに塗り直し(重ね塗り)をすることをお奨めします。
引用:環境省「紫外線 環境保健マニュアル2015」
どんな日焼け止めも、きちんと紫外線を防ぐ効果を期待できるのは、塗ってから2~3時間程度です。
紫外線から肌を守り続けるためには、 日焼け止めを2~3時間ごとに塗り直しましょう。
3-4.1年中、日焼け止めを使いましょう
紫外線は1年中、降り注いでいます。
ですから、天候に関係なく、1年中日焼け止めを使いましょう。
曇りの日も、涼しい日も、日差しが気にならない秋も、ずっとです。
曇りの日では晴れた日の約65%、雨の日でも晴れた日の約20%の紫外線が地表に届いています。
そして、降り注ぐだけでなく壁や地表に当たって反射するため、反射する紫外線にも油断ができません。
また、紫外線には種類があり、カットできる効果を「SPF」と「PA」として表示しています。
SPFは、UVーB波をカットするもので、PAはUV-A波をカットするものです。
PA+(プラス) → UV-A波の防止効果がある PA++(ツープラス) → UV-A波の防止効果がかなりある PA+++(スリープラス) → UV-A波の防止効果が非常にある PA++++ (フォープラス) → UV-A波の防止効果が極めて高い |
UV- A波は、肌の深部にまで到達できる紫外線で、弾力線維やDNAに害を与えます。
図のように、このUV-A波は「春に強い」など、「暑さ(不快感)」とは連動しません。
気持ちの良い午後の日差し
暖かい春の光
など、気持ちの良い日ほど、多い傾向があります。
その気持ちのよさが、実は子供のプニプニとしたやわらかい、弾力ある肌を傷つけることに。
大切な子供の肌を守るためにも、PA値がついた日焼け止めを一年中使いましょう。
紫外線カット力を表す『SPF』や『PA』は専門の機関にテストを依頼し、規定にのっとって実施されます。
このテストを実施した商品にだけ、「商品本体にSPF値・PA値」の表記が許可されます。
逆を言えば、「商品本体に記載がない」という商品は、テストをしていないということです。
インターネット広告や説明文にはSPF表記があっても、実際にはないかもしれない商品が世の中にはまぎれこんでいます。
その見極め方は、「商品本体に表記があるかどうか」です。
そこまできちんとチェックをして、欲しいSPF値がちゃんとある商品を購入してくださいね。
さいごに
お子さんの年齢によっては、「日焼け止めを嫌がる」「塗らせてくれない」ということもあると思います。
私の経験上、動き回ったり、何かを塗られるのを嫌がる年齢の子供でも、お父さんやお母さんが塗るものには興味を示します。
大人が楽しそうに塗っているのを見ると、我先にと触りにきたりします。
これは、女児も男児も同じでした。
ですから、「大人と使える日焼け止め」は、とても便利なアイテムです。
ぜひ、ご一緒に日焼け止めを塗りあいっこして、楽しく紫外線対策をしてくださいね。