2019年09月01日
汗かく季節に気になる、顔のテカリや化粧崩れ。「朝はいい感じだったのに、昼にはもうテカテカ!」「毛穴が目立って、化粧も崩れてもうイヤ!」そんなお声をよく耳にします。
ようやくそんなテカリや化粧崩れを起こす汗の季節が終わろうとしていますが、また来年には同じ悩みがやってきます。これは根本的に肌が変わらない限り、変わるものではありません。
こんなお悩みがある方は、「どうしてこんなことになるのか?」を知って、今から来年に向けて肌作りを行っていきましょう!
早速、詳しく見てみましょう。
ツヤ肌とは?
「朝も昼も夕方も、いつ見てもピカピカしたキレイ肌」ツヤ肌というと、そんなイメージでしょうか。
ツヤのある肌とは、キメが整っており、汗や皮脂の影響を受けずにいつもうるおいがある肌のことです。
この状態の肌は、水分をしっかり含んでいるためふっくらと膨らんでいて、独特の柔らかさを持ちます。
ですから、パウダー類の吸着が良く、肌全体をまんべんなく粉で覆うことができます。
肌の表面にある無数の細かいミゾを『皮溝(ひこう)』と呼び、その皮溝によって小さく分けられた、三角や四角の形をした肌を『皮丘(ひきゅう)』と呼びます。
図のように、皮丘(ひきゅう)が均一の三角形に整っている状態がキメが整った状態であり、ツヤ肌です。
テカリ肌とは?
一方、テカリ肌とは、ツヤ肌とは対極にある肌状態です。
テカリ肌は、皮脂や汗の影響を受けやすく、べたつき気味の肌のことです。
キメが乱れているため、光が反射しにくく、くすんで見えます。
皮脂が光を反射させるので、一見するとピカピカとしたツヤ肌にも見えますが、なぜだかギラギラとして黒っぽく、くすみがあるのが特徴です。
水分が少ない輪郭のぼやけた丘で構成された肌は、凹凸がとぼしく、平たい、のっぺりした状態になります。
空気の抜けた風船のようにしぼんだイメージです。
このような不揃いの丘で構成されたのがキメが乱れた肌であり、テカリ肌です。
ツヤ肌とテカリ肌のカギとなる皮脂
皮脂は、毛穴の中にある『皮脂腺』から分泌されます。そして、肌の表面に薄い膜『皮脂膜』を作ります。
この皮脂膜は、
このような役割を果たしてくれています。
皮脂はテカリを招くために嫌われがちですが、むしろ、うるおいがあって、刺激に強い、なめらかな肌=キレイ肌には欠かせないものです。
と、いうことは、ツヤ肌もテカリ肌と同じで、しっかりと皮脂が分泌されていて、皮脂膜が働いているということです。
本来の皮脂は、正常な量で分泌されている場合、肌にとってなくてはならないものということです。
では、同じように皮脂が肌を守ってくれているのに、なぜツヤ肌になるのか、なぜテカリ肌になるのか、その分岐点は何なのでしょうか?
肌のバリア機能が低下すると
皮脂膜の下には『角質層』があります。
ここは、天然保湿因子・細胞間脂質といった保湿成分があり、肌の内部に水分を蓄える役目を果たしています。
この保湿成分によって水分をたっぷり含んだ肌細胞は、密着してきれいに並んでいます。
このようにすきま無く並ぶ肌細胞で構成された【角質層】と、肌表面を覆う適度な【皮脂膜】の2つが、いわゆる『肌のバリア機能』です。肌の水分蒸発を防ぎ、外部の刺激から肌を守ります。
しかし、このバリア機能はさまざまな要因で弱まります。
バリア機能を弱める要因
などだと言われています。
このようにしてバリア機能が低下すると、花粉やホコリ、化学物質などの刺激物にも過敏に反応するようになり、いわば敏感肌の状態になります。
するとどうなるか?
少しでも防御機能を高めようとし、汗や皮脂の分泌能力を活発化させて肌を守ろうとします。
元々の乾燥しやすい肌質や普通肌だと、問題はありません。
しかし、皮脂分泌の機能が発達している肌質だと、乾燥していればしているほど、バリア機能が弱まっていれば弱まっているほど、皮脂分泌は過剰になっていきます。
このように、バリア機能の低下が乾燥を招き肌をくすませ、敏感な状態になることで皮脂過剰によるテカリ肌を生みだすのです。
キメが乱れた肌だと、『毛穴』にこんな悩みも併発
『毛穴』の周りの肌も、『角質細胞』で構成されています。
角質細胞が水分をたっぷり含んだ健康な状態なら、肌全体がふっくらと膨らみます。
逆に、水分不足で未熟な状態なら、大きさも形も不ぞろいな角質細胞で肌が構成されます。
すると毛穴の周りの肌は痩せてしまい、その分、肌の『くぼみ』が目立ってしまいます。
これは一般的に、『毛穴の開き』と呼ばれます。
つまり、毛穴の『開き』とは、毛穴自体が開いたり閉じたりしているのではなく、毛穴の周りの肌が『ふっくら』しているのか『縮こまって』いるのかによってくぼみの大きさが変わることを言うのです。
『黒ずみ』・『白い固まり』も、毛穴が開いていることで引き起こされます。
ですから、皮脂過剰によるテカリにお悩みの方の多くは、毛穴の悩みも併発していることが考えられます。
また、過剰な皮脂分泌や毛穴の悩みは、ケアの間違いを誘発する大きな原因となります。たとえば、このようなケアに走ってしまうのです。
間違った皮脂対策① 洗いすぎ
洗顔料を使って顔を洗うと、皮脂が落ちてさっぱりします。毛穴の汚れも取れるように思えます。ですから、ついつい洗いすぎてしまい、人によっては1日に2度3度と、洗顔料で洗うことがあります。
確かに気持ちがいいのですが、『皮脂=うるおい成分』だと考えるとどうでしょうか?
洗顔をするたびに、肌のうるおいを失ってしまうことになります。
つまり、バリア機能が弱まる要因を作ってしまい、さらに皮脂過剰を誘発してしまうということです。
ですから、洗顔料を使った洗顔は、1日1〜2回を目安にしましょう。朝と夜、が基本です。
「でも、もっと洗顔したい!」という場合は、水かぬるま湯洗いをお試しください。
人の肌から分泌する余分な皮脂や汗は、水やぬるま湯でも落とすことができます。
間違った皮脂対策② 落としすぎ
前項で、「洗顔料を使った洗顔は一日1〜2回」とお伝えしましたが、これは、ダブルクレンジングゲルなど、洗浄力がマイルドな洗顔料の場合です。
洗浄力が強い洗顔料であれば、たとえ「一日1〜2回」を守っていても、皮脂を取りすぎて皮脂の過剰分泌を促す可能性があります。では、洗浄力が強い洗顔料とは?
●石けん素地100%の固形石けん
界面活性剤のかたまりである固形石けんは、『皮脂を落としやすい』という性質を持っています。『敏感肌用』や『ベビー用』『乾燥肌用』であっても、この性質は変わりません。これは固形石けんの宿命です。
配合成分に、「石けん素地」や「ラウリン酸」「ミリスチン酸」「ステアリン酸」などが最初にあるものがそれにあたります。(他の配合成分によって、洗浄力は変わります)
「皮脂を取りすぎているかどうか」は、洗い上がりの感覚でチェックできます。『キュッキュッ』と音が鳴りそうだったら、皮脂を取りすぎた証拠です。
●すっきりタイプ・オイリー肌用の洗顔料
皮脂や毛穴の汚れが気になる方は、洗い上がりが『すっきり』するのを好まれます。先ほどの『キュッキュッ』という感覚です。
また、ニキビは皮脂が毛穴に詰まることから起こるため、『オイリー肌用』や『ニキビ用』の洗顔料は、わざと皮脂を取りすぎる仕様で作られていることが多いです。
こちらも、過剰に落としていないか、洗い上がりの肌感覚を再確認してみてください。
●オイルが主成分のクレンジング
オイルクレンジングは、『落ちにくい』『汗や水に強い』メイク料汚れを、油分を乳化させた界面活性剤で浮かせてスッキリ落とすことができます。
その反面、肌に必要な油分=皮脂まで落としてしまうことがあります。
そして、油分が肌に残るために、メイク落とし後は洗顔料を使って、残った油分を落とす必要があります。油分を落とすので、そこそこの洗浄力が必要です。
ですから、オイルクレンジングを選択した場合には、洗顔料による落としすぎも知っておく必要があります。
間違った皮脂対策③ ダメージを与えすぎ
良かれと思い行っているケアが、肌へのダメージに繋がっている。これはよくあることです。例えば、こんなケアを行い、ダメージを与えていませんか?
●剥がすタイプのパック
パックやシールを貼ったとき、毛穴の汚れだけに付着しているでしょうか?そんなわけはなく、肌全体に貼り付けていますよね。
つまり、毛穴の汚れを取っているつもりが、健康で肌を構成している『角質細胞』も一緒に剥がし、粘着による刺激や物理的に剥がすダメージを与えているのです。
●スクラブ・ゴマージュ・あかすりタオルなどを使う
貼って剥がすタイプのパックと同じで、こする行為は肌に摩擦を起こします。そして、この物理的な刺激が続くと、肌に大きなダメージを残します。
●熱いお湯で洗顔する
40度以上のお湯は、『角質層』の保湿成分を溶かします。すると、角質層を構成する『角質細胞』の結合が弱くなり、肌はもろくなります。もろい状態で、顔を洗う・拭くという刺激を与えると、角質細胞はポロポロとはがれやすくなります。
日常的なお湯洗顔は、肌を過敏にする可能性が高いです。
以上のような刺激を常態化させると、バリア機能の低下を招きます。繰り返しますが、バリア機能が弱まれば弱まるほど、皮脂分泌は過剰になっていきます。
さらに、これを改善しようとして行う間違ったケアが余計に皮脂過剰を招く、という悪循環につながります。
正しい洗顔方法をマスターして、ツヤのあるお肌を手に入れましょう。
※この記事は手作り新聞119号に掲載したものです
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