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井上満喫ブログ

2019年06月01日

医師や大学教授が化粧品を推す理由と、化粧品メーカーの思惑

こんにちは、井上です。
さて、昔から医師や大学教授が商品を推薦するビジネスがあります。
これは、商品に権威を持たせることで、商品力をアップさせることが目的です。
化粧品業界でもこの手段はよく用いられ、化粧品を推薦させることで、あたかも医薬品と同等かのようなイメージや、大学教授による検証が行われた化粧品であるかのように思わせる戦略です。
そもそも、化粧品原料の研究者は別として、医師は基礎医学や臨床医学など、大学教授はその分野に特化した学問などの専門職です。
その場合は得てして他の分野には疎いもので、『化粧品』の知識を持っている人はほぼいません。
また、化粧品・医薬部外品を規制する法律である『薬機法』の正式名称が、『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』と言うためか、医師や薬剤師は化粧品に関しても知識があると一部の人は勘違いしています。
医師は医療、薬剤師は薬品の専門家であり、化粧品に関しては素人です。
でも、こうした誤解が蔓延しているため、根拠のない権威によって化粧品の価値を誤認してしまう人がいます。こうしたことを避けるために、医師や大学教授を使った化粧品の推薦は薬機法で禁止されています。

平成29年9月29日に公布された『医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について』という通達に、次のように記されています。

医薬関係者等の推せん 医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。
参照:厚生労働省医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課長通達

 
でも、医師や大学教授などの権威を利用した宣伝広告は、目にしますよね。これには抜け道があります。

ドクターズコスメの抜け道

以下のような宣伝は、禁止です。

  • 〇〇医師が長年愛用の化粧品!
  • 〇〇医師が御用達の化粧品です。
  • 〇〇医師が化粧品を推薦
  • 〇〇クリニックでも使われている化粧品
  • この化粧品を美容師の私が自信をもっておすすめします。
  • 薬剤師のおススメ化粧品

以下のような宣伝は、セーフです。

  • ドクターズコスメという名称 ※商品名は不可
  • 〇〇医師と共同開発した化粧品
  • カリスマ美容師〇〇と一緒につくった化粧品

これらは、化粧品を推薦してるとは言えないためにセーフだそうです。
あなたはどう思いますか?
権威を利用しているように感じませんか?
私は感じます。

個人的には、医師や大学教授、理容師、美容師、薬剤師など、権威となりえるものはすべてアウトにした方が分かりやすいと思います。
こういった抜け道があるために、薬機法違反した宣伝広告が存在します。
薬機法を無視した化粧品は、間違いなく化粧品そのものの質が悪いので、購入者にとってマイナスでしかありません。
そもそも薬機法違反にならないからと言って、医師などの権威を使うのは化粧品メーカーのモラルに問題があります。
権威そのものが使用者にとってデメリットになるのですから、その要素となるものは排除すべきだと思います。

また、医師や大学教授などの権威を使った化粧品の宣伝広告は、商品の価値を自ら下げる行為じゃないでしょうか?
なぜなら、権威を匂わせないと売れないレベルの化粧品ということだからです。
もし、そのような化粧品に出会ったら、一度、権威をすべて取り払ってみてください。
宣伝や広告、説明文にある医師や大学教授に関する情報をすべて消してみてください。
その後、どれだけの魅力がその化粧品に残っているのか?
魅力ある化粧品なら、使う価値があります。
魅力がない化粧品なら、使う価値がないでしょう。
では、ここからは私が経験した『名義貸し』をする大学教授と医師の目線から検証したいと思います。

私が経験した大学教授の化粧品名義貸しの実態
これから話すのは、私が化粧品業界に入った20年前の話です。
当時、化粧品業界の関係者であるA氏にその手法を紹介されました。
ずいぶん以前の話なので大学名は伏せますが、有名な大学でした。
300万円払えば、その大学に所属する現役教授の推薦文と顔写真を使えるとのこと。
その教授のプロフィールを見せてもらったところ、確かに、すごく偉い人物に思えます。

当時、私は化粧品業界に入ったばかりの会社員。
初めてのOEM(化粧品の委受託製造:お茶の通販会社が化粧品を作りたいという依頼でした)案件を抱えて、知り合った業界の先輩たちにいろいろ分からないことを相談している時期でした。
右も左も知らないウブな私は、こんな質問をしました。
私「こんな偉い人が、私なんかの作った化粧品を使って評価してくれるのでしょうか?」
A氏「いやいや、使ってもらう必要なんてないよ。契約を結ぶだけだよ」
いわゆる『名義貸し』です。

当時は、インターネットがなく、紙面での広告が主体です。
出す紙面によって選定する人物や金額が変わりました。

また、お金を払えば必ず推薦してくれるというわけではありませんでした。
新聞広告などは通りやすく、雑誌や青年誌などはものによって拒否されるとのこと。
自分の名前や顔写真が掲載されるので、怪しいイメージを持たれる雑誌はNGが出るようです。
新聞のような、権威のある媒体は歓迎されていました。
自分自身の宣伝にもなりますしね。
権威×権威で、広告効果も倍増で、推薦する側も推薦してもらう化粧品メーカーにとっても良いことずくめです。
ただ、当時の新聞広告費はかなり高額でしたが。

ちなみに、化粧品の中身は、他の広告主と被らなければ、どんなものでも推薦OKとのことでした。
あとは、掲載期間を決めて、顔写真と経歴のフォーマットをもらって掲載するだけです。
大学教授からすれば、契約書に判子を押して300万円ゲットです。
マッチングビジネスとしておおっぴらに企業が行っていた訳ではなく、個人レベルの紹介ビジネスのような感じでした。
そういった依頼を受ける大学教授も一握りなので、その界隈では有名な方でした。
実際、いくつかの広告で、違う商品を推薦しているのを見かけました。
化粧水、化粧品原料原液、健康食品、健康茶といった具合に、商品が被らないようにうまく住み分けがされていました。
個人的には非常に胡散臭く感じ、なんだかウソをついているような気がして、結局は紹介を断りましたが。
それに、判子1つに300万円も払いたくありませんでした。

名義貸しをしなければならない理由
その後、お世話になった会社から独立し、色々な人脈が増える中で、大学教授や大学准教授の方と出会う機会も何度かありました。
不躾にも、「昔こんなことがあったんですけど、どう思います?」と世間話を装って本音を聞き出していました。
その際の私の印象では、「大学教授や准教授につく人は、名誉欲と知的好奇心が強い」というもので、個人的なお金目当ての人は、比較的少ないように思いました。
その平均年収を見てみると、850万円~千万円(Career Garde平成27年大学教授の給与・収入の統計より)です。
収入は高いものの、大学教授や大学准教授になる難易度や、子供時代から勉強にかける時間を考慮すると、あまりコストパフォーマンスが高いとは言えません。
そのためか、仲良くなった人に詳しく聞くと、大学教授や准教授が化粧品会社に名義貸しする理由には、「研究を続けるため」という側面があるようです。
印象的だったのは、准教授にして潤沢な研究資金を持っていることで有名な医師に言われた言葉です。
「自分の好きな研究を継続して成果を出そうと思うと、企業に営業できなければダメ。研究しかできない者はどんどん淘汰されていく。企業のニーズをうまく取り込んで、先方の望む研究結果をいかに出せるかが一番キモになる
だから、純粋に知識を探求するためには、ある種の操作をしてでも企業の利益となる研究を併用する必要があるとのこと。
何だか、それまで私が持っていた職業イメージとは違いました。
でも、よく考えると仕方ない部分もあります。
研究はタダではできないですから。

不可思議な研究結果が発表される理由
それに、おかげでひとつの謎が解けました。
美容成分には、色々なエビデンスがあります。
その中には、ときおり不思議な研究内容がありました。
たとえば、研究の題名は、『Aと言う美容成分に発がん性がある可能性を発見』で、詳細な実験内容を見ると、マウスに体重以上の美容成分Aを飲ませて経過を見るというものです。
ちなみに、美容成分Aは、肌に塗るものです。
かなり不思議ですよね。
なぜ、肌に塗る美容成分を飲ませるのか?
しかも、体重以上の量を飲ませる意味って?
そりゃ、いい結果が出る訳ないでしょ。
あくまで私の個人的見解なのですが、こういうものが研究資金を提供することと引き換えに行われている実験なんだと思います。
でも、本音はやりたくなさそうでした。
依頼される案件は、やはり研究者として疑問を感じる研究内容が多く、時間も取られてしまいます。
研究者としての矜持と自分の好きな研究をする時間を、お金で売るようなものです。
これに比べたら化粧品への名義貸しなんて簡単なものです。
最近は、化粧品への名義貸しはあまり見かけなくなりましたが、相変わらず、摩訶不思議な研究は行われているようです。
残念ながら、研究資金を調達する必要がある限り、このような研究はなくならないでしょうね。

私が経験した化粧品に名義貸しする医師の実態
私が化粧品業界に入るきっかけは、実は、元・病院幹部だった人からの声かけでした。
その方はなぜか私を非常にかわいがってくれ、表に出ない医療業界の裏話をいろいろ
と教えてくれました。
おおっぴらには言えない裏話がたくさんありますが、それはまたの機会に…。
その関係で、医師の知り合いも増えましたし、友人にも少ないですが数人います。
その人たちにも、「名義貸しについてどう思うか?」を聞きました。
私の印象では、医師が化粧品に名義貸しする理由は、ズバリお金目的です。

具体的には、自分の懐に入るお金です。
医師は、一般的なイメージだと年収が高いですよね。
厚生労働省が公表する『「勤務医の給料」と「開業医の収支差額」について』を参照すると、勤務医で約1500万円、開業医で2500万円が平均でした。

十分な収入に思えますが、私の知り合いは、皆、勤務医で、もっと収入を増やしたい
と望んでいました。
実際に、他の病院にアルバイトに行く勤務医は多いそうです。
アルバイトの時給は、もちろん人により違いますが、なんと一万円程度はあるそうで、
時給換算すると、給料よりもアルバイトのほうが報酬額が高くなります。
名義貸しをする医師も、医師の中では特にお金に執着が強い人なのでしょう。
医師は専門職なのですから、収入を上げたいなら専門分野の知識や技術を磨くのが通常です。
名義貸しと言うのは、その人個人の力量と言うより、『医師』という看板だけです。
実際に、知り合いの医師も「腕のない医者がそういうことをする」と名義貸しする医師を下に見ていました。
同じ医師の中でも賛否両論あるようです。

権威のにおいがしたら、要注意!
権威となる要素をすべて脳内削除してから、その商品の品定めをしましょう。
恐ろしいことに、そもそも医師と偽っている場合もあります。
2018年の9月に医師だと詐称し、自身のブログで健康食品を販売していた男性がいたという事件がありました。

この男性は、一般会社員にも関わらず「情報の信頼性を高めるため」に医師を名乗り、
「アフィリエイト広告により収入を得るため」情報発信をしていたそうです。
どんなに怪しい荒唐無稽な商品でも、『医師』という権威を使えば売れてしまう。
売上は月に10万円程度だったそうで、あまり売れていない印象を持つかもしれませんが、ものすごく怪しい商品と、ありえない効果の宣伝文句で商品を販売しており、「こんな売り方でよく月間10万円も売れたな」と私は感じました。
やっぱりまだまだ『権威』は威力抜群のようです。
この男性もそうですが、こうした権威を一度でも使うと、やめられないのかもしれません。
恐ろしい話です。
どうぞ皆さん、お気をつけください。

※このコラムは手作り新聞116号に掲載されたものを加筆修正したものです。

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