肌に関する質問にお答えするとき、「多いな」と感じるのが、
「いろんな化粧品を使っているのに、何を使っても効果が感じられない」
「自分に合う化粧品がわからない」
「もっと効果がある化粧品があるのでは」
という悩みです。
さまざまな化粧品を試しすぎて、何が良いのか逆にわからなくなってしまう「化粧品ジプシー(化粧品迷子)」になっている人が意外と多いようです。
「そもそも化粧品を使う目的とは何か?」、「化粧品が合わないとはどういうことなのか?」
ここでもう1度考えてみてください。
20年以上化粧品業界に携わってきて、「大切だ」と思うのは、「広告やキャッチコピーに惑わされず、正しい情報を得て、地道で適切なスキンケアをすること」です。
この記事では、化粧品の本来の役割や肌の仕組み、スキンケアの正しい方法などについてお話します。
「化粧品、何を使っても変わらないのはなぜ?」と悩む人は参考にしてみてくださいね。
1. 化粧品は「薬」ではない
よくある勘違い・思い込みは、化粧品に薬のような高い効果・効能があると思い込んで使ってしまうことです。
「この化粧品を使えばキレイになる」
「シミやしわがなくなる」
という勘違いや思い込みで化粧品を使うことは、実は危険です。
化粧品と医薬品、医薬部外品にははっきりとした違いがあり、効果のほどにも明確な差があります。
ここでは化粧品と医薬品、医薬部外品の違いについて詳しく見てみましょう。
1-1. 化粧品で肌トラブルは改善しない
日本では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という決まりがあります。
薬機法(旧・薬事法)と呼ばれるこの法律では、医薬品・医薬部外品・化粧品が定義付けられ、販売する際の広告方法にもルールが定められています。
まずは医薬品。
人や動物の体の構造や機能に影響を及ぼすと厚生労働省に認められた成分が配合されており、病気などの治療を目的に使われるいわゆる「薬」のことです。
医薬部外品も同じく、厚生労働省が認めた効果・効能を持つ有効成分を含んでいますが、こちらは医薬品に比べて作用が緩やかです。
医薬品、医薬部外品に比べて、さらに効果・効能が緩やかであるものが化粧品です。
皮膚にうるおいを与える、肌のキメを整えることなどが目的で、たとえば「ニキビを治す」「肌を殺菌する」などの治療効果を謳うことは許可されていません。
医薬品・医薬部外品には治療に準ずる効果と副作用があり、化粧品にはそれがない。
化粧品で何らかの肌トラブルが改善するようなことは約束されていないのです。
1-2. 化粧品で効果を実感するのは難しい
熱が出たとき、私たちは医師に処方された薬や薬局で購入した薬を飲み、熱を下げますよね。
このように、医療の範囲で使われる医薬品にはしっかりとした効果があります。
対して、化粧品は医薬品ほどの強い作用を持ちません。
化粧品に何らかの「効果」を求めて使う人は少なくありませんが、前述の通り、実際には肌を整える・清潔に保つといった、ごく穏やかな影響が限度。
医薬部外品も同様で、たとえば「できてしまったシミ・そばかすをなくす」といったような「完全に治す」といった治療を連想させる表現や、確実な効果を謳う表現は認められていないのでそんな記載のある商品の使用には注意が必要です。
化粧品で効果を実感するのは、基本的には難しいことだということを覚えておきましょう。
1-2-1.「自分に合う化粧品」とは「肌トラブルが起こらないもの」
化粧品を使うと人によっては、含まれている成分で赤みや発疹などの炎症などアレルギー反応を起こすケースがあります。
こうした場合はご自身の肌質に合わないと判断し、使用を避けましょう。
自分に合う化粧品=肌が劇的に変化し若返る、トラブルが改善する、といったイメージを持つ人も多いでしょう。
しかし実際は、使用したときに何もトラブルが出ないものが「自分に合う化粧品である」といえます。
2. 化粧品についてのQ&A
当メディアを運営する化粧品販売している株式会社アースケアによく寄せられる「化粧品に関する質問」にお答えします。
Q1. 「化粧品は高い方が効果があるの?安いのはだめ?」
A.化粧品の良し悪しは値段では決められません。
前述の通り、化粧品は劇的な効果を謳えるものではありません。
価格の高い化粧品が効果的だと思われがちですが、実際は、ブランドイメージ、広告費やパッケージ、新成分の研究費用などが多くを占めています。
1つの雑誌に1ページ広告を載せるだけでも数十万〜数百万とかなりの金額を要しますし、TVのCM制作ともなればタレントの出演料をはじめとする莫大な費用がかかります。
また、化粧品はパッケージも美しいものが好まれる傾向にあるため、デザインや容器に大きく費用が割かれていることも。
メーカーによってお金をかけるポイントが違うものの、肝心の中身は、配合成分に大きな違いがなければそこまで大差はないといえます。
つまり、一概に値段で化粧品の質は計れないです。
化粧品の良し悪しを判断する際は、値段ではなく、自分の好きな使用感かどうかなや肌トラブルが起こらない、など「使い続けられるかどうか」を重要視して選択しましょう。
Q2. 「タレントおすすめのものを使っているのに、綺麗にならないのはなぜ?」
A.それは、「タレントさんとは肌質が異なり、万人が同じ肌ではないから」です。
近年、若い世代から寄せられる疑問のなかでも「好きなタレントやモデル、YouTuberがSNSで紹介している化粧品と同じものを使っているのに、効果がない」といったものが目立ちます。
まず考えられるのが、肌質や生活習慣の違いから合う化粧品が異なるというケース。
いくらSNSで良いと紹介されていても、ご自身の肌に合わなければ同じような効果は望めないことは覚えておきましょう。
そして、タレントさんは売り物である自分の肌の管理、自分の仕事の価値につながります。
ですから、スキンケア以外にも肌のメンテナンスをしていることも多いのが実情です。
また、SNSの影響を重視したメーカー側がタレントやインフルエンサーに紹介を依頼するいわゆる「PR案件」が昨今は多く、実際に愛用していないケースも多くあります。
Q3. 「これまでの化粧品では効果を感じられなくなったのはなぜ?」
A.「現状維持では満足できなくなった」または、「肌質や季節、年齢、ホルモンバランスの変化などで肌は変化するためです。
ホルモンバランスの変化や年齢、季節など、さまざまな要因で肌は変化していきます。
そのため、同じ化粧品を使っていても「合わなくなった」「以前ほど良さを感じなくなった」と思うケースも少なくありません。
この場合は多くの場合、肌の乾燥度合いによる差なので、「使用量の調整」で解決します。
使用をやめるのではなく、その化粧品のアドバイザーに相談してみましょう。
Q4. 「いっそ何も使わない方がいいの?」
A.基本的には、「角質層への保湿ケアは必要」です。
「化粧品の成分も気になるし、いっそ何もしないほうが肌が健康になるのでは?」と近年「肌断食」が密かなブームになっています。
しかし、ネット上で紹介されているものには、根拠が乏しいものもあるので注意が必要です。
また、肌質によってはいきなり全てのスキンケアをやめてしまうとトラブルにつながる恐れも。
もし、何も使わずに肌を休める期間を設けたい場合は、まずは部分的に取り入れる「プチ肌断食」から試してみましょう。
肌断食の詳細や方法についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
「何もしない」スキンケアは効果ある?方法や注意点をご紹介
低リスク&効果大な「肌断食」のやり方|効果に関する9つのウソ/ホントを検証
ある程度のメリットも認められている肌断食ですが、スキンケアが肌に悪いというわけではありません。
基本的には「角質層を保湿することは大切」だという研究結果も出ています。
スキンケアの重要性について、次章で詳しく見てみましょう。
3. 大切なのは、「角質層に与えるうるおいケア」です
スキンケアについて正しい知識を得るためには、まず肌の構造を知ることが大切です。
ここからは、肌についての基礎知識や、スキンケアがどのように肌に影響を及ぼすのか詳しく解説していきます。
3-1. 肌の構造を知れば、角質層へのうるおいケアがわかります
私たちの全身を覆う肌は、体から水分が失われるのを防ぐ・体温を調節する・外部の刺激を察知する・雑菌や汚れから体を守るといった役割を負っています。
肌は「表皮・真皮・皮下組織」の3層構造です。
1番下の皮下組織は主に脂肪や神経、血管から成り、真皮や表皮を支えています。
その上の真皮は、血管や神経のほかに皮脂腺や汗腺といった身体の重要な機能も備えています。
スキンケアを語る上で特に欠かせない部位が「表皮」です。
3-2. ターンオーバーがあるから、うるおいケアが効果的
肌の1番外側の表皮はさらに「角層・顆粒層・有棘層・基底層」の4層に分かれています。
まず底にある基底層から新しい細胞が生まれ、1番外側の角層まで達すると、垢となって体からはがれ落ちます。
このサイクルがいわゆる「ターンオーバー」。
スムーズなターンオーバーは、健やかで美しい肌を維持するためには不可欠です。
また、ターンオーバーの周期には28日~56日ほどかかるとされています。一般的には年齢が上がるとともに、ターンオーバーにかかる日数も長くなります。
3-3. バリア機能が、肌のうるおい保持のポイント
スキンケアの話題で最近よく見聞きする言葉に「バリア機能」がありますね。
バリア機能とは文字通り、乾燥や雑菌、汚れといった外部刺激から肌や体を守る機能です。
このバリア機能が崩れると、乾燥や肌トラブルといったさまざまな問題を引き起こします。
バリア機能のメカニズムについても少し触れてみましょう。
表皮のなかでも1番外側にある「角質層(角層)」は、表面を覆う「皮脂膜」と水分を保つ「天然保湿因子(NMF)」、細胞の隙間を埋める「細胞間脂質」からできています。
バリア機能を語る上で特に重視したいのが「細胞間脂質」。
「細胞間脂質」は、ラメラ構造という非常にバリア効果の高い仕組みで成り立っています。
これが、角質の細胞同士を接着剤のようにつなぎ止め、肌の水分を保つとともに外部からの刺激物質の侵入を防いでいるのです。
肌には防御反応があるのが分かりますね。スキンケアの目的の一つは、角質層をケアし、肌のバリア機能を正常に保つことにあります。
3-4. 角質層のケアがバリア機能を整える
先述の通り、表皮は4層に分かれており、その1番表面にあるのが約0.02mmの「角質層」です。
スキンケアの成分が届くのもこの角質層まで。
すなわち、角質層のケアがバリア機能を整え、健やかな肌へと導くカギとなるのです。
角質を保湿することの重要性は研究でも明らかになっています。
4. 高価なスキンケア商品は必要ない|おすすめの保湿ケアアイテムを紹介
先ほども言及しましたが、化粧品は医薬品ほどの強い作用を持ちません。
化粧品に何らかの「効果」を求めて使う人は少なくありませんが、実際には肌を整える・清潔に保つといった、ごく穏やかな影響が限度。
「じゃあ化粧品なんて使う必要ないんじゃない?」と思うかもしれませんが、角質層への保湿ケアは必要です。
「角層がスキンケアによって濡れてゆっくり乾くことで、バリア機能が向上し、皮膚の状態が健全に保たれる」
「皮膚の生細胞に働きかける成分でなくても、水と保湿剤、そして油脂を含有するスキンケア製品を使用すること、あるいは化粧水、乳液を使用し、最後にクリームで閉塞するという化粧行為そのものが、角層の状態を改善し、ひいては皮膚全体をよい状態に整えることができることを証明している」と、スキンケアの有効性が明言されています。
したがって、適切にうるおいケアができる商品であれば「どんな化粧品であっても、効果はたいして変わらない」と言えるでしょう。
高価なスキンケア商品だろうと、その事実は変わりません。
これから紹介する「おすすめの保湿スキンケア商品」ですが、あえて高価なものを避けて選びました。
逆に、以下の2つを注意して厳選しました。
保湿スキンケア商品で大切な2つのポイント
- 効果的に「保湿」ができるか
- オールインワンタイプかどうか
大事なことは値段ではなく、本当に効果的なうるおいケアができるか、という点です。
また、オールインワンタイプであれば、その商品だけで「肌に必要な保湿」が行えるため、化粧水や乳液、クリームなど複数の基礎化粧品を使う必要がなくなります。
時短にもなりますし、手間が減ります。
「どれにしようか迷う」
「どれが自分に合っているのかわからない」
という方はぜひ参考にしてください。
4-1. 高保湿でおすすめのオールインワンジェル│アクアテクトゲル
おすすめポイント
- 油分だけでなく、水分もたっぷり補える
- 与えた水分を維持する16種の保湿成分配合
- 香料/アルコール/着色料不使用
- 550円でお試しセットが購入できる
「アースケア アクアテクトゲル」は保湿に特化したオールインワンジェルのため、肌のうるおい改善に役立ちます。
アクアテクトゲル1本だけで「肌に必要な保湿」が行えるため、化粧水や乳液、クリームなど複数の基礎化粧品を使う必要はありません。
手間や時間の削減だけでなく、お肌の刺激となる摩擦が通常のスキンケアの1/3になるため、乾燥した肌にしっかりとハリと潤いを与えられるでしょう。
実際にアクアテクトゲルを使用し続けた結果「4週間後に肌のうるおいがアップしたことが実証」されました。
また「アースケア アクアテクトゲル」では、お試しセットが存在するのも魅力の1つ。
「肌に合う・合わない」を試したうえで使用できるので、非常におすすめです。
4-2. 九州産 丸大豆の保湿成分配合|なめらか本舗 とろんと濃ジェル
おすすめポイント
- グリセリンなどの高保湿成分配合
- 1000円程度で購入できる
- 1個で6役のオールインワンジェル
高保湿成分であるグリセリンを配合するため、角質層の奥までしっかり浸透し、長時間にわたって保湿効果を発揮します。
オールインワンジェルだから、「化粧水・美容液・乳液・クリーム・パック・化粧下地」の6役がこれひとつでOK。
大豆の品種・産地にこだわり55種類もの大豆を徹底研究。
大豆の品種によって含まれるイソフラボンの量や美肌への効果が異なることを研究で発見し、イソフラボンを安定的に含む九州産丸大豆「ふくゆたか」を採用した、珍しい保湿ケア商品です。
4-3. 4種の保湿成分が角質にうるおいを届ける|うるおいジェル(ちふれ)
出典:ちふれHP
おすすめポイント
- 値段がお手頃
- 薬局で手に入りやすい
- 6種類の基礎化粧品の役割
- 肌なじみがよく、しっとり感が持続
なじみのよいジェルが、スーッとなめらかにのびてしっとり感が持続。
もっちりとやわらかな肌に導きます。
アルコールを配合していないので、アルコールに敏感な方でもお使いいただけます。
5. スキンケアと生活習慣を見直してみよう
どんな化粧品を使っても肌が変わらないと悩む人は、まずスキンケアの方法や生活習慣を見直してみてください。
これらは健やかな肌を保つために不可欠な要素です。
最後に、正しいスキンケア、正しい生活習慣とはどんなものなのか確認してみましょう。
5-1. 正しいスキンケア
心地の良い使用感や成分を重視して化粧品を選ぶことももちろん大切ですが、正しい方法で毎日のスキンケアを行うことが何より重要です。
スキンケアのコツは、水分・保湿成分・油分の3つをバランスよく肌に与えること。
具体的には
・水分=化粧水
・保湿成分=乳液
・油分=クリーム
が当てはまり、肌に乗せるのもこの順番です。
水分・保湿成分・油分は、どれかが多すぎても少なすぎても良くありません。
各アイテムを調整して、ご自身の肌に合ったバランスを見つけてみてくださいね。
5-2. 生活習慣の見直し
スキンケアの方法を見直すと同時に、生活習慣の改善にも取り組んでみましょう。
栄養バランスの良い食事や良質な睡眠、毎日の適度な運動は、肌に必要な栄養を届け、ターンオーバーを整えます。
また、過度な飲酒や喫煙を控えるだけでも、肌の調子は上向いていきますよ。
肌の問題は体の不調と密接に結びついていることも多いものです。
健やかで美しい肌を目指すなら、健康的な生活習慣を心がけてみましょう。
まとめ
化粧品を使うときにおさえておきたいのは以下の3つです。
- 薬のように強い効果は期待できないということ
- 「自分に合う化粧品」とは、基本的には「トラブルが起きないもの」であること
- スキンケアの方法や生活習慣も肌の状態に大きく関わるということ
化粧品に大きな効果を求めると、化粧品探しの旅を続ける羽目になります。
商品ばかりに目がいくと、自分の肌に適したスキンケア方法もわからずじまいです。
それが何年何十年も続くと、気持ちも落ち着かず効果が半減することも。
肌のメカニズムや化粧品の働きを正しく知り、さまざまな視点からスキンケアに取り組むことで、スキンケアの継続率が上がります。
正しくケアを続けることは、今よりも良い肌の状態を目指すことができます。
今回解説した内容をふまえて、もう1度スキンケアアイテムや方法について見直してみてくださいね。