ドラッグストアで手軽に手に入るワセリンを保湿ケアとして使用している人は多いのではないでしょうか。
ワセリンには油分が多く含まれるため、肌の水分蒸発や外的な刺激から守る目的としては最適です。
しかし、ワセリンだけの保湿では肌に水分を与えられないため、かえって肌が乾燥する可能性があるため、正しい保湿ケアの知識が必要不可欠です。
この記事ではワセリンの正しい使い方やワセリンを使う際に行うべき、保湿ケアを詳しく解説します。
1.ワセリンに保湿効果はある?|基礎化粧品の保湿との違い
冒頭でもお話ししたように、ワセリンの主成分は油分です。
そのため、肌へ油分を与え水分の蒸発を防ぐという点では保湿効果はあるといえます。
しかし、保湿とは肌をうるおす水分とその蒸発を防ぐ油分を同時に与えることであり、油分を与えるだけのワセリンでは肌をうるおすことはできません。
そのため、ワセリンを使用する場合は、同時に水分を肌へ与えるケアも必要です。
1-1.ワセリンは「水分を守る」保湿効果がある。
保湿を行うための商品(保湿剤)は、その「保湿の仕方」で2種類に分けられます。
保湿の仕方 | 具体的な作用 | 保湿剤の例 |
水分を与える | 角質層に直接水分を供給するため即効性がある |
|
水分を守る | 皮膚の表面を覆って、水分が蒸発するのを防ぐ 塗布直後に角質層の水分は増えないが、徐々にたまっていき、肌の水分量が増える作用がある |
|
参考:東北大学大学院 皮膚科 菊地克子氏「外用剤を知り皮膚外用療法の達人を目指す 保湿剤・防護剤」
「水を守る」保湿剤の中でも、ワセリンは特にその効果が高いです。
オリーブオイルの170倍、水分の蒸発を抑える効果がある。
Among all petroleum jelly is one of the best moisturizers having a water vapor loss resistance 170 times that of olive oilミネラルオイル・ラノリン・シリコンが、水分蒸散量を20~30%抑えるのに対して、98%以上抑える作用がある。
Petrolatum in a minimum concentration of 5% reduces TEWL by more than 98% followed by lanolin, mineral oil, and silicones which only reduce TEWL by 20–30%.引用:US National Library of Medicine Dr. Anisha Sethi
From the Department of Skin and S.T.D, DMCH, Ludhiana, Punjab, India「Moisturizers: The Slippery Road」
肌のバリア機能を維持するためには、肌に「水分」を与え、その水分が逃げないように「油分」でフタをする必要があります。
先述したように、ワセリンは「水分を守る(蒸発を防ぐ)」効果はある一方で、肌に水分を与える作用はありません。つまり、ワセリンだけでは効果的な保湿を実現することができないということです。
その点は忘れないようにご注意ください。
1-2.基礎化粧品は「水分を与える+守る」
改めて、保湿とは肌をうるおす水分とその蒸発を防ぐ、油分を与えることです。
基礎化粧品はこの保湿の役割を担っています。
たとえば、化粧水は水分を与える目的があり、ワセリンと同じ「水分を守る」役割は、保湿クリームや美容オイルが担っています。
1-3.ワセリンは水分を与える基礎化粧品と同時に使用する
ワセリンには肌へ水分を与える働きがありません。
そのため、肌内部の水分が少ない状態でワセリンを使えば、肌は水分不足のままです。
したがって、肌の乾燥に悩んでいる人は水分を与える基礎化粧品と同時に使用する必要があります。
2.ワセリンを顔へ塗る欠点・デメリットは「水分を補給できないこと」
繰り返しになりますがワセリンだけを使用しても、顔の正しい「保湿」はできず、肌のバリア機能を正常に保つことができません。
正しい「保湿」とは、肌内部に適切な量の水分が保持された状態を作り出すこと。
そのためには、肌に「水分」と「油分」を同時に与える必要があります。
くり返しになりますが、ワセリンは「水分を守る(蒸発を防ぐ)」効果は高い一方で、「肌に水分を与える」作用はありません。
つまり、ワセリンだけでは水分を補給することができないため、効果的な保湿が実現しません。
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ワセリンが水分を補給できない一方で、アクアテクトゲルは肌に水分をしっかり補給することができます。
また、良質な油分が含まれているため、水分の蒸発も防ぐことができます。つまり、これ一本で正しい「保湿」が完了するのです。
アクアテクトゲル |
ワセリンだけ |
化粧品を複数 |
|
水分を与える |
◎ |
△ |
◎ |
水分を守る |
〇 |
◎ |
〇 |
摩擦が少ない |
◎ |
△ |
△ |
このように、アクアテクトゲルはワセリンの代わり、または併用におすすめです。
アクアテクトゲルは、低刺激を保証する3つのテストを実施済みです。
- パッチテスト
- アレルギーテスト
- スティンギングテスト
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3.顔にワセリンを使う3つのタイミング
ワセリンは性別や年齢を問わず、顔を含む全身に使えます。
先ほど紹介したように、ワセリン単体では保湿ができませんが、守りのケアに取り入れていただくこと自体はとてもおすすめです。
以下ではワセリンを使った顔のケア方法を紹介します。
3-1.化粧品が合わず、ヒリヒリや肌荒れが起きたとき
化粧品によって肌荒れが発生した時、ワセリンであれば使用できる可能性が高いです。
ワセリンはアレルギー反応の割合が非常に低く、外部の刺激を防ぐ力も強いため、肌荒れの際にも使える可能性が高いからです。
肌が落ち着くまでは、肌に刺激になるような「攻め」の基礎化粧品の使用は控えてください。
低刺激なスキンケアアイテムとワセリンを併用した「守り」のスキンケアを徹底し、刺激や肌の乾燥を防ぐようにしましょう。
まぶたや目の周りにも使用できます。
化粧下地としても使えるワセリン
ワセリンは、化粧下地としても使えます。
肌荒れ時の化粧下地として、また、乾燥肌によってファンデが粉吹きになるケースでも、ワセリンは使えます。
粉吹きが気になるときの応急処置法(ワセリン)
- 粉吹き部分に少量のワセリンをなじませる
- コットンやティッシュで軽く拭き取る
- 再度、ワセリンを少量塗り、手のひらで軽く押さえて肌になじませる
- パウダータイプのファンデーションをのせる
3-2.肌が乾燥しやすい環境で過ごすとき
アウトドアやスポーツ・スキー場・野外活動・夜眠っている間など、長時間、保湿ができず乾燥しやすい環境で過ごすこともありますよね。
そんなときは、いつものスキンケアにプラスして、ワセリンを薄く塗っておくと良いでしょう。
ワセリンの「水分蒸発を防ぐ強い力」のおかげで、肌のうるおいを長時間キープできるからです。
基礎化粧品が使える状態になったら、薄めた石けんや洗顔料でワセリンを落とし、その後、化粧水や乳液でたっぷり水分を与えましょう。
そして、そのあとに再度、ワセリンで与えた水分を守りましょう。
3-3.スキンケアをシンプルにしたいとき
「基礎化粧品の数を減らして、スキンケアをシンプルにしたい!」という場合には、油分の多い基礎化粧品(保湿クリームや美容オイル)をワセリンに置き換えましょう。
油分の多い基礎化粧品(保湿クリーム・美容オイルなど)の役割は、水分蒸発を防ぐことです。
ワセリンは、保湿クリームやオイルよりも強力に水分蒸散を防ぎます。
1本でスキンケアが完了する高保湿オールインワンもおすすめです。
4.顔にワセリンを使った保湿の注意点
「水分をたっぷり与えてから塗る」の他に、ワセリンを使う場合には、次の3つの点に注意しましょう。
4-1.手で温めてから塗りましょう
ワセリンは、伸びが良くありません。
そのまま塗ろうとすると、肌の上で摩擦を起こしてしまいます。
乾燥肌や敏感肌には刺激となります。
塗る前に手の平で温め、柔らかくしてから塗りましょう。
黄色ワセリンよりも白ワセリンやサンホワイトのほうが、柔らかく、塗りやすいです。
4-2.指で伸ばすよりも、ポンポンとスタンプ塗りをしましょう
伸びが良くないため、塗り方も工夫しましょう。
基礎化粧品のように塗り広げるよりも、ポンポンポンと軽く叩くようにすると塗りやすいです。
私たちはこの塗り方を「スタンプ塗り」と呼んでいます。
手指の中でも一番やさしい「指の腹」でポンポンと塗り広げると、刺激が少ないのでおすすめです。
また、「肌が敏感になっている」という場合には、こんな塗り方もあります。
<肌が敏感になっている場合>
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手や指で肌の上をなでるのではなく、上から押さえるように塗るのがポイント。
こうすることで、肌への刺激を最小限にして塗れます。
4-3.ニキビができやすい肌質の場合は、少量を使用する
ワセリンの代名詞である商品「ヴァセリン(ユニリーバ)」は、「ヴァセリンはニキビのもとにはならない(ノンコメドジェニック)」と説明しています。
一方、アメリカ皮膚科学会は、「ニキビができやすい肌質の場合は、ワセリンの使用を控えること」をすすめています。
つまり、ワセリンを使用しても、ニキビの元となる「コメド」はできにくい。
しかし、すでにニキビがある場合や、ニキビができやすい肌状態の人にとっては、ワセリンの使用はニキビの悪化につながる可能性がある、ということ。
ですから、すでにニキビがある人やできやすい自覚がある人は、ワセリンは少量の使用をおすすめします。
5.ワセリンを顔に使った保湿ケアのよくある質問
この章では「ワセリン」に対する疑問・質問にお答えします。
Q.本当にワセリンを顔に使っても大丈夫?
A.はい、大丈夫です。
ワセリンを顔に使っていい理由は、以下の通りです。
- 薬効作用はない
- 安全性が高い
- アレルギー反応が起こりにくい
「薬」じゃないの?
薬効作用は一切ありません。
安全性が高いため、薬を薄めたり、塗りやすくするための「基材」としてよく使用されます。
石油じゃないの?
「石油」由来の成分ですが、石油の性質は一切持ちません。
きちんと精製を行い、不純物が取り除かれているためです。
その他の多くの薬や化粧品成分と同様です。
アレルギーは起こらない?
もともと医療用に開発された製品で、特にアレルギーが起こりにくい性質を持っています。
ただし、どんな安全な成分にも、まれにアレルギーを持つ体質の方はいらっしゃいます。
心配な場合は、事前にパッチテストを行いましょう。
Q.ワセリンを塗った後赤くなるのは大丈夫?
A.早急にワセリンの使用を中止してください。
ワセリンは皮膚の保護を目的に使う商品であるため、成分によって赤くなるリスクはほとんどありません。
ただ、「皮膚の保護=油分が多い」であるため、皮脂の分泌量が多かったり、毛穴が詰まっていたりすると、肌トラブルにより赤くなる可能性があります。
ワセリンを塗って顔が赤くなった際は、肌環境の悪化を疑って一旦使用を中止しましょう。
Q.ワセリンは顔以外の保湿にも使える?唇や手荒れにも使っていい?
A.はい、次の保湿ケアに使えます。
- 手足
- 体
- 髪
- 爪
- 唇
ちなみに、自社調査では、唇に使用する方が最も多いことがわかりました。
調査結果のように、ワセリンは唇の保護にも使用できます。
治療薬ではないので、症状が重い場合は皮膚科に相談することをおすすめしますが、軽度の唇荒れであれば、ワセリンで保護することは可能です。
唇は皮膚が薄く、少しの刺激で荒れやすい部位。トラブルが起きた際は、なるべく早く対処しましょう。
また、手荒れケアにも使用できます。
関連記事:手荒れ・手の乾燥はワセリンでケアできる!ハンドクリーム代わりでOK
まとめ
ワセリンは、「水分を守る」という点で、とても優れた保湿剤です。
しかし、ワセリンだけの使用は、保湿に必要不可欠な肌をうるおす水分を与えることができません。
そのため、水分を与える基礎化粧品と同時に使用する必要があります。
ワセリンの特徴と肌状態に合わせて、うまく活用しましょう。