紫外線が肌に及ぼすさまざまな影響が明らかになり、子供の頃からUVケアをするのが当たり前の時代になりました。
さらに近年では紫外線だけでなく、PM2.5や花粉などによる肌への悪影響についても注目が集まり、対策として肌の汚染を防ぐ「アンチポリューションコスメ」が登場しています。
当メディアを運営する株式会社アースケアも、敏感肌により良い情報をお届けするため、以前からアンチポリューションコスメに注目しています。
2021年6月にはアンチポリューションの日焼け止め「UVカットローション」も新発売します。
商品開発を進めている中で、敏感肌の人はもちろん、健康な肌の人も知っておきたい新しいスキンケアだと感じています。
今回は、アンチポリューションコスメとはそもそも何なのか、そして何に効果があるものなのかなど、その成分も含めて徹底解説します。
1.アンチポリューションコスメとは
「アンチ」が付く美容ワードで真っ先に思い浮かぶのが、日本でも広く浸透しているアンチエイジングです。
このことから、アンチポリューションも何かに対抗したり防いだりするためのものだということが分かりますね。
直訳するとこのようになります。
ポリューション(pollution)=汚染、アンチ(anti)=反対
つまりアンチポリューションコスメとは、「汚染から肌を守る」化粧品を指します。
近年、PM2.5など大気汚染物質が肌に及ぼすさまざまな影響が、メディアで取り上げられるようになりました。
1-1.アンチポリューションコスメの成分
アンチポリューションコスメは医薬品ではないので、何か特定の成分を含んでいるものが名乗って良い、という決まりはありません。
一般的には、抗大気汚染成分などのアンチポリューション成分を配合した化粧品を指します。
多くの方が、「アンチポリューション効果がある成分が配合されている」「アンチポリューション効果があることがテストされている」と思っておられます。
でも残念ながら厳密な定義がないため、アンチポリューションコスメのなかでも機能に幅があります。
各メーカーが独自に開発したものもあれば、紫外線対策(UVケア)や、肌を守る役割を果たすものであれば、「アンチポリューションコスメ」と銘打っている場合もあります。
<ネット検索で見つかったアンチポリューションコスメの例>
- ブルーライトカット効果がある日焼け止め
- UVーA波をカットする日焼け止め
- 肌荒れや乾燥を防ぐ成分を配合している
- 高機能保湿成分を配合している
- 乾燥から肌を守る美容成分配合
※サイト上で表現されているそのまま
「思っていた効果と違う」とがっかりしないように、化粧品を使う前に、「何がどうアンチポリューション効果なのか」を事前に確認することをおすすめします。
2.肌に影響を与えるポリューション
先ほどポリューション=汚染と解説しましたが、汚染物質にもいろいろな種類があります。
代表的なのは花粉やPM2.5ですが、そのほかにも、日常には肌荒れの原因物質が多く潜んでいるのです。
この章では、肌に影響を与えるポリューションにはどんなものがあるのか解説します。
2-1.防ぎたいポリューションの代表例
- 紫外線
- ブルーライト
- 花粉
- PM2.5などの大気汚染物質
- タバコの煙
- ダニやホコリなどのアレルゲン
いずれも私たちの身近にあるので、ポリューションというと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、気をつけたいものであることに間違いありません。
2-2.ポリューションが肌に与える影響
代表的なポリューションの肌への影響も見ていきましょう。
まずは紫外線。
太陽から降り注ぐ紫外線は人の体に欠かせないものですが、その一方でシミやシワ、乾燥の原因になります。
太陽光に含まれるポリューションとしてもう1つ挙げられるのが、「ブルーライト」です。
パソコンや携帯電話から発せられる光というイメージが強いブルーライトですが、実は太陽光にも含まれており、肌に強いストレスを与えると言われています。
そしてアレルゲンの代表格とも言えるのが「花粉やダニ、ホコリ」です。
目鼻のアレルギー症状だけでなく、肌荒れや乾燥を引き起こすことでも知られています。こまめにクリーニングしていないエアコンも、カビとホコリの巣窟になっているので要注意です。
すぐに対策できるのが「タバコの煙」。
肌荒れや実年齢より上に見えてしまうだけでなく、がんなど重大な疾患の一因になり得るため、近年では大幅に喫煙者が減少しています。
早急に止めるのが望ましいのですが、難しい場合は吸っている本人だけでなく周囲の人にも受動喫煙という形で影響を及ぼすことを忘れないように注意しましょう。
最後に大気汚染物質として何かと話題に上る「PM2.5」。
非常に細かい粒子で、その悪影響は肌にとどまりません。
次の項でこのPM2.5について詳しく解説します。
2-3.大気汚染物質の代表「PM2.5」
PM2.5の別名は「微小粒子状物質」。
その名の通り、2.5μm(マイクロメートル)というごく小さな粒子を指します。
その大きさは、髪の毛1本のなんと1/30。発生源は焼却炉やボイラー、自動車の排ガスや煙、海や土地、火山など自然物までさまざまです。
PM2.5は特に吸い込んだときの呼吸器や循環器への悪影響が懸念されており、日本でも注意喚起の基準値が定められています。
ただ、PM2.5の発生源は屋外だけではありません。屋内の喫煙でもその場のPM2.5の値が大きく上がることが分かっています。
PM2.5は、皮膚の炎症や酸化、バリア機能の低下などを引き起こし、肌荒れやシミ、シワの原因になることも確認されています。
そこからアンチポリューションコスメの開発に多くのメーカーが取り組むようになりました。
2-4.アンチポリューションコスメの効果
アンチポリューションコスメはあくまで化粧品。
厚生労働省が許可した医薬品とは違い、確かな「効果」を約束することはできません。
例えば、熱を下げるために飲む解熱剤は医薬品に分類されます。
これは、薬に入っている成分が効果的であると厚生労働省に認められたからです。
また、医薬部外品も同様に配合成分の効果や効能が認められ、基準を満たした濃度で入っています。
そのため、「肌荒れに効果がある」「殺菌効果がある」など、その効果・効能をはっきりと広告できるのです。
一方、厚生労働省の認可が必要無い化粧品は、医薬品に比べて効果が穏やかです。
「皮膚を美しくする、清潔に保つ」などの目的で使用されますが、「皮膚トラブル(疾患)を治す」などと謳うことはできません。
アンチポリューションコスメも化粧品の例にもれず、薬のような強い効果が確実に得られるわけではないことを覚えておきましょう。
3.肌のバリア機能とは
アンチポリューションコスメを使うのであれば、肌にもともと備わっている防衛能力であるバリア機能のことも知っておきましょう。
バリア機能とは、汚れや菌が体内に侵入することを防ぎ、体の水分の蒸散を防ぐ肌の機能を指します。
バリア機能がうまく働いていないと乾燥や炎症といった肌トラブルが起きやすくなってしまうのです。
皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層に分かれていて、一番上にある表皮はさらに4つの層に分かれています。
各層が良いバランスで保たれ、肌を構成するさまざまな組織の結びつきが強いことが、バリア機能向上の条件となります。
3-1.アンチポリューションコスメでバリア機能を守る
PM2.5などの汚染物質などが肌の細胞間の結びつきを弱め、バリア機能を低下させ、ひいては肌荒れにつながることが確認されています。
このことから、健やかで美しい肌を保つためには少しでもポリューションを防ぐことが大切です。
バリア機能が低いままだと、かゆみや赤みなどのトラブルを起こしやすく、将来的なシミ・シワなどの原因にもなってしまいます。
肌の老化を防止するためにも、アンチポリューションコスメの導入は一つの手段ですね。
4.アンチポリューションコスメの例
アンチポリューションの意義が分かったところで、実際にどんな商品があるのか見てみましょう。
アンチポリューションコスメをご紹介します。
4-1.【化粧水】資生堂 d program アレルバリアミスト N
57mL 1,650円(税込)
「大気汚染物質を寄せ付けないシールド技術」によるアンチポリューション効果。
花粉や紫外線だけでなく、寒暖差のダメージも考慮して作られているd program。
アレルバリアミストは、日中にメイクの上からでも使える便利なオイル配合の化粧水です。
乾燥が気になったとき、顔にスプレーして使います。
4-2.【スプレー】イハダ:花粉等付着抑制スプレー イハダ アレルスクリーン EX
50g/990円 100g/1,760円
特許を取得した「微粒子吸着防止技術」で、花粉やPM2.5、ウイルスが皮膚に付くことを抑制してくれるスプレー。
天然温泉水が配合された、きめ細かいミストが特徴です。
メイク後の肌や髪にも使えるそうです。
5.アンチポリューションのためのスキンケアのポイント
ポリューションから肌を守るためには、洗顔やスキンケアにも守るべきポイントがあります。
アンチポリューションコスメの効果をきちんと得るためにも、適切なスキンケアを行いましょう。
5-1.洗顔
アンチポリューションを実践するためには、洗顔でまず肌についた花粉やアレルゲン、汚染物質などをしっかりと落とすことが基本です。
日々の洗顔から肌を傷めない、正しい方法を心がけましょう。
ごしごしとこすったり、熱いお湯で洗ったりせず、ぬるま湯でしっかりと泡立てた洗顔料を顔に乗せ、優しくなでるように洗うのがポイントです。
5-2.スキンケア
アンチポリューションのための特別なスキンケアがあるわけではなく、正しいスキンケアを身につけ、紫外線対策までしっかり行うことが大切です。
スキンケアの基本的な手順は、
化粧水(水分)→美容液(保湿成分)→乳液(油分)です。
洗顔や入浴後は肌の水分量を守るために、10分以内にスキンケアを行うのもポイントです。
他にも気を付けておきたいスキンケアにポイントは、こちらの「注目のアンチポリューション!大気の汚れに負けないケア方法とは」でも紹介しています。
ぜひ参考にしてください。
まとめ
アンチポリューションコスメを使う上で知っておきたいポイントは以下の通りです。
- 基本的には花粉やPM2.5など肌に悪影響を及ぼす外部刺激から肌を守るための化粧品を指す
- ただし、商品によってそのアンチ効果はまちまちなので、事前に確認すること
- 防ぎたい汚染物質には、PM2.5や紫外線、タバコの煙、ブルーライトなど身近なものが多い
- 適切なスキンケアでなるべく肌のバリア機能を正常に保つことも大切
基本的なスキンケアの使い方をマスターした上で、アンチポリューションコスメを使うことが大切です。
この記事を参考に、ライフスタイルや肌質に合った一品を選んでみてくださいね。
参考:
内閣府大臣官房政府広報室 「「PM2.5」による大気汚染健康に及ぼす影響と日常生活における注意点」
厚生労働省「活性酸素と酸化ストレス」
環境省「黄砂とその健康影響についてP1,4」
環境省「黄砂ってなに?」
環境省「過去の黄砂飛来状況」
日本成人病予防協会「花粉症皮膚炎」
日本医師会 「気になるコトバ「PM2.5」」
ポーラ 「夏の肌荒れを起こす2つの『肌荒大気』を発見」