「敏感肌かも?」と思ったら知っておきたい、肌にやさしいケア方法

敏感肌のスキンケア方法

「私、敏感肌かも?」と思ったことがあっても、「そもそも敏感肌の定義が分からない」という人も多いことでしょう。

一般的に、「敏感肌」とは、皮膚のバリア機能が低下している状態。
その状態を改善するには、適切なスキンケアがとても大切です。

この記事では、「敏感肌かも?」という人や「敏感肌かもしれない」という人に向けて、敏感肌の原因や正しいスキンケア方法をご紹介します。

不安定な肌に悩んでいる人は、「原因に当てはまることがないか?」「改善できるポイントがないか?」をぜひチェックしてみてください


1.「敏感肌」とは

誰もが一度は、「敏感肌」という言葉を聞いたことがあると思います。
でも、敏感肌に明確な定義はありません。

一般的に、化粧品などを塗布したときに、かゆみやヒリヒリ、傷みなどの皮膚刺激を感じやすい肌の状態を「敏感肌」と呼ぶことが多いです。

そんな敏感肌について、この章では詳しく解説します。

1-1.敏感肌とは「肌質」ではなく「肌状態」

敏感肌とは、Berardescaからの定義を引用すると、「明らかな皮膚病変なしに、外界からの要因に対して、皮膚に不利、有害な反応が起こりやすい皮膚のタイプ」と表現され、明らかな皮膚病変がないため、皮膚科医にとって、適当な診断名が下せず、お酒を飲んで赤くなりやすい人となりにくい人のような、正常範囲内での個体差であるとしか考えられていない傾向が少なからずあるように思われる。

引用:日本粧粧品学会誌Vo.29 No.2「皮膚科医から見た敏感肌」より

皮膚科学的には、「普通肌」「脂性肌」「乾燥肌」の3種類です。

「敏感肌」とは実は肌質ではなく、「今、その肌状態になっている」という症状のこと
具体的には、外部刺激や異物から肌を守ってくれるバリア機能が低下した状態のことを「敏感肌」と言います。

だから、改善できるものなのです。

1-2.肌が敏感になる原因

正常な肌と、乾燥してバリア機能が弱った肌の違い
敏感な肌状態になる主な原因は、「バリア機能の低下」です。

敏感な肌状態になる主な原因は、「バリア機能の低下」

上図のように、皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」という3つの層から成り立っていて、一番外側にあるのが「表皮」です。
その表皮を覆っているのが「角質層」。
体内の水分を保持する役割を持っています。

角質層はラップとほぼ同じ0.02㎜という薄さですが、肌内部の水分が蒸発しないようガードしてくれるだけではなく、外部刺激や異物から肌を守ってくれます。

ところが何らかの理由で肌のバリア機能が低下し、水分が外に逃げてしまったとき、肌が乾燥するだけではなく外部からの異物や細菌が侵入しやすくなります。

結果、肌のかゆみやピリピリ感など不快な症状が現れるのです。

バリア機能の低下には、いくつかの原因がありますので、複数の要因がからみあい敏感肌になることもあります。
ここではよくある事例をご紹介します。

間違ったスキンケアによるもの

間違ったケアを継続してしまうことで、敏感肌に傾くことがあります。
たとえば、「摩擦」や「刺激」を肌に与えてしまうこと。

具体的には、洗顔中や水分をふき取る際に肌をゴシゴシこすったり、洗顔時に熱いお湯で顔を洗ったり、強くマッサージやパッティングをしたり、など。
こうした行為を続けてしまうことは、角質層がダメージを受けバリア機能が低下する可能性があります。

間違ったスキンケアはすぐにやめましょう。

アトピー性皮膚炎によるもの

アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。アトピー性皮膚炎では、皮膚の“バリア機能”(外界のさまざまな刺激、乾燥などから体の内部を保護する機能)が低下していることが分かっています。そのため、外から抗原や刺激が入りやすくなっており、これらが免疫細胞と結びつき、アレルギー性の炎症を引き起こします。

引用:国立研究開発法人 国立成育医療センター「アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎の肌は、もともとバリア機能が低下している状態です。
ですから、肌が敏感になるのもやむをえません。

例えば、ダニ、カビ、汗などによって肌が炎症を起こします。
原因に思い当たらない場合は皮膚科医師に相談し、肌状態の安定を目指してみてください。

乾燥によるもの

実験動物を乾燥した環境に置くとその角層のバリア機能も水分保持機能は低下してくる。正常皮膚であっても乾燥の状態に置かれるとバリア機能の低下を起こし、実際、同一人で調べてみると、空気の湿った夏に比し乾燥した冬では角質機能は有意に低下する。

引用:東北大学名誉教授 田上八朗氏「アトピー性皮膚炎と皮膚のバリア機能

バリア機能の低下は乾燥肌につながりますが、逆に、「乾燥」が原因によりバリア機能が低下することがあります

たとえば上記にあるように、「乾燥した空気」による影響です。

ほかには「加齢」もあげられます。
年齢を重ねると角層の脂質が減少するため、自然と乾燥しやすい肌になります。

ですから、乾燥対策を行っていきましょう。

生活習慣の乱れによるもの

生活習慣の乱れは、バリア機能の低下に大きく関係していると言われています。
たとえば、栄養の偏った食生活、睡眠不足、ストレスなどによる免疫力の低下は、特に注意したいポイントです。

思い当たることはぜひ改善してみてください。


2.敏感肌に合ったスキンケア方法とは

敏感肌の大敵は「乾燥」ですから、スキンケアによる「保湿」が非常に重要です。
外側からも保湿してサポートしてあげることで、水分の蒸発が防げるからです。

この章では、スキンケアの基本である「クレンジング」「洗顔」「化粧水・乳液・クリーム」「日焼け止め」「メイク」別に、正しい方法をご紹介します。

肌への負担をなるべく減らし、肌状態を整えていきましょう。

2-1.クレンジングのポイント

スキンケアの中で最も気を付けたいのが「クレンジング」です。
落ちにくいメイクを落とす機能があるので、使うこと自体が肌に負担がかかることも。

肌が不安定な敏感肌には、洗浄力がマイルドなミルク・クリーム・ジェルタイプのクレンジングがおすすめです。
ただし、洗浄力の弱いクレンジングで濃いメイクを落とすとなると、ゴシゴシ洗ってしまう可能性があります。

ですから、マイルドな洗浄力のクレンジングで落とせるメイク料に変更することも、併せてやっておきたいです。

敏感肌向けのクレンジングのポイント

  • 水温は人肌程度(35度前後)にすると、肌に負担が少ない
  • クレンジング料は、1度手のひらに取り、手で温めてから顔全体になじませるとなじみやすい
  • すすぎ洗いの際はゴシゴシこすらず、水の力で落とす
  • 水分は拭き取らず、タオルに水気を含ませるようにおさえる

メイクを落とすときは必ず、人肌程度のぬるま湯(34~36度ぐらい)を使ってください。
なるべく肌に負担をかけないためにも、クレンジングをつけている時間は30〜40秒以内を目安にしてください。
また、強くこすらないよう気をつけましょう。

40度前後のお湯を使うと、肌を守っている皮脂を落としすぎてしまい、一層、肌の乾燥を招いてしまいます。
クレンジング剤が肌に残らないようにしっかりすすぐのも大切なポイントです。

2-2.洗顔のポイント

クレンジングと同様に、洗顔料選びも大切です。
皮脂は肌を守る大切な働きです。
そんな皮脂を落としすぎないように、マイルドな洗顔料をおすすめします。

選び方のポイントは、「洗顔後に肌がつっぱらない」こと。
洗顔後サラサラになるのは、落としすぎの可能性がありますよ

敏感肌向けの洗顔時のポイント

  • 肌がつっぱらない(サラサラしない)洗顔料を使う
  • 水温は人肌程度(35度前後)にすると、肌に負担が少ない
  • 泡立てる洗顔料は、「泡立てネット」で良く泡立てて、泡で顔に触れる
  • 泡立てない洗顔料は、1度手のひらに取り、手で温めてから顔全体になじませるとなじみやすい
  • すすぎ洗いの際はゴシゴシこすらず、水の力で落とす
  • 水分は拭き取らず、タオルに水気を含ませるようにおさえる

泡立てる必要性のある洗顔料の場合、敏感肌の人はよく泡立ててから使いましょう。
うまく泡立てられない場合は、泡立てネットなどを使うことをおすすめします。

手と顔が直接触れて摩擦が起こると、肌に負担になります。
泡立てない洗顔料は、ジェルやクリームタイプだと、肌に摩擦が起こらず安心です。

ですから、敏感肌は肌に触れないような気持ちで洗顔を行うことがおすすめです。

また、洗顔料を顔につけている時間は1分以内になるようにし、クレンジングと同様、ぬるま湯(34~36度ぐらい)で丁寧にすすぎましょう。
すすぎ残しがあると肌荒れや乾燥の原因となるので、特に髪の生え際や小鼻の横、目頭のくぼみなど注意してください。

2-3.保湿のポイント

乾燥対策としての保湿は、「一度塗って、はい終わり」ではありません。

  • 乾燥を感じるたび保湿する
  • 時間が経過したら保湿する

この2点がとても重要です。

「化粧品を塗れば保湿ができる」と思っている人が多いのですが、一度だけ塗るだけでは効果は半減です。
一度と言わず何度でも、「保湿ができるまで塗る」ことが大切なのです

「保湿」とは肌がうるおった状態を保持すること。
ですから敏感肌のケアには、「化粧品選び」よりも、「化粧品をどう使うか」がもっともお伝えしたいポイントです

敏感肌の保湿のポイント

  • 洗顔後は1分以内に保湿を行う
  • 化粧水・乳液・クリームなど塗り重ねる際は、摩擦に気を付けてやさしくなじませる
  • オールインワンジェルは手のひら全体で包むように浸透させると肌に負担がない
  • 日中でも、乾燥を感じるたびに保湿を行う
  • お風呂上りから眠るまでに時間がある場合は、眠る前にも保湿をしておく

化粧水・乳液・クリームを使う場合

化粧水は適量を手のひらにとり、温めてから顔全体にやさしくなじませます。
パチパチと顔にたたきつけるのはNGです。
また、目元や口角など特に乾燥が気になる場所には重ねづけします。

化粧水だけだと水分がすぐ蒸発してしまうので、保湿した後は乳液やクリームをつけてふたをしましょう。
この場合も、手のひらの上で1度温めると肌なじみがよくなります。

化粧水・乳液・クリームを使うときは、書いてある適量をきちんと使うように心がけてくださいね。
もったいないからといって量を少なくしてしまうと、十分に保湿ができないことがあります。

オールインワンジェルを使う場合

ジェルという形状は、肌に摩擦が起こりにくいので敏感肌にはおすすめ。
さらにおすすめするのが、1度手のひらに取り温めてから、顔全体を手のひらで包み込むようにおさえること。

通常の化粧品のようにくるくるマッサージをしたり、なじませたりしなくても、ジェルなら肌に自然と浸透します。
そうしてやさしく肌になじませると、負担なく、カンタンに保湿ができます。

2-4.日焼け止めのポイント

紫外線は、直接的に肌ダメージを与え、シミやシワなどの原因になります。
もともとバリア機能が低下している敏感肌の人は、紫外線そのものが肌への刺激となり、肌トラブルにつながることも。
そのため、日焼け止めによる紫外線対策は敏感肌にとって大切です。

敏感肌向けの日焼け止めのポイント

  • 1年を通して、日焼け止めを使う
  • 紫外線吸収剤フリー(ケミカルフリー)を選ぶ
  • 日焼け止めは3時間を目安に、こまめに塗り直す
  • 帽子や日傘、上着なども併用し、紫外線対策を行う

紫外線環境保護マニュアル2008にも「一般的に冬の紫外線は弱いですが、例えば、雪による反射により2倍近いばく露となります。特に、高い山では注意が必要です。」と記載されています。
日焼け止めは夏の時期だけでなく、一年中使うようにしましょう

また、敏感肌の人は「紫外線吸収剤フリー」の日焼け止めがおすすめ。

日焼け止めに配合されているUVカット成分は「紫外線散乱剤」と「紫外線吸収剤」があり、紫外線吸収剤は紫外線を吸収する一方、紫外線散乱剤は紫外線を反射させます。
紫外線吸収剤は紫外線を熱転換するため、敏感肌にとっては刺激が強すぎるかもしれません

日焼け止めは数時間経つと効果がなくなるので、こまめに塗り直す、帽子や日傘で対策するのもお忘れなく。

※関連記事:
あなたの肌に合った紫外線吸収剤不使用の日焼け止めを見つける方法
日焼け止めで赤くなる敏感肌向け・合わない理由と選び方5つの条件

2-5.メイク料のポイント

「敏感肌だからメイクができない」と悩んでいる人もいるかもしれません。
肌が荒れていたり、化粧品で刺激があったりすると、メイクはしない方がいいのでは?と思ってしまいますよね。

しかし、メイクは肌トラブルをカバーしてくれるだけではなく、紫外線、ブルーライト、大気汚染、そして花粉などの外的刺激から肌を守ってくれる可能性もあります。
また、保湿効果の高い化粧品は乾燥も防いでくれますよ。

メイク料を選ぶときに心がけたいのが、肌にやさしい成分のものを選ぶこと。
合成着色料や香料など、余計な成分が配合されていない化粧品がおすすめ。
「パッチテスト済み」「アレルギーテスト済み」と表記があるものは、比較的、敏感肌の人にも配慮して作られています

敏感肌の人は肌がカサついている状態なので、しっかり保湿をして肌を整えてからメイクをしてくださいね。


3.症状が治まらない場合は皮膚科に相談してみよう

皮膚のバリアが低下する原因や症状は、人によって異なります。
適切なスキンケアや生活習慣の見直しをしても肌トラブルが収まらない場合、皮膚科に相談してみましょう

皮膚のかゆみは、皮膚の病気だけでなく、内科の病気、例えば糖尿病や腎臓病のような病気の症状として認められることがあります。そのため皮膚に異常がなくても検査など行った方がよい場合もあります。

受診の目安

お早めのタイミングでお近くのクリニックに受診して下さい。

  •  皮膚がカサカサ、赤みがある、ヒリヒリしたり痛みがある
  •  掻いたことで出血、浸出液がでている
  •  赤く膨らむ発疹が体の一部にみられる
  •  かゆみがしばらく続く
  •  昔、アトピー性皮膚炎で治療していた

引用:CLINIC FOR「皮膚の痒み

自分では気づいていないアレルギーや、内臓疾患の可能性もあります。
私の経験でも、「ただのニキビ」だと思っていたことが、実は婦人科の病気だったということもありました。

症状が治まらないようであれば、皮膚科で相談することをおすすめします。

受診の際、どのような症状がいつからあるのかなどをメモし、患部を写真で撮っておくと問診もスムーズですよ。


まとめ

正しくスキンケアをすることで乾燥を防ぎ、敏感になりがちな肌を守ることができます。
以下のポイントを覚えておくと、安心です。

  • 肌に負担のかからないスキンケア方法を心がける
  • 保湿をこまめにすることを徹底し、乾燥状態を避ける
  • 改善しない場合は皮膚科で相談する

同時に生活習慣を見直すことで、内側から敏感肌を改善できる可能性が高まります。
敏感肌かどうかわからないという人も、ぜひこの記事を参考にして、肌状態の安定を目指しましょう。