スキンケアをしているのに「肌にうるおいが足りない」と感じたら、肌が乾燥している可能性があります。
乾燥肌とは、肌の水分や皮脂が不足し乾燥している状態をいい、「ドライスキン」とも呼ばれます。
皮膚の一番外側にある「角質層(角層)」という部分は、体内にある水分の蒸発防止と外部からの有害物質の侵入を防止するバリア機能を持っています。
このバリア機能が低下することで水分が体外に出やすくなり、肌が乾燥してしまうのです。
乾燥肌は、肌のツッパリやかさつき、粉ふきといった症状がみられます。
さらなる乾燥を防ぐために、スキンケア方法とケア製品の見直しをしてみましょう。
この記事では、乾燥肌になる原因や対処法などの基本的なことをご紹介します。
「あれ、乾燥肌?」と思ったら、ぜひ読んでみてください。
1.乾燥肌になる原因
乾燥肌になる原因として、下記のような内容が考えられます。
1-1.空気の乾燥
気温が下がる秋から冬頃は、空気が乾いています。
また、冷暖房を使用すると室内の空気は乾燥していきます。
このような環境の中で長時間過ごすと、肌から水分が奪われ、乾燥の原因になることがあります。
1-2.紫外線
角質層が紫外線によるダメージを受けると、バリア機能は低下し、外部刺激にも弱くなってしまいます。
環境省の「紫外線環境マニュアル2020」では、長年日光を浴び続けると「皮膚のシミ、しわ、ときには良性、悪性の腫瘍が現れてくる」と、肌へのダメージが蓄積されることを示唆しています。
1-3.ストレスや生活習慣の乱れ
ストレスや生活習慣の乱れなどは、皮膚のターンオーバーサイクルに影響を及ぼす場合があります。
ターンオーバーがうまく行われないと、古い角質細胞が肌に留まり乾燥が進みます。
1-4.誤ったスキンケアや入浴方法
洗い過ぎやこすり過ぎは、必要な皮脂やNMFまで洗い流し、摩擦によって角層を傷つけてしまうため、バリア機能が低下する場合があります。
角層に含まれるNMFの量が減少すると、角層保湿機能が低下し、乾燥肌になりやすい。
実際に、冬季の乾燥肌、老人性乾皮症、アトピー性乾皮症などにおいて角層中のアミノ酸含量が低下し、角層水分量が低下することが報告されている。引用:日本化粧品技術者協会「天然保湿因子(NMF)」
また、推奨使用量よりも少ない量でスキンケアを行うことも、肌にダメージを与えたり、十分な効果が得られなかったりするでしょう。
1-5.加齢
年齢を重ねるにつれて、天然保湿因子(皮膚に元から備わっている保湿成分)や皮脂は減少していきます。
これにより、肌のバリア機能が低下し、外部刺激も受けやすくなります。
2.乾燥肌のスキンケア方法
乾燥肌を緩和・予防するためには、日々の適切なスキンケアが大切です。
スキンケア製品は、記載された使用量を守り正しい使い方をしましょう。
2-1.クレンジング
石鹸や洗顔料のみで落とせる化粧品もありますが、そうではないものはクレンジングが必要です。
クレンジングの際、強くこすると肌に摩擦が起こり刺激を与えてしまいます。
クレンジング剤を優しく丁寧になじませてください。
また、クレンジングは時間をかけ過ぎず、1~2分程度を目安に行いましょう。
なお、落としにくいアイメイクやリップメイクは、ポイントメイク専用のクレンジング剤の使用をおすすめします。
コットンに専用のクレンジング剤をたっぷりしみ込ませて、目・口元にのせ、ゆっくりふき取りましょう。
2-2.洗顔
洗顔をする前に手を洗って、手についた汚れや油分を落としておきます。
洗顔料はしっかりと泡立てて、できるだけ弾力のあるキメ細かい泡を作りましょう。
泡立てが苦手な方は、泡立てネットや泡で出てくるタイプの洗顔料を利用してみてくださいね。
洗顔をするときは、指の腹でクルクルと円を描くようにやさしく洗っていきます。
特に、目元は皮脂分泌が少なく、まぶたの皮膚も薄いため、刺激を与えないよう注意して洗いましょう。
すすぎはぬるま湯で行い、すすぎ残しがないよう丁寧に洗い流してください。
そのあと、清潔なタオルをそっと顔に押し当てるようにして水分を取ります。
2-3.保湿
洗顔後は、速やかに保湿ケアをしましょう。
保湿ケアをするときは、肌をこすったり叩いたりせず、優しくなじませてください。
基本的には最初に、化粧水で肌に水分を与えたあと、乳液で油分を補います。
特に乾燥が気になる部分には、クリームを重ねて塗るのがおすすめです。
これらのスキンケア製品の基本的な使用順番は、下記のとおりです。
化粧水
↓
美容液
↓
乳液
↓
クリーム
2-4.紫外線対策
紫外線による刺激から肌を守ることも重要です。
帽子をかぶったり長袖の服を着たりするなど、できる限り紫外線を避けるようにしましょう。
日常生活であれば、日焼け止めのほかにSPF・PA表示のある日中用乳液やクリームなどを利用するのもOKです。
2-5.入浴方法
体の乾燥が気になる場合、入浴時のお湯の温度は40度以下にするのがおすすめです。
熱いお湯にすると、必要以上の皮脂を落としてしまうため、より肌が乾燥しやすくなります。
湯舟に浸かるのは10分程度を目安にしましょう。
体を洗うときは、ナイロン製のタオルは避け、柔らかい素材のボディタオルを使用するか、手のひらでなでるように洗うと、肌への負担が少なく済みます。
入浴後は、肌の水分が急速に失われていくため、早めにボディローションやボディミルクなどで保湿をしてください。
乾燥が気になる部分から先にケアするのがポイントです。
3.乾燥肌のスキンケア製品の選び方
乾燥肌対策として市販のスキンケア製品を選ぶ際は、下記のポイントを参考に、自分の肌に合うものを選びましょう。
保湿効果が高い
ヒアルロン酸やセラミド、アミノ酸など、保湿力に優れ、肌のバリア機能をサポートする成分が配合された製品で、肌にうるおいを与えましょう。
肌への刺激が少ない
乾燥肌は、皮膚の抵抗力が弱まっている状態なので、なるべく低刺激性の製品を選んでください。
洗浄力の強い洗顔料や石けんなどは避け、クレンジング剤もダブル洗顔不要のものがおすすめです。
アルコール成分が含まれたスキンケア製品は、乾燥が悪化したり刺激を感じる場合があるため、乾燥肌には注意が必要です。
サンプルやトライアルセットで確認
初めて購入するスキンケア製品は、自分の肌に合わない場合があるかもしれません。
可能であれば、サンプルやトライアルセットで事前にパッチテストを行い、肌に合うかどうかを確認すると安心です。
まとめ
乾燥肌のスキンケアは、やさしく丁寧に行うことが大切です。
きちんとスキンケアをしているのになかなか改善しない場合や、乾燥がひどくなったりかゆみが現れたりした場合は、なるべく早めに皮膚科を受診し適切な治療を受けましょう。
参考:
化粧品講座「皮膚科学と化粧品」
日本香粧品学会誌「保湿化粧品とその作用」
maruho 「皮脂欠乏症(乾皮症)のおはなし」