乾燥肌の原因には、加齢や紫外線、間違ったスキンケアなどが挙げられますが、実は「季節性」の要素もあります。
健やかな肌をキープするには、季節による乾燥肌の違いや対策方法を知っておくことが大切です。
乾燥肌は、肌の水分と皮脂が少なくなっている状態のことで、以下のような症状が見られます。
- 肌がカサカサする
- 洗顔後に顔がつっぱる
- ファンデーションが浮く
- ひび割れや粉吹き、かゆみがある など
マイボイスコム株式会社の「肌の乾燥対策に関するアンケート調査(第4回)」によると、乾燥肌の自覚がある人は男性で約6割弱、女性で約9割弱となっています。
また、乾燥を感じる部位としては唇や手、足の裏、口まわりなどが多く、特に10~40代の女性では唇と口まわりの乾燥に悩む人が多く見られました。
そこでこの記事では、季節ごとに起きる乾燥肌の原因やケア方法、気を付けたいポイントを紹介します。
乾燥肌を正しくケアしてうるおう肌を手に入れたい人は、ぜひ参考にしてください。
1.季節ごとに起きる乾燥肌の原因
乾燥肌の原因には1年を通して共通のものだけでなく、季節性の原因もあります。
季節による乾燥肌の違いを知らず、やみくもにケアしていても、なかなか思うように改善できないことも。
そこで次に、季節ごとに起こる乾燥肌の原因について紹介します。
すでに乾燥肌ケアをしている人でも、季節による違いを知っておくとポイントを押さえたケアができるのでおすすめです。
1-1.春の乾燥肌
季節の変わり目である春は、乾燥肌をはじめとする肌トラブルが起こりやすい時期です。
乾燥しがちな冬が終わったからといって、保湿ケアの手を抜いてはいけません。
春に起こりやすい、乾燥肌の原因は以下の通り。
- 日中と夜の寒暖差
- 日々コロコロ変わる気温と湿度
- 徐々に強くなる紫外線
- 花粉などによるアレルギー
- 環境の変化によるストレス
「三寒四温」という言葉があるように、春先は気温や湿度の変化が激しい時期です。
日中と夜の寒暖差も大きいため、急激な変化に肌がついていけず、皮脂と水分量のバランスが崩れがちに。
日々変化する天候や気温に、どんなスキンケアをすべきか迷ってしまう人もおられるかもしれません。
また、春は紫外線量もどんどん増える時期。
夏ほど強くないとはいえ、外出や肌の露出が増えると肌は大きなダメージを受けてしまいます。
意外にも、春の紫外線は強いですから、ご注意ください。
さらに、スギやヒノキなどの花粉によるアレルギー症状も乾燥肌に影響を与えます。
頻繁に鼻をかんだり目をこすったりすると肌荒れにつながりますし、花粉自体が刺激となり乾燥肌を引き起こすこともあります。
このほか、進学や就職、転勤、引っ越しなど環境変化によるストレスも、自律神経が乱れる原因となるため、肌状態に影響を与えると考えられます。
1-2.夏の乾燥肌
夏は汗や皮脂などでべたつくイメージが強いですが、他の季節と同様に乾燥肌にも注意が必要です。
夏の乾燥肌の原因で多いものは以下の5つです。
- 強い紫外線
- 大量の汗
- エアコンによる冷えと乾燥
- さっぱりスキンケア
- 夏バテによる栄養不足
紫外線は年中降り注ぎますが、6~8月は特に多い時期。
紫外線を多量に浴びるとバリア機能の低下を招くため、日焼けやシミ・ソバカスだけでなく、乾燥肌の原因にもなります。
夏場は肌の露出も増えるため、きちんとケアしないと他の季節よりも深刻なダメージを受けることも。
ここも気を付けておきたいポイントです。
また、大量の汗をかくと必要な皮脂まで流出してしまいますし、汗を拭うときに物理的刺激も与えるため、乾燥肌につながります。
そして、暑いから、汗をかいたからといって乳液やクリームなしのさっぱりスキンケアばかりを続けると、肌は油分不足になりどんどん乾燥していくでしょう。
加えて、エアコンの効いた部屋で長時間過ごす、夏バテで栄養バランスが偏るといった夏特有の生活習慣も、乾燥肌をはじめとする肌トラブルを招くので注意が必要です。
1-3.秋の乾燥肌
秋は過ごしやすい季節である一方、以下の理由から乾燥肌が深刻化する可能性があります。
- 夏の紫外線ダメージの影響
- 激しい寒暖差
- 低下し始める湿度
- 気温の低下による血行不良
暑い夏を過ごし紫外線を大量に浴びた肌は、大きなダメージを受けています。
ターンオーバーが乱れがちになるため、シミやソバカス、くすみ、バリア機能の低下による乾燥肌など、さまざまな肌トラブルが起こることに。
また、日中と夜の寒暖差が大きくなり湿度も低下し始めるため、環境の変化に肌がついていけず水分と油分のバランスが崩れることもあります。
過ごしやすい時期だからとスキンケアを怠ったり、夏用のスキンケアをそのまま続けたりしていると、肌はあっという間に乾燥してしまうでしょう。
さらに、寒くなって血行が悪くなると皮脂や汗の分泌が減少するため、気温の低下そのものも乾燥肌の原因になります。
秋の乾燥肌を防ぐには、気温や湿度の変化に気を付けながら丁寧に保湿をすること、寒暖差による血行不良やストレスを和らげるために生活習慣を見直すことが大切です。
1-4.冬の乾燥肌
冬は1年の中でも特に乾燥しやすい時期。
普段は問題なくても、冬だけは乾燥が気になるという人もよく聞きます。
冬に肌が乾燥する主な原因は、以下の3つが代表的です。
- 気温と湿度の低下
- 暖房による影響
- 体の冷え
冬は気温も湿度も低下するため、必然的に空気中の水分量が少なくなります。
その分相対的に肌の周りだけ湿度が高くなるため、水分蒸散が進み乾燥を感じやすくなるのです。
また、冬の乾燥肌には暖房も大きく関係しています。
加湿をせずに部屋を暖めると、もともと低かった湿度はさらに低下し肌の水分はどんどん奪われていくでしょう。
暖房器具で部屋を暖めるときは、加湿器を使う、濡れタオルを干すなどして湿度の低下を防ぎましょう。
湿度を保つことは、肌だけでなく風邪や感染症予防の観点からも大切です。
さらに、気温の低下による体の冷えも乾燥肌を招きます。
血行不良により栄養分が行き渡らず老廃物が溜まると、肌本来の保湿機能が低下してしまうのです。
冬場は肌にとって過酷な環境です。
化粧品だけではなく、部屋の湿度コントロールや生活習慣の見直しも心がけましょう。
2.季節を問わない乾燥肌を防ぐ正しいスキンケア方法
季節性が要因の乾燥肌には、まずは基本的なスキンケアを丁寧に行うことが大切です。
ただ、どこかで聞いた情報をもとに自己流でケアしていると、なかなか改善できないばかりか、かえって悪化することもあるかもしれません。
それぐらいネット上には様々な情報があふれていますので、ご注意いただきたいです。
そこでこの章では、季節を問わない乾燥肌を防ぐスキンケア方法を以下の3つに分けてご紹介します。
- クレンジング・洗顔
- 保湿
- ボディケア
スキンケアに迷っている人や乾燥肌に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
2-1.クレンジング・洗顔
クレンジングと洗顔は、肌の汚れや古い角質、汗などを落とすために欠かせないステップです。
しかし、洗浄のしすぎや物理的刺激は乾燥肌を悪化させてしまうため、ただ洗えば良いというわけではありません。
クレンジングは、オイルやクリーム、ジェル、シートタイプなどさまざまな種類がありますが、メイクや肌の状態、ライフスタイルに合わせたものを選ぶことが大切です。
たとえば、洗浄力が強い濡れても使えるオイルタイプは、しっかりメイクの人や素早くクレンジングを済ませたい人におすすめ。
ジェルやクリームタイプは、洗浄力はマイルドですがしっとりした洗いあがりになるため、比較的、乾燥が気になる人に向いています。
また、シートタイプはお風呂や洗面所以外でも使える手軽さが魅力ですが、摩擦による刺激を与えるため、使用頻度には注意が必要です。
洗顔においては、きちんと泡立ててなるべく優しく洗うのがコツ。
汚れを落とそうとゴシゴシこすったり、熱いお湯で洗い流すと、乾燥肌の原因になるため、注意しましょう。
なお、頻繁に洗顔をすることも肌には負担となるため、1日2回までにとどめてください。
それでも乾燥が気になる場合は、朝は洗顔料を使わずに洗うのもおすすめです。
2-2.保湿
クレンジングと洗顔を行ったら、季節を問わず保湿をしましょう。
保湿の基本は以下の3ステップ。
- 化粧水:肌に水分を与える
- 乳液:肌に保湿成分を与える
- クリーム:水分蒸散を抑える
化粧水は、コットンまたは手のひらで優しく肌になじませます。
叩き込むようにパッティングするのは、刺激になるため控えましょう。
目元や口回りなど、細かい部分まで丁寧に塗るのがベストです。
化粧水の後は、乳液やクリームを重ねます。
夏場はべたつきやてかりが気になるからといって、化粧水だけ使う人もいるかもしれませんが、それだけではすぐに水分が蒸発してしまいます。
どうしても油分が気になるときは、塗る量を調節する、さっぱりタイプの乳液を使うなどの工夫をしましょう。
なお、時短重視の人や塗布時の刺激が気になる人はオールインワンタイプもおすすめです。
塗りこまなくてもすっと浸透するのも魅力です。
2-3.ボディケア
ボディの場合も基本的には顔と同じで、肌を清潔に保つこと、丁寧に保湿をすることが大切です。
ケアのタイミングは入浴時やそのあとがおすすめ。
ボディソープで体を洗うときは、顔と同様に、よく泡立ててゴシゴシこすらず優しく洗い流しましょう。
皮脂腺が多い胸部や背中は、他の部位よりも丁寧に。
かかとやひざなど角質が厚い部位は、スクラブやピーリングをするのもおすすめです。
ただし、やりすぎは乾燥肌の原因になるため、多くても週1~2回程度にとどめましょう。
そして、入浴後は肌が柔らかくなってうるおいが逃げやすい状態になっています。
効率良く保湿をするためには、入浴後なるべく早く、遅くても10分以内にボディクリームやジェルを塗りましょう。
乾燥がひどい場合は、通常の保湿ケアに加え、ラップパックやマッサージなどのスペシャルケアもおすすめです。
3.日頃から気を付けたいポイント
化粧水や乳液などによるスキンケアは、あくまで補助的なものであるため、より健やかな肌を目指すのであれば、外部環境や生活習慣も意識することが大切です。
この章では、スキンケアの他に日頃から気を付けたいポイントとして、以下の5点を説明します。
- 一年中、紫外線対策をする
- 入浴習慣を見直す
- 冬は加湿器を使う
- 生活習慣を改善する
- 水分補給を心がける
3-1.一年中、紫外線対策をする
紫外線というと、
- 日焼けやシミ、ソバカスの原因になる
- 夏だけケアすれば良い
と思われがちですが、実は乾燥肌にも大きく関係しています。
というのも、紫外線を大量に浴びると肌のバリア機能が低下し、どんどん水分が蒸発してしまうからです。
乾燥がひどくなると、皮むけやごわつきなどの肌トラブルに発展することも。
また、紫外線は日差しの強い季節だけでなく、1年中降り注いでいます。
夏場やレジャー時はもちろん、秋冬の時期や日常生活でもしっかりと紫外線対策をしましょう。
具体的な方法は以下の通り。
- こまめに日焼け止めを塗る
- UVカット効果のあるベースメイクを使う
- 日傘や帽子を着用する
- 日差しを浴びた日は念入りに保湿する
紫外線対策は、乾燥肌だけでなくシミやシワ、たるみなどさまざまな肌トラブルの予防に役立ちます。
日差しが弱い季節や曇りの日でも油断せずに、日頃からケアしましょう。
3-2.入浴習慣を見直す
体の汚れを落としリラックスをもたらす入浴ですが、肌にとっては負担になる場合もあるため注意しましょう。
たとえば、
- 温度の高いシャワーを浴びる
- 長時間入浴する
- ナイロンタオルで体をゴシゴシこする
- アカスリをひんぱんに行う
- 入浴後に保湿をしない
上記の習慣は、乾燥しやすい肌の人には乾燥肌が常態化する原因になりえます。
乾燥肌対策を重視するのであれば、お風呂の温度は少しぬるめの38~40℃、入浴時間は15~20分程度にしましょう。
体を洗うときは、乾燥肌向けのボティソープを使い、柔らかい素材のボディタオルで優しくマッサージしてください。
また、ぬるめのお湯であっても入浴中は水分を消費するため、入浴前にコップ一杯の水を飲んで水分補給をするのがおすすめ。
毎日の入浴習慣を見直すことで、顔だけでなく全身の乾燥肌対策になるでしょう。
3-3.冬は加湿器を使う
前述したように、冬場は気温も湿度も低下するため、どうしても肌の水分が蒸発しやすくなります。
また、暖房器具を使うことにより、肌はますます乾燥してしまいます。
そのため、乾燥肌対策をしたいなら、加湿器を使って部屋の湿度をコントロールしましょう。
加湿器には、
- 気化式
- スチーム式
- 超音波式
- ハイブリット式
などの種類があります。
種類によって加湿力や消費電力、衛生面に違いがあるため、目的や家族構成(子供、ペットの有無)などに合わせて自分に合うものを選びましょう。
たとえば、加湿パワー重視ならスチーム式、省エネや安全性重視なら気化式や超音波式が向いています。
なお、加湿器は部屋の広さに応じたものを選ぶことも重要です。
「適用床面積」が使用する部屋よりも大幅に小さければ、優れた機能を持っている加湿器でも、十分な効果を発揮できません。
新たに加湿器を購入する場合は、必ず「適用床面積」を確認しましょう。
また、加湿器の使用が難しい場合でも、濡れタオルを干したり霧吹きで水を吹きかけたり、床や窓を水拭きすることで、加湿効果が期待できます。
3-4.生活習慣を改善する
乾燥肌をはじめ、さまざまな肌トラブルを予防するためには、生活習慣の見直しも欠かせません。
具体的には、以下の点に注意しましょう。
- 規則正しい生活リズム
- 質の良い睡眠
- バランスの良い食事
- 適度な運動
睡眠不足は、肌のターンオーバーを乱し乾燥肌を悪化させるため、6時間程度はきちんと睡眠をとるのがいいとされています。
ただし、「長時間睡眠=質の良い睡眠」というわけではありません。
寝る前にスマートフォンを長時間見る、休みの日に「寝溜め」するといった習慣は、睡眠リズムの乱れにつながるため控えてください。
また、食事においてはジャンクフードやお菓子は控え目に、体や肌のもとになるタンパク質やビタミン、食物繊維を積極的に摂りましょう。
乾燥肌対策には、特にビタミンA、B、C、E、ミネラルなどを多く含む食品がおすすめです。
3-5.水分補給を心がける
私たち人間の体は半分以上が水分でできていますが、水分不足になると乾燥肌も加速するため、日頃からこまめな水分補給を心がけましょう。
水分補給をすることで、血流が良くなり酸素や栄養分が肌細胞に行き届きやすくなります。
また、肌荒れの原因である便秘の解消にも役立つでしょう。
飲む量の目安としては、1日に1.5~2リットル。
1度にたくさん飲んでも尿として排出されてしまうため、少量をこまめに飲むのがポイントです。
なお、コーヒーや紅茶などカフェインを多く含む飲み物は、利用作用があるため水分補給としてはあまりおすすめできません。
ジュースやみそ汁など糖分や塩分を多く含む飲み物も、むくみの原因になるため過剰摂取には注意が必要です。
水分補給をするなら、ミネラルウォーターや麦茶、炭酸水などを積極的に飲みましょう。
常温または温かい状態で飲むと、体が冷えないのでよりおすすめです。
まとめ
乾燥肌の原因には、加齢やストレス、生活習慣によるターンオーバーの乱れなどが挙げられますが、中には季節性のものもあります。
たとえば、春なら花粉や環境の変化、冬なら湿度の低下や体の冷えなどが関係しています。
乾燥肌を改善するには、季節や肌状態に合わせたケアが必要ですが、まずは基本となる正しい対策方法を知ることが大切です。
洗顔やクレンジング、保湿といったスキンケアはもちろん、
- 1年を通した紫外線対策
- 肌に負担をかけない入浴習慣
- 部屋の湿度コントロール
- 食事や睡眠習慣の見直し
- こまめな水分補給
など、生活習慣についても日頃から気を付けましょうね。