紫外線は、肌に大きな影響をもたらします。
肌にシミやシワをつくり、皮膚がんまで引き起こす恐ろしい紫外線。
肌が老化する原因の80%は、紫外線による「光老化」だと言われています。
できれば、肌を老化させる紫外線なんて浴びたくありません。
でも、私たちが日常生活を送る上で、紫外線を避けることはできません。
一歩外に出れば否応なしに紫外線は肌に降り注いできます。
だからこそ、紫外線と肌の関係を正しく知る必要があります。
知ることで、あなたの肌を守る紫外線対策が行えます。
あなたがいつまでも若々しい肌を保つために、この記事の内容をぜひ活かしてください。
1.紫外線の肌への影響
紫外線は、肌に以下の4つの影響を与えます。
- 肌のバリア機能低下
- シミ・シワの増加
- 老化
- DNAの損傷
詳しく見ていきましょう。
1-1.紫外線による肌のバリア機能の低下
肌には、水分の蒸発や外界からの刺激物・微生物などが肌に侵入するのを防ぐ働きがあります。
この肌を守る働きを「バリア機能」といいます。
バリア機能は、「皮脂膜」と「角質」によって維持されています。
紫外線は、肌のバリア機能に欠かせない皮脂膜を酸化させます。
紫外線による酸化によって皮脂膜を失った肌は、バリア機能が著しく低下。
バリア機能が低下すると、水分の保持力、水分の蒸散量が増えて、「乾燥肌」になります。
乾燥した肌状態は、肌荒れを引き起こす要因となるのです。
参考:株)資生堂スキンケア研究開発セン ター研究員・岩井一郎氏「化粧品領域にお ける活性酸素研究」
1-2.紫外線による肌のシミが増加
肌は紫外線から身を守るために、メラニンを生成します。
メラニンは、紫外線のダメージが肌の奥深くに届かないように、肌を守る役割があります。
メラニンが生成されると肌の色が黒くなります。
紫外線を浴びて、日焼けをすると肌が黒くなるのは、メラニンが原因です。
ただ、過剰に紫外線を浴びて、メラニンが大量に生成されると、シミなどの色素沈着が起きます。
通常、シミのできた肌は、ターンオーバーの周期によって、体外に排出されます。
でも、ターンオーバーの周期の乱れ、メラニンが生成される肌の奥深い部分に紫外線が届くと、長期間、シミが残ることがあります。
参考:環境省「紫外線 紫外線環境保健マニュアル2015」
1-3.紫外線による肌の老化(光老化)
肌の老化には、2つあります。
- 自然老化:
歳をとることで、誰にでも起こる老化 - 光老化:
紫外線の影響によって起こる老化
光老化は、紫外線の強さと紫外線を浴びた時間に比例して起こります。
そのため、強い紫外線を長時間浴びると、シミ・シワなどの老化現象が起こりやすくなります。
シミやシワなどの老化現象の80%は、紫外線による「光老化」とされています。
シワの中でも深いシワは、光老化が原因とされています。
普段、紫外線を避けていても、たまに強い日焼けをすることで光老化が進行します。
一瞬の油断が命取りに。
参考:日本香粧品学会誌Vol. 41, No. 3, pp. 244–245(2017)「紫外線によるシミ・シワ(光老化: ひかりろうか)を防ぐために知っておくべきこと」
1-4.紫外線によるDNAの損傷
皮膚がんの最大の原因は、紫外線です。
紫外線を浴びると、まず肌が赤くなりますよね。
肌が赤くなる現象をサンバーンといいます。
サンバーンは、DNAについた傷が引き金となって生じます。
つまり、肌が赤くなるということは、DNAに傷がついている証拠です。
傷つくことで、DNAが変異を起こし、皮膚がんが発症します。
皮膚がんは、紫外線が原因のため、頻繁に日焼けする部位にできます。
だから、皮膚がんの多くできる部位は、「顔」です。
参考:がん情報サービス「がん登録・統計」
近年は、オゾン層の破壊によって、紫外線のダメージが年々強くなっています。
男女問わず、すべての年代で皮膚がんの羅患率が増えています。
参考:環境省「オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」
2.紫外線による光老化から肌を守る対策
紫外線から肌を守って光老化を防ぐには2つのポイントがあります。
光老化から肌を守る2つのポイント
- UVインデックスを参考に強い紫外線を避ける
- 複数の紫外線対策を組み合わせる
以上を、「UVインデックス」を参考にして行います。
2-1.UVインデックスを参考にして、紫外線が強い時間帯の外出は避けましょう
出かける際に、「UVインデックス」を参考にしましょう。
UVインデックスとは、紫外線が人体に及ぼす影響の度合いをわかりやすく示すために、紫外線の強さを指標化したものです。
できるなら「6」以上は、外出を避けたほうが良いでしょう。
あなたがお住まいの地域のUVインデックスは、気象庁のサイト「気象庁 紫外線情報(分布図)」で見ることができます。
特に、どの地域も夏の午前11時~午後4時は、UVインデックスが高く紫外線が強いので、外出の際は、この時間帯をはずしましょう。
2-2.外出時は、紫外線から肌を守る日焼け対策を万全に
UVインデックスが「3」以上なら、日焼け対策が必要です。
最低でも、日焼け止めは塗ってください。
「ベースメイクやルースパウダーを塗っているから大丈夫」と安心している人がいますが、使い方によってはそれほど紫外線をカットする効果はありません。
UVインデックスが6以上なら、日焼け止めに以下のような紫外線対策グッズを組み合わせてください。
- 紫外線カット効果が高いサングラス
- 長袖の服
- 長ズボン
- つばの広い帽子、
- 日傘
- アームカバー
など
複数の紫外線対策を組み合わせて、紫外線から肌を守りましょう。
3.紫外線から肌を守る対策グッズの選び方
紫外線から肌を守るには、紫外線対策グッズの選び方も大切です。
特に選び方によって紫外線カット効果が変わるのは、
- 日焼け止め
- アームカバー
- 日傘
以上の3つです。
詳しく見ていきましょう。
3-1.日焼け止めの選び方
日常生活で浴びる紫外線なら、「SPF15~30、PA+~++」で十分です。
海や山に行く場合は、「SPF30以上、PA++以上」の日焼け止めを使いましょう。
山は1000mにつき、10~12%紫外線が強くなります。
新雪が積もった山は、照り返しが80%の紫外線量。
海は、水深50㎝で地表の40%の紫外線量。
砂浜の照り返しは、25%の紫外線量になります。
海は山と比べると、紫外線の強さはマシですが、日陰も少なく、肌を露出した状態で直射日光を浴びます。
また、海に入ることで日焼け止めが流れてしまい紫外線カット効果が著しく弱くなります。
そのため、日常使いより、高い紫外線カット効果のある日焼け止めを使いましょう。
参考:環境省「紫外線 紫外線環境保健マニュアル2015」
3-2.日焼け止めの使い方
紫外線から肌を守る日焼け止めですが、正しい使い方をしないと意味がありません。
「日焼け止めを使っているのに、肌が赤くなった」というのは、日焼け止めの使い方を間違っているからです。
日焼け止めには、正しい塗り方と適切な塗り直しが必要です。
3-2-1.日焼け止めは、伸ばしすぎない
日焼け止めを肌に塗る際には、あまり伸ばしすぎないようにしましょう。
伸ばせば伸ばすほど、紫外線カット効果が失われます。
特に、敏感肌に好んで使用される「紫外線散乱剤」が配合された日焼け止めを塗ると、肌が白くなります。
それを嫌って、白さがなくなるまで伸ばす人がいますが、伸ばすと効果が薄れるので厳禁。
少し白さが気になる程度が、紫外線から肌を守っている目安です。
3-2-2.日焼け止めは、適切に塗り直す
日焼け止めを一度塗って、そのままにしてる人がいます。
どこで誤解が生まれたのか分かりませんが、「SPF1」につき紫外線カット効果が「15分」というデマが信じられています。
例えば、SPF50だと、50×15分=750分。
つまり、12時間30分も紫外線効果が持続するといった具合です。
これは、大きな間違いです。
SPFと紫外線カット効果が持続する時間は無関係です。
SPF20も50も紫外線から肌を守る時間は同じです。
およそ3~4時間です。
汗をかいたり、泳いだりすると、日焼け止めの持続時間は、さらに短くなります。
だから、日焼け止めは、日常使いで3~4時間、汗をかいたり、泳ぐなら、1~2時間を目安に塗り直しましょう。
3-3.アームカバーの選び方
アームカバーは、しっかりと紫外線をカットできるものを選びましょう。
使用する季節が夏なので、薄いアームカバーを好む人がいますが、紫外線カット効果が弱くなります。
そのため、ある程度厚みのあるアームカバーを選びましょう。
最近は、冷感素材のアームカバーもあるので、暑い夏にはおすすめです。
また、指先まで隠れるものを選びましょう。
指先にも紫外線が降り注いでいます。
指先の空いたアームカバーだと、紫外線のダメージをもろに受けてしまい、シワやくすみなどの原因に。
しっかりと指先を覆うタイプのアームカバーを選びましょう。
3-4.日傘の選び方
日傘を選ぶ際は、紫外線カット効果はもちろん、携帯性も重視しましょう。
以下のように、いつでも簡単に持ち運べて、すぐに使える日傘がおすすめです。
- 紫外線カット率100%
- 遮光率100%
- 折りたたみ
- 軽量
- 小さい
日傘は、常にカバンに携帯して、すぐに使えるようにしましょう。
4.紫外線から肌を守るために知っておくべき注意点
ここからは、紫外線と肌に関して、よくいただく質問にお答えします。
Q1.曇りの日も紫外線対策をする必要がありますか?
A.はい、あります。曇りの日でも、紫外線は降り注いでいます。
雲によって遮られる紫外線は、わずか20%です。
残りの80%は地表まで届いているので、しっかりと紫外線対策を行いましょう。
Q2.日陰にいれば、紫外線対策をしなくてもいいのではないでしょうか?
A.いいえ、必要です。
日陰にいると直射日光を避けることができて、涼しく感じます。
そのため、それほど紫外線のダメージが気になりません。
でも、涼しくても紫外線は降り注いでいます。
私たちが太陽の光から感じる熱の正体は赤外線です。
一方、紫外線は熱を感じさせません。
そのため、熱を感じていなくても紫外線によって日焼けしてしまうことがあります。
また、直射日光を避けられても、地面や壁、空気中で反射した紫外線は浴びてしまいます。
そのときの照り返す紫外線量は、約50%です。
たとえば、夏の暑い日に木陰で休んでいても日焼けします。
例え日陰にいても、紫外線対策はしっかりと行いましょう。
Q3.紫外線は反射すると聞くのですが、どの程度なのでしょうか?
A.紫外線の反射率は、以下のサイトが参考になります。
参考:気象庁「地表面の反射と紫外線」
これら以外にも空気中で反射する散乱光があり、環境によっては紫外線量が40~50%増加する場合もあります。
さいごに
紫外線は、肌の老化現象であるシミやシワの原因です。
驚くべきことに、その割合は80%といわれています。
でも、逆に言えば、紫外線によるダメージを完全に抑えれば、80%の老化の原因を回避できます。
つまり、紫外線対策をしっかり行えば、いつまでも若々しい肌を保てる可能性がグッと高まることになります。
そのためにも、曇りの日や日陰だからと油断せず、少しの外出だからと手間を惜しまず、紫外線対策をこまめに行いましょう。
そうすることで、紫外線から肌を守り、シミ・シワのない若々しい肌を手に入れられます。