いつの間にかできている「シミ」
これは顔だけではなく、「唇」にできることが。
人と会うことが多いため口元はきれいにしたいと思うものの、「どのように家で唇のケアをするとよいのか」「唇のシミを隠す方法はあるのか」とお悩みの方は意外に多いのではないでしょうか。
唇は皮膚とは少し違うメカニズムです。
ですからこの記事では、唇にシミができる理由、唇のシミを防ぐ方法、そして対処方法について解説します。
皮膚科でのレーザー治療やメイクで唇のシミを隠すポイント、更には病気との関係性についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.唇にシミができる原因
唇にシミができる原因には紫外線によるダメージや、乾燥や摩擦による色素沈着などがあります。
しかし、病気のサインの可能性もあるため注意が必要です。
それぞれの原因について、詳しくご紹介します。
1-1.紫外線によるダメージ
なぜ紫外線によるダメージが唇のシミに繋がるのか。
唇はもともと紫外線から皮膚を守るメラニン色素が非常に少ないことから、紫外線を防ぐ力が弱いです。
また、表皮と比べると角層が薄いため、外からの影響を受けやすい部分でもあります。
唇も皮膚同様に紫外線を浴びると、皮膚の中で活性酸素が発生し、皮膚の細胞にダメージを与えます。
紫外線に当たった直後からメラニンは生成され、皮膚のターンオーバーとともに外に排出されますが、まれに排出しきれずに残ってしまうことでシミに変わります。
繰り返し同じ部分に紫外線を浴びると、より黒くなり、場合によっては皮膚がんに繋がることも。
唇のシミを防ぐためにも、紫外線をできるだけ避け、紫外線による乾燥や摩擦による色素沈着を防ぐスキンケア方法を習慣にすることが大切です。
1-2.乾燥や摩擦による色素沈着
乾燥や摩擦による色素沈着が唇のシミに繋がります。
通常の肌には、入ってきた紫外線等を跳ね返し外部からの刺激を守る「顆粒層」というしくみがあります。
しかし唇は、唇と口腔内の粘膜との境目が不明瞭で、粘膜に顆粒層が存在しません。
そのため、バリア機能が低く、乾燥しやすいのです。
唇が乾燥すると角層の細胞がめくれ上がり、外からの遺物や水分の出入りが生じます。
乾燥を放置すると、ガサガサとした角質はますます表面化し、唇の皮がむけやすくなり、傷や炎症が起こり始めます。
傷や炎症が治った後には色素沈着を起こしやすく、唇のシミへとつながります。
そのため、唇の保湿を心がけ乾燥は事前に防ぐ対策が必要です。
1-3.病気の可能性はある?
唇にできるシミは、「ポイツ・イェーガース症候群」の症状でもあるため注意が必要です。
ポイツ・イェーガース症候群について解説するので、参考にしてください。
<ポイツ・イェーガース症候群とは?>
内科や消化器系で胃腸(主に小腸)にポリープが生じ、反復する腹痛、下痢、吐き気などを引き起こす遺伝性の病気です。
小児や20歳代の女性に多くみられます。
<症状>
唇のシミの症状に加え、口唇、口腔粘膜、四肢末端部に米粒大の黒褐色の色素斑が生じます。
色素沈着には生下時から幼児期に出現し、加齢に伴って増大する傾向があります。
<原因>
ポイツ・イェーガース症候群は遺伝性の疾患です。
STK11遺伝子に異常が生じており、細胞の増殖がうまく調整できません。
多くのシミは「紫外線」や「乾燥」が主な原因で病気の可能性はごくまれです。
しかし、小児や20代女性の場合は「ポイツ・イェーガース症候群」の可能性も考えられます。
早期発見の為にも胃腸科、内科に相談と検査をおすすめします。
参考元:小児慢性特定疫病情報センター
2.唇のシミを消すためのケア方法
できてしまった唇のシミを化粧品で消すことはできません。
しかし、保湿をしたり古い角質を排除したりと適切にお手入れをすることで、紫外線による唇のシミがケアできます。
その他にも皮膚科でのレーザー治療などの選択肢があるので、ご紹介します。
2-1.保湿をする
唇のシミをケアするためには、保湿がとても重要です。
唇の皮膚構造は、通常の皮膚とは異なった以下の3つの特徴をもっています。
- 唇の表皮は厚いが角層は薄い
- 汗腺が備わっていない
- メラニン色素が備わっていない、または非常に少ない
唇は、顔や体の皮膚に比べて、角層が薄い、天然保湿因子(NMF)が少なく唇の乾燥、荒れが生じやすい敏感な部位です。
通常のお肌と同様に、3つの保湿因子を一定に保つようしましょう。
3つの保湿因子とは皮脂、天然保湿因子NMF、細胞間脂質です。
通常はこの3つの保湿因子により皮膚のうるおいは一定に保たれています。
しかし、加齢や外的要素などが原因で保湿因子のバランスを崩すと、皮膚の乾燥が進行しやすい状態になります。
皮膚の潤いを保つ役割 |
代わりになる成分の一例 |
皮脂 |
スクワラン |
天然保湿因子NMF |
アミノ酸 |
細胞間脂質 |
セラミド |
また、保湿の前に行う洗顔も注意したいポイントがあります。
洗顔料は、皮脂を取りすぎないものを使用します。
たとえば石けんなど、洗いあがりにツッパリ感があるものは基本的に脱脂力が強い傾向にあります。
そして、乾燥している皮膚は刺激に対して弱くなっているため、ごしごしと唇に摩擦を与えるような洗い方は避けてください。
2-2.古い角質を除法する
唇に残った古い角質を除法することにより、シミが薄くなる可能性があります。
ターンオーバーが促進されたり、不要な角質を取り除くと、潤い成分が浸透しやすくなる効果があるからです。
唇の古い角質を除法するために使ってみたいのが、リップスクラブです。
リップスクラブとは、かさついた唇の古い角質をやわらげてくれるアイテム。
リップクリームのように付けたままにはせず、丁寧に洗い流します。
<リップスクラブの使い方>
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リップスクラブを使う時は、鏡を見ながら丁寧にやさしく洗ってください。
使用の目安は一週間に1~2回がおすすめです。
ただし、敏感肌の人や唇が特に荒れやすいという人にはおすすめしません。
私も、オイリー肌で丈夫な肌質ですが、唇だけは荒れやすく、リップスクラブをいくつも試しましたが、どうしてもヒリヒリしたり赤みが出たりしました。
また、リップスクラブの使用後はリップクリームなどで唇に潤いを与え、乾燥対策を行いましょう。
2-3.皮膚科でのレーザー治療を検討してみる
どうしても唇のシミが消えない場合は、皮膚科でのレーザー治療を検討するのも一つの方法です。
皮膚科によっては治療前のメール相談などがあるので、不安を解消するためにまずカウンセリングを受けてみましょう。
説明や対応が丁寧か、医師や看護師が信頼できるかなどについてよく確認してから、レーザー治療を検討することが大切です。
参考にしてみたいレーザー治療のメニューや金額の一例、そして、皮膚科の具体的な選び方についてご紹介します。
治療のメニューや金額の例
唇の上下のシミの大きさや数により治療の金額は異なります。
また、皮膚科により追加料金がかかる場合があるので注意が必要です。
皮膚科で受けられる治療のメニューや金額の一例を、インターネットでわかる限りの調査をしました。
あくまでも参考程度ですが、ご一読ください。
治療メニュー例 |
範囲 |
金額(基本料金例) |
唇(上唇と下唇) |
上唇と下唇のすべて |
10,000円~ |
シミの単発 追加 |
2mmのスポット1ショット照射 |
1,000円~ |
口唇の赤いところにあるシミすべて |
20~30ショット照射の場合 |
20,000~30,000円 |
※その他の料金が別途必要な皮膚科があります。
例:初診料2,000円~、カウンセリング料1,000円~、麻酔 約1,000円~
老化や紫外線によるシミはレーザー治療が可能な場合が多いですが、唇のシミの症状や医師の判断となるので注意しましょう。
大きさや数により、基本料金と追加ショットが加算され、約30,000円~かかる場合もあります。
詳細は皮膚科にて医師の診断とカウンセリングによりお尋ねください。
皮膚科の選び方
事前相談で、どのような方法で唇のシミを取るのか、またレーザー治療資格有無などを確認しましょう。
レーザー治療を行う医療機関は多くあるため、慎重に比較検討することが大切です。
<相談する前>
唇のシミはポイツ・イェーガース症候群などの病気の可能性もあるので、レーザー治療を検討する前に内科や大学病院の検査を受けると安心です。
異常がなければ皮膚科に相談しましょう。
<皮膚科の選び方のポイント>
皮膚科を選ぶ7つのポイントをご紹介します。
事前に、しっかり比較検討しましょう。
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疑問や不安がある場合は質問し、自分にとって適切な皮膚科を見つけましょう。
3.事前に唇のシミを予防する方法
レーザー治療は唇のシミの症状や原因により向き不向きがあります。
できてしまったシミを消すことは難しいため、シミを防ぐためにも日頃のお手入れの継続が大切です。
唇のシミを予防する方法として今回ご紹介したいのは、日焼け止めの利用と適切なクレンジングです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.日焼け止めを塗るか、UVカット効果のあるリップを使う
唇の紫外線対策をするときに活用してみたいのが、一般的な日焼け止めもしくはUVカット効果のあるリップクリームです。
紫外線カット効果が高い(強い)日焼け止めを唇に使うことはおすすめしません。
唇は敏感な部位なので、刺激が強い日焼け止めにより、唇が腫れたり皮むけが起こったりということがありえます。
日焼け止めを唇に使う場合には、敏感肌でも使えるSPF25まで・PA+程度のカット効果にしておきましょう。
そして、いわゆる「ノンケミカル日焼け止め(紫外線散乱剤)」にしましょう。
紫外線を防ぐための日焼け止めの塗り方、リップクリームの塗り方をご紹介します。
<日焼け止めを唇に塗る方法>
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参考:日焼け止めで赤くなる敏感肌向け・合わない理由と選び方5つの条件
3-2.適切なクレンジングを心がける
リップクリームや口紅を使った日は、一日の終わりに適切に洗い落すことが大切です。
口紅やリップクリーム、日焼け止め製品などは、肌への密着性が強い油性成分が配合されることが多いです。
通常の洗顔料のみでは、メイク汚れがきれいに洗い落せません。
洗顔をする前に、油性成分を分解してくれるクレンジング剤を使ってメイクを綺麗に落としましょう。
また、リップ専用のメイクリムーバーの活用もおすすめです。
<クレンジング方法>
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クレンジング剤で汚れを落とすと、口紅、リップクリーム、メイク汚れと一緒に皮脂膜、天然保湿因子が同時に洗い流される可能性があります。
洗ったまま放置せずに、洗顔後は水分、油分、保湿液をあたえ肌を守りましょう。
4.消えないシミはメイクで隠すのもおすすめ
消えない唇のシミはメイクで隠し、目立たなくすることができます。
そこで活用してみたいのが、リップコンシーラーです。
4-1.リップコンシーラーの役割
リップコンシーラーとは唇用のコンシーラー。
通常のコンシーラーと同じように、唇の気になる部分を隠すことができます。
また、リップコンシーラーは、口紅の発色を引き出すために活用されます。
ファンデーションのみだと隠しきれないシミは、リップコンシーラーでしっかりカバーしましょう。
4-2.シミを隠すメイク術
唇の乾燥や荒れが特に気になる場合は、保湿リップクリームを付けた後にリップコンシーラーを使用するという方法もあります。
リップコンシーラーにはブラシタイプ、リップタイプ、ペンシルタイプなどがあります。
シミのサイズによって使い分ける、もしくは併用することをおすすめします。
また、リップコンシーラーはさまざまな色があります。
唇のシミの色や唇の色、唇の輪郭と肌の色とのバランスを考えて選びましょう。
ヌード系や薄いピンクなどは、唇のシミと唇本来の色味をなじませるのに最適です。
さまざまな色合いを試して、ぴったりなものを選ぶとよいでしょう。
<リップコンシーラーの使い方>
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点在するシミにはブラシタイプ、広めのシミにはスティックタイプ、唇の輪郭が気になる場合はペンシルタイプがいいかもしれません。
また、唇の荒れや乾燥のトラブルを防ぎ美しく保つためには、清潔な化粧品道具を使うことが重要です。
- 使用後のリップブラシはティッシュで汚れをふき取り、メイク落とし専用のクリーナーで洗い流す
- リップクリームやリップコンシーラーも使用後は表面や容器のまわりの汚れをさっとふき取る
以上のことを心がけることで、いつでも清潔な化粧品道具が使えます。
まとめ
唇にシミができたときは、以下のポイントを心がけることをおすすめします。
- 唇にシミができる原因として、紫外線や乾燥の他の病気が考えられる
- 唇のシミを薄くしたい場合は、保湿や角質の除法を心がけ、場合によってはレーザー治療などを検討してみる
- レーザー治療を検討する場合は、皮膚科の選び方や治療メニュー、金額などを把握しておく
- 唇のシミを事前に予防するためには、日焼け止めやUVカット効果のあるリップクリームの活用、また適切なクレンジングが大切
- リップコンシーラーを使ってメイクをすると、すぐにシミが隠せる
唇のシミは適切なスキンケアを心がけ、場合によっては皮膚科のレーザー治療を検討することで解決できる可能性があります。
また、20代女性や子供の場合は、唇のシミが病気のサインかもしれません。
早期発見に繋げるためにも、頭の片隅に置いておくと安心です。
できたシミはこれ以上濃くならないようにしつつ、唇のシミはメイクで隠す方法があるので、必要に応じて試してみてくださいね。